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竹村 茂一 院長の独自取材記事

たけむらクリニック

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2023/04/24

竹村茂一院長 たけむらクリニック main

大阪メトロ谷町線の平野駅から東へ歩いて10分。住宅地のマンション1階に2022年9月、内科と外科を標榜する「たけむらクリニック」が開院した。院長の竹村茂一先生は大阪市立大学医学部附属病院(現・大阪公立大学医学部附属病院)に長く勤め、肝臓・胆管・膵臓・消化管などの内視鏡下手術や移植手術で腕をふるってきた医学博士。外科医でありながら内科にも精通し、現在もなお出身大学院の特任准教授として先端生命科学の研究に励んでいるが、そのアグレッシブな活動には医療人としての高い志や矜持が感じられる。そんな竹村院長に、新たな一歩を踏み出した現在の心境や医療に対する考え、今後に向けた思いなどをフランクに語ってもらった。

(取材日2022年11月16日)

大学病院でのアカデミックな経験を地域医療に生かす

開院からまだ2ヵ月。新しいクリニックの特徴を教えてください。

竹村茂一院長 たけむらクリニック1

当院がめざすのは、地域の皆さんがいつでも気軽に相談できるようなクリニック。医師は私1人ですが、一般内科診療から外科診療、各種検診にワクチン接種まで、まずは身近なかかりつけ医としての役割を果たしていきたいと考えています。内科・外科(小手術対応)の2つの診察室のほかエックス線室や点滴室などを設け、エコーや迅速血液尿検査などの各種検査機器もそろえました。内視鏡やCT、MRIといった大きな設備はありませんが、必要があれば近隣連携病院に検査を依頼しています。また、今の時勢に合わせ、発熱感染患者専用の入口を備え、発熱者専用の待合室と診察室を用意しました。要は急性の感染症から慢性的な生活習慣病までを想定し、必要最小限にして十分な新鋭の設備を用意したというわけです。

先生は大学病院に長く勤務されていたそうですね。

私は大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部の出身で、附属病院では長年にわたって消化器疾患の治療を中心とした外来診療に携わってきました。基本的には外科医ですので、肝臓がんやすい臓がんの手術、生体肝移植などの手術はもちろんですが、がん患者さんの抗がん剤治療や肝炎ウイルスの治療などにも携わってきました。開業医となった今、大きな手術はもう行いません。今後はあくまでも一般内科を中心に、熱が出た、おなかが痛いといった急性疾患から、循環器や呼吸器の検査などにも対応します。大学病院にいた頃は、診断のついた患者さんをいかに治療するかが私たちの仕事でした。これからはかかりつけ医として患者さんの病気を見極め、基幹病院などの専門的な医療につなげる橋渡しとして地域に貢献していきたいと考えています。

自身のクリニックを開業した理由は何ですか?

竹村茂一院長 たけむらクリニック2

30年間も毎日のように手術をしていましたから、年齢的にもそろそろ後進に道を譲るタイミングではないかと。しかし、それにもまして感じたのは、患者さんをフォローアップすることの大切さです。大学病院での診察はせいぜい3ヵ月に1回。その間のフォローをどうするべきかいつも気になっていたので、安心して任せられるようなかかりつけ医に自分自身がなり、それで地域医療を担っていければと考えるようになりました。治療を依頼される側だった経験がきっと生かせるでしょうし、それが自分にとってのステップアップだと考えたわけです。私は平野の町で生まれ育ちましたが、今のこの場所は私のかつての生家なんですよ。20年ほど前にマンションに建て替え、この1階はテナントとして貸していたのですが、借り主さんが退出していかれたことが開院の一つのきっかけとなりました。

患者との信頼関係を軸に健康寿命に寄与していきたい

診療で大切にしていることを教えてください。

竹村茂一院長 たけむらクリニック3

昔も今も心がけているのは、たとえ忙しくても皆さんの訴えをきちんと聴き、理解し、なぜ病気が起こるのか、今はどういう状態か、どのように改善をめざすのかを、患者さんに丁寧に説明することです。また、難しい専門用語はできるだけ使わずに説明することも重要です。かみ砕くと時間はかかりますが、「ちゃんと診てもらえている」と患者さん自身が実感できるような姿勢を示すことが大切です。そこから人と人との信頼関係が生まれてくるのではないでしょうか。以前は大学病院というブランドがその信頼を担ってくれていましたが、こうして開業するとその後ろ盾はありません。これからは信頼を一つ一つ積み重ねていくことを常に心がけていきたいと思います。

超高齢社会で、かかりつけ医の役割が注目されていますが。

現実には体力や病気発見のタイミングなどで、手術やがん治療など体に大きな負担がかかる治療に耐えられるのは限られた患者さんだけです。万一病気になった場合も治療が受けられるだけの状態を普段から保ち、早期診断し、適切なタイミングで専門病院に送り出すことがかかりつけ医の大切な役割です。今は80歳を超えていても大きな手術を受けられる時代になりました。そうした方がフレイル(虚弱)に陥らぬよう、術前・術後をコントロールし、うまく専門病院にバトンタッチしていく必要があるわけですね。現在の医療の最大のテーマは、健康寿命をどこまで延ばせるか。その実現をめざし、常にトータルな目線で考えていくこともかかりつけ医の重要な使命ではないかと考えています。

先生は今も大学院で研究を続けているとお聞きしました。

竹村茂一院長 たけむらクリニック4

はい。私は今も大阪公立大学大学院の特任准教授を兼職し、週に2回、研究員の指導や方向性の決定などを行っています。他の大学や製薬会社との共同研究も行っています。手術はあくまで病気を治す手段ですが、研究はサイエンス。病態やメカニズムに基づいた治療法の開発に、医療者として大きな魅力を感じます。臨床の現場で困っていることはたくさんありますが、これがいけるんじゃないか、これもできるはずだと、具体的な行動へと移していきます。もちろん1人でできることは限られていますから、今後も他の先生方や研究員の方々と力を合わせながら継続して取り組んでいきたいですね。

豊富なバックグラウンドが新たな時代を築く

外科医でありながら他科にも精通されている理由は何ですか?

竹村茂一院長 たけむらクリニック5

若い頃は患者さんを自分の手で治したいという願望が人一倍強く、それには手術が一番と考えて大学卒業後は第二外科というところに入りました。そこは心臓や肝臓、呼吸器、消化管から小児外科まで全科がひと通り学べ、好きな分野を選んで進めるシステムでした。今でこそスーパーローテーションという制度がありますが、当時としてはまさに画期的。おかげで肝臓を専門としながらも多岐にわたる知識を得ることができました。そうした経験がクリニックでの日常診療に役立っていると実感しています。今だに知識が足りないと思うこともありますから、今後もまだまだ研鑽に励んでいきたいと思っています。

ご家族や趣味など、プライベートな一面を教えてください。

家族は妻と成人した子どもが1人です。子どもも医学の道を志しています。医学部に入り、現在3年生です。最近は小児科や産婦人科などにも少し興味を抱いているようですが、そこはまだ医師になってからの話。まずは勉強を頑張ってほしいと思います。私は大学時代まで硬式テニスを続けていましたが、就職後縁遠くなり、ゴルフも身につかずです。ちなみにコロナ禍での私の趣味はもっぱら家で映画を鑑賞することで、刑事ものや探偵もの、サスペンスといったジャンルの洋画を動画配信で楽しんでいます。ショッピングやドライブも好きで、時間さえ許せば家族でドライブや旅行に出かけることもありますよ。

最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。

竹村茂一院長 たけむらクリニック6

今の開業医にはホームドクターとしてのさまざまな役割が課せられていますが、それだけに重要な仕事ともいえますし、大きなやりがいがあると感じています。経験不足でもいけない。時代に取り残されてもいけない。どの職業にもいえることですが、常に最新の医療にアップデートしながら、皆さまの健康を守るのが私の役割と考えています。まずは地域にある身近な存在として、丁寧に診療させていただきます。また、必要と判断した場合は適切な専門病院や基幹病院を迅速にご紹介します。そのためのネットワークもいろいろと築いてまいりました。よく知っている先生方も大勢おられるこの地元で、皆さんとも長いお付き合いができればと考えています。どうか期待していてください。

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