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新井 学 院長の独自取材記事

あらい泌尿器科

(川口市/東川口駅)

最終更新日:2023/07/10

新井学院長 あらい泌尿器科 main

「あらい泌尿器科」は、2023年4月1日に、東川口駅より徒歩1分という駅近環境に開業した泌尿器専門のクリニックだ。診療対象は、泌尿器全般のトラブル、排尿障害、尿路結石などが多いが、中でも前立腺がんへの対応を得意としている。院長である新井学先生は、さまざまな大規模病院で研鑽を重ねてきた。前立腺がんに関しては、1990年代後半にPSA(前立腺特異抗原)の普及により罹患患者が急激に増えた時代から、多くの症例にふれ、数多くの手術も経験。大学病院から地域のクリニックに活躍の場を移し、より来訪しやすい診療を志している。高齢になれば悩む人が多くなりやすいという泌尿器診療の様子について、詳しく話を聞いた。

(取材日2023年6月13日)

通いやすい地域の泌尿器科専門クリニックをめざす

泌尿器専門の医師となったきっかけを教えてください。

新井学院長 あらい泌尿器科1

最初に医学に興味を持ったのは高校生の時でした。ただ、臨床ではなく、遺伝子の研究に興味がありました。当時免疫遺伝学で世界をリードしていた2人の研究者が学部は異なるものの京都大学出身者であったので迷わず京都大学理学部を受験しました。しかし理学部で学ぶような純粋なサイエンスではなく、より医学に応用できる道を探りたいと考え、医学部出身者である本庶佑先生に手紙を書き、ご助言をいただきました。若さゆえのずいぶん思いきった行動でしたが、本庶先生から真摯なお返事をいただき、医学に興味があるならすぐに医学部で学べと叱咤激励され、医学部を再受験しました。泌尿器科を志したのは、学生時代に家族が泌尿器系の疾患を患ったからです。折しもPSAの普及により、国内で泌尿器患者数が急激に増えた時代です。各大学でどのような生検が理想的なのかを模索している、いわば黎明期でしたので、前立腺がんの診療に興味を持つようになりました。

大学病院や市民病院での診療から地域医療に移った理由は?

大学病院や市民病院に勤めていた頃、外来診療だけでなく手術もかなり行っていました。しかし、3~4年前に体調の変化があり、細かい作業が必要となる手術を継続するよりも、外来だけに絞るほうが、患者さんに貢献できる幅が広がると考えるようになったのです。外来に特化するならば、自分が理想とする診療をより高精度に実現させるために、クリニックとして開業するほうが良いと考えました。東川口という地域を選んだのは、獨協医科大学埼玉医療センターで診療している患者さんで、継続的に私のもとを訪れたいという方が来院しやすいようにするという理由もありますが、偶然この場所にメディカルモールができることを知れたことも大きいですね。まさにご縁以外の何物でもありませんが、まるで導かれるように、自然にこの場所を選ぶことができました。

本取材時点で開業されて約2ヵ月が経過していますが、どんな患者さんが来院されていますか?

新井学院長 あらい泌尿器科2

近隣に泌尿器を専門にした病院がなかったこともあり、患者層は広いですね。大学で行っていた診療を継続なさる方も多いですが、そもそも泌尿器系のトラブルを相談できなかった方々や、病院にかかっていても専門の医師の診療でなかったがゆえに治療の進み具合に不安を抱いていた方が門戸をたたいてくださっています。実は泌尿器科は、患者さんからすると敷居が高く見えることもあるそうなんです。例えば頻尿や尿漏れなどの症状があっても、高齢だから仕方がないものだと考えて、診療に行かないというケースは少なくないんです。地域に泌尿器科専門クリニックができたことで、行ってみようと思ってくださるとうれしいですね。

全身の健康に影響しやすい泌尿器トラブル

主な診療内容はどのようなものでしょうか?

新井学院長 あらい泌尿器科3

泌尿器一般、泌尿器がん、排尿障害、女性泌尿器、尿路結石とさまざまです。また泌尿器科の中でも私が前立腺がんを専門にしてきたからか、前立腺がんの症例相談が多いのは、当クリニックの特徴と言えますね。加えて、だんだん増えているのが、排尿障害、頻尿、尿失禁などでお悩みの方です。これら大半の症例は、月1回の注射と飲み薬を処方するホルモン療法で対処します。近年は、排尿障害でも投薬で改善が期待できますので、治療さえすれば質のいい生活もめざせます。例えば、寝ているときに何度もおしっこで起きてしまうと、ぐっすりと眠れず、睡眠負債を抱えてしまいやすくなる。これは結局、泌尿器だけの問題ではなく、体の健康全体に影響を及ぼす不調であると言えるわけです。だから、気になることがあればどんな症例でもまずは診療を受けていただきたいんですよ。

早めに診療を受けることで、疾患の早期発見・早期対応にもつながりますね。

そのとおりです。症状がひどくなっても手術で対応できる疾患が多いのですが、薬物療法でも改善が見込めます。それも診断あってのことですからね。また、当クリニックでは、病気を見逃さないよう、毎回尿検査をお願いしています。検査を受けていただくからこそ、主訴にはない症状も探り、例えば血が混じっていたら超音波検査を行ったり、膀胱鏡を使ったチェックへも進めます。特に男性は、必ず1回はPSAを受けていただきますので、前立腺がんの早期発見にもつながると思います。

地域のクリニックならではの診療の良さは何だとお考えですか?

新井学院長 あらい泌尿器科4

しっかりと患者さんの訴えを聞く時間をつくれることですね。大勢の患者さんが待っている大規模病院だと、患者さんもなかなか訴えを伝えきることが難しいのはよくある話です。またドクターからも伝えたいことが多くあるのに、待合室に何十人と待っていると、時間とのバランスを考えなくてはいけなくなります。十分にコミュニケーションが取れないままだと、患者さんも不安を解消できませんからね。がんのように命に関わる病気はもちろんのこと、例えば前立腺肥大症や過活動膀胱とか、尿路結石などの命には影響しない病気でも、病気そのものへの不安や生活への不安、診療費の心配など、気持ちが落ち着かなくなる要素は必ずあります。そこをしっかりと払拭したいですね。

精神腫瘍学をもとに安心感をもたらす診療を

患者さんの不安を払拭するために、どのような工夫をなさっていますか?

新井学院長 あらい泌尿器科5

開業以前から、埼玉医大国際医療センター・精神腫瘍科の教授のもとに通い、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)の勉強を行っています。精神腫瘍学とはがん領域の精神科の専門研究分野。告知や、告知後のメンタルケア、あるいは家族へのケアなどを深く追求する学問です。患者の不安を払拭できず、悶々とした暗い心持ちで日々を過ごすようなことにはならないよう、しっかりと対話していくことが重要です。どんな形であれ希望を持って穏やかな気持ちであることができ、患者さん自身が納得できるような生き方をしていただくのが私のめざす診療の形ですね。

外部の病院との連携も強いと聞きましたが、その点はいかがですか?

当院には、ミニマムですが診療に必要なものはそろっています。しかし、CTやMRIとなると、院内に置くことができませんので、近隣で対応してくれる病院と提携しているんです。大規模病院だとCTやMRIの予約が1ヵ月待ちというケースも珍しくはありませんが、できるだけ早めに検査できるよう連携しているので、ご不安もスピードを持って解消していけると考えています。またがん治療に関しては、長期にわたり私がその世界にいましたので、ネットワークが充実しています。紹介もできるので、安心していただきたいですね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

新井学院長 あらい泌尿器科6

診療に関しては、大学病院レベルの診療を地域で受けられる環境を整え、地域のクリニックだからこその良さを声を大にして伝えたいですね。安心できてこそ、前に進むことができます。まずは気軽にご相談いただくことによって、きっと今より清々しい毎日がやってくると思いますよ。

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