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太田 征孝 院長の独自取材記事

おおた皮膚科クリニック

(出雲市/直江駅)

最終更新日:2022/07/19

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック main

出雲市の旧斐川町エリアにある「おおた皮膚科クリニック」は、2022年4月にオープンしたクリニック。開放的な院内はバリアフリーの設計で、車いすでもスムーズに受診できる。診療では、電話とインターネットによる時間予約を導入しているほか、3つの診察室の同時活用や、医師・スタッフが連携して問診から診察、治療の説明などを丁寧に行うことで、コミュニケーションは密に取りながら、患者の苦痛となる待ち時間の短縮を図っている。待合室では無料の無線LANやコンセントを備えたカウンター席を用意するなど、細かな配慮も行き届く。そんな同院を開業した太田征孝院長は、島根大学医学部附属病院で長年研鑽を積んできた日本皮膚科学会皮膚科専門医。「通いやすいクリニック」をめざし、地域に根差した医療を実現したいという院長に話を聞いた。

(取材日2022年6月16日)

待ち時間を短縮し「通いやすいクリニック」をめざす

まず皮膚科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック1

僕は千葉県南房総市という、房総半島の中でも南端に近いところ出身なんですが、小さな頃からお世話になっていたかかりつけの先生がいらっしゃって、その方の存在が医師の仕事の尊さを教えてくれたと感じています。町の診療所の医師として、地域の子どもからお年寄りまでみんなの頼りにされていました。僕が医師という職業に興味を持ち始めた際には、ご自分の母校だった大学の見学に連れて行ってもらったりと、まだ子どもだった僕の夢を真剣に応援してくださりました。その時の経験が決め手となって、医師をめざすことにしましたね。皮膚科を専門分野として選んだ理由は、診断や治療の奥深さに魅力を感じたから。研修中に救急の外来でじんましんの患者さんを診察したことがあったのですが、その時の経験から皮膚科診療はその場での診断だけでなく、その方の日常生活やお仕事、家族構成などの患者さんの生活習慣に密着した分野であると知ることができたんです。

皮膚科診療と患者の生活習慣の結びつきが強いというのは、どういうことでしょうか?

同じ症状でも、その方に合う治療方法はそれぞれ異なります。身近な例を挙げると、塗り薬を処方する場合、忙しくて自宅での治療をさぼりがちな方には強めのお薬による短期間の治療を、反対に、真面目な方や、細かい動作が苦手なご高齢の方には多く塗ってしまうのを想定して少し弱めの薬を多めに出す治療をと、その方の性格や生活習慣によって適した治療方法は変わってきます。そうした点にやりがいや面白さを感じました。

医師になってから開業するまでの経緯をお聞かせください。

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック2

大学卒業後は大学病院で12年間研究と臨床を行ってきました。そこでは皮膚科一般から腫瘍など皮膚外科の診療をしながら、アトピー性皮膚炎と乾癬の研究に携わりました。また病棟医長として病棟の取りまとめ役的な経験をしたり、皮膚がんの患者さんの終末期医療についての多職種で議論をしたり、そういったことも含めて、大学病院では本当に多くを学びました。ただ、長く勤めている間に、研究よりも臨床に力を入れたくなってきました。また週1日診察をしていた民間の病院での訪問診療の経験から、寝たきりの高齢者の褥瘡など、通院困難な患者さんからの需要も多いことがわかりました。そういった地域医療の状況を知り、より地域に密接した医療を実現したいと開業に踏みきりました。開業した今も、毎週火曜に午後の時間を使って往診にも対応しています。島根県には大学進学で初めて来ましたが、自分の地元に似たところもあり、今では第二の故郷と思っています。

「患者さんに100点満点を要求しない」診療

クリニックの特徴を教えてください。

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック3

一番に考えたのは「通いやすいクリニックにしたい」ということです。まず患者さんの待ち時間をできるだけ短縮するため、電話とインターネットによる時間予約を取り入れました。また、診察室は3室造り、患者さんには1人ずつ違う診察室に入ってもらい、看護師が問診や準備をしてから僕が診察して、処置や薬の説明は看護師が行うことで、患者さんとのコミュニケーションは密に取りながら、効率的に診療が行えるようにしています。また、診察の際にこだわっている点としては、患者さんの了承を得た上で患部の写真を撮り、それを見ながら説明するようにしています。頭皮や背中など自分では見えない部分の説明をするのに便利です。また治療前後の状態を写真で比較することで経過がよくわかるのはもちろん、患者さんの治療へのモチベーション向上にもつながるという利点もあります。

どのような患者さんが多いですか?

年代的にはお子さんが多いですね。夏場はアトピー性皮膚炎、冬場は乾燥肌の相談が多いです。あとは若い人のニキビと赤ちゃんのスキンケアですね。近年ではマスクの常用による毛穴の詰まりとか、アルコール消毒による手湿疹の悪化なども増えました。お子さんの手湿疹も増えたようです。最近の変化としては、多汗症の外用治療薬が承認されたので、脇の下の汗が多くて気になるという方にも対応しやすくなった点ですね。

診療方針やモットーなどはありますか?

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック4

大事にしているのは「患者さんに100点満点を要求しない」ということです。皮膚科の場合は塗り薬による治療が主体になりますが、説明どおりに塗れていないことも珍しくありません。そういった場合も非難したりせずに、患者さんに合った方法を考えるようにしています。患者さんは忙しい日々の生活の合間に治療を行います。なので、お願いしたことの6割しかできないといったケースも想定して、「夏は少しさぼって、乾燥する冬場はしっかり保湿しましょう」「忙しい日はこれだけやりましょう」など、治療の優先順位や、その方に合わせた提案を行うことで、6割でも症状の改善がめざせるようにしています。1つの治療法で変化がなければ別の方法を考えますので、不安に思ったり困ることがあれば、気軽にご相談いただきたいです。思ったような変化がすぐに得られなくても、そうしたフィードバックを生かしながら治療を進めますので、諦めずに通ってほしいです。

どんなことでも気軽に相談してほしい

診療において心がけていることはありますか?

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック5

皮膚科診療は治療の主体が塗り薬です。ですが、塗り薬は患者さんの判断で塗る量が変わるもの。「患者さん自身が治療を行う」という側面もあります。なので、診療では「どのくらいが適量なのか」など、わかりやすい説明を大切にしています。例えば軟膏なら、人差指の先端から第一関節まで絞り出した量とか、塗ったところにティッシュをつけて落ちない程度にとか、具体的な表現でその都度説明するようにしています。そういった点では、皮膚科の医師というのは他の科よりもアドバイザー的な役割が強いかもしれませんね。患者さん・医師・スタッフたちのチームで力を合わせて治療をしていきましょう。

皮膚科の場合どのようなタイミングで受診すればよいのでしょうか。

あまり難しく考えず、悩んだり不安を感じたら来てもらえると良いかなと思います。視覚ではわからない症状でも、ダーモスコープという皮膚の表面を拡大して見る装置で調べたり、しこりのように組織内のものは超音波検査で調べたりすることで、その多くは診断できます。超音波検査を行っている皮膚科は少ないと思いますが、この検査ではできものの構造や血流の有無などのほか、その腫瘍が良性か悪性かを調べることもできます。悪性、つまり皮膚がんの場合は手術による早めの切除をお勧めしますが、良性の場合は患者さんと相談して切除するかどうかを判断します。また膠原病のように内科の症状が爪に現れることもあるので、そういったケースは血液検査などで調べます。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

太田征孝院長 おおた皮膚科クリニック6

皮膚科の疾患は命には関わらないものがほとんどです。しかし、皮膚は人体最大の臓器といわれ、アレルギーを例にするとわかりやすいですが、体中のさまざまな異変が初めに出る場所であると考えています。だからこそ、些細なことでも気軽に相談してほしい。そうした想いから、この度の開院では患者さんが通いやすいクリニックの整備に注力しました。来ていただいた患者さんの悩みを共有しながら、少しでも早く良くなるように、最適な医療を提供したいと思っています。大きな手術などのより専門的な治療が必要な場合は、大学病院をはじめとする他の医療機関との連携体制もできていますので、安心してご相談いただきたいです。

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