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健診で見つかる肝機能異常
自覚できない病気を健診で見つけよう

白土クリニック

(横浜市港南区/上永谷駅)

最終更新日:2023/07/14

白土クリニック 健診で見つかる肝機能異常 自覚できない病気を健診で見つけよう 白土クリニック 健診で見つかる肝機能異常 自覚できない病気を健診で見つけよう
  • 保険診療

健康診断で数値の異常を指摘されたものの、日々の忙しさからクリニックを受診しないまま過ごしている人は少なくない。肝機能異常も見過ごしてはならない大事な検査データの一つで、仮に医療機関で適切な治療を受けずに放置すると、最悪の場合肝臓がんになる恐れもあるそうだ。「肝機能異常の原因疾患は複数あり対処法もさまざま」と語るのは、「白土クリニック」で消化器内科診療やがんの早期発見に努める白土一人院長。長年の経験から得た幅広い視野を生かし、近年患者数が目立つ脂肪肝をはじめさまざまな病気と向き合う。沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓を日頃から専門的に診ている白土院長に、精密検査を受けなかった場合のリスクや実際の検査・治療などについて聞いた。

(取材日2023年7月3日)

肝機能異常は脂肪肝などが隠れているサイン。肝硬変になる前に医療機関で健診結果を見せ、指導を受けよう

Q健康診断で肝臓の数値が指摘されるのはどのような方でしょうか?
A
白土クリニック 生活習慣やウイルスなどによって肝機能は悪くなる

▲生活習慣やウイルスなどによって肝機能は悪くなる

基本的には、健康診断でALT、AST、γ-GTPなどの数値が基準値を上回っている方は肝機能異常を指摘されます。ただし原因は多岐にわたるため、クリニックではあらゆる病気の可能性を念頭に置きながら検査を進めます。具体的にはB型肝炎やC形肝炎といったウイルス性肝炎、薬やサプリメントの過剰摂取による薬物性肝障害、膠原病に起因する自己免疫性肝炎、お酒の飲みすぎによるアルコール性肝炎などですね。そして現代で最も多いのは、肥満による脂肪肝。実際、健診後にクリニックの受診を促される人の8割ほどは、脂肪肝またはアルコール性肝炎のケースです。数値でいうと、BMIが25以上の方は脂肪肝の疑いが強いといえます。

Q肝機能異常を放置した場合、将来どのようなリスクがありますか?
A
白土クリニック 肝機能の異常を早期に発見するには定期健診が大事

▲肝機能の異常を早期に発見するには定期健診が大事

例えば非アルコール性脂肪肝を放置すると約10~20%の確率で肝臓に炎症が生じ、脂肪肝炎(NASH)に変化します。その時点で治療をせずにいると、いずれ5~10%が肝硬変に、さらに1%前後が肝臓がんに罹患する恐れがあります。そのほかウイルス性肝炎なども、慢性肝炎から最終的には肝硬変・肝臓がんへと重症化してしまいかねません。段階的に進行していくので、肝臓がんに100%なるわけではありませんが、なるべく早く治療を開始できれば進行抑制が期待できます。早期発見につなげるためには健康診断が身近な入り口になります。長年検査を受けていない自営業の方なども国民健康保険の健診を活用しましょう。

Q脂肪肝には、アルコール性と非アルコール性があるそうですね。
A
白土クリニック 自覚症状がない肝臓の病気にはより注意が必要

▲自覚症状がない肝臓の病気にはより注意が必要

アルコール性はその名のとおり、お酒が原因でアルコール性肝障害を経て脂肪肝へ発展します。毎日40~60gのアルコールを摂取している人にリスクがあり、例えばアルコール9%のお酒を500ml飲むだけでも、すでに45gも摂取することになるため注意が必要です。一方、非アルコール性は飲酒量は問題ないものの、糖尿病や脂質異常症などをベースに発症するのが特徴で、近年医療界で問題視されています。しかし「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気には自覚症状がありません。まれに倦怠感を覚えて受診した方に肝機能異常が見つかるケースはありますが、大半は急性肝炎や肝硬変まで悪化しないと症状が現れないのが恐ろしいところです。

Q脂肪肝の検査や治療はどのように行うのでしょうか?
A
白土クリニック エコー検査をはじめ、疾患を見逃さないよう幅広い検査に対応する

▲エコー検査をはじめ、疾患を見逃さないよう幅広い検査に対応する

クリニックレベルでは、血液検査で肝臓や肝炎の状態、肝硬変への進行度合いなどを調べながら原因を絞ります。加えて腹部超音波検査で内部の様子も観察し、脂肪肝か否かをチェックします。脂肪肝は、肝臓に30%以上脂肪が蓄積してないと超音波画像に現れません。そのためデータ上では異常があっても、超音波検査で脂肪肝が見えない場合もあり、医師の経験が求められます。ほとんどのケースはクリニックの検査で診断が可能ですが、より詳しい検査が必要な場合は大学病院などでCTやMRI、肝臓の硬さを測るエラストグラフィ検査を行います。そしてダイエットや禁酒といった生活習慣指導を中心に行い、定期的に経過を確認していきます。

Q異常が見つかった後でも進行を遅らせる方法はありますか?
A
白土クリニック 生活習慣を改善できるよう、患者を温かくサポートする

▲生活習慣を改善できるよう、患者を温かくサポートする

治療の継続が何よりの進行遅延につながるでしょう。C型肝炎の方なら治療で根治をめざす、B型肝炎や自己免疫性肝炎の方なら症状を抑えるための薬を飲む、アルコール性脂肪肝の方なら飲酒を控えるかやめる。肝硬変になったら健康な生活には戻りにくいので、そうならない心がけが必要です。脂肪肝の方も、これ以上数値が上がらないよう、糖尿病や脂質異常症の方と同じ食事や有酸素運動を続けましょう。痛みなどがない分、意識的に取り組むのは簡単ではないと思いますが、今よりも年をとってからだとさらにモチベーションの維持が難しくなります。だからこそ数ヵ月ごとにデータを見て、経過を確認するのを一つの楽しみに思ってほしいですね。

ドクターからのメッセージ

白土 一人院長

肝臓の病気は基本的に症状が出ませんので、健康診断で少しでも異常が見つかった場合は、結果を無視せずクリニックへ行きましょう。そしてそれぞれの病気に「心がけるべきポイント」があるため、かかりつけ医や肝臓専門の先生に日常生活の過ごし方を聞くと良いと思います。すでに治療を受けている方も、引き続き主治医からアドバイスを受けながら通院するのが大切です。また私の専門が消化器領域ということもあり、当院では肝臓に隣接する胆嚢や膵臓も同時に診察できます。中には胆石や初期の膵臓がんが原因で肝臓のデータが悪いこともあるんです。どんな病気も重症化させないことが大事ですので、些細な異変でも一度クリニックにお越しください。

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