住み慣れた場所を諦めない
暮らしを支える在宅医療とは

「どのように最期まで生きていきたいか」を中心に考えて、自分たちらしい選択を

Q在宅医療を受けるには、まずはどうしたら良いのでしょうか？

A

▲不明な点があれば些細なことでも相談を

在宅医療とは、通院が困難な患者さんのもとへ医師が訪問して診療を行うことです。患者さんが診療時間内に来院するスタイルとは違いますので、最初はどうしたら良いかわからないかもしれませんね。ではどうすれば良いのか。それはとにかく相談することです。まずは当院のような在宅医療を行うクリニックへ電話で問い合わせましょう。特別な知識はいりません。とにかく患者さん本人やご家族の状態とお気持ちを聞かせてください。「病気になったけど入院はしたくない」「不自由も増えたけど一人暮らしを諦めたくない」「末期がんの親が家で過ごしたがっているが不安」など、なんでも構いません。まずはあるがままにお話しいただければと思います。

Q家族の心構えや役割はありますか？

A

▲患者の希望を尊重した治療を提供している

在宅で療養するとなると、最初に心配なのは「本当に自分たちにできるのだろうか？」ということだと思います。家族の誰かが病気になっても仕事や家事・育児がなくなるわけではありませんから、そう考えるのも無理はありません。しかし、皆さんが思っているよりも日本の福祉環境は整っています。高齢の方や難病の方が介護サービスなどを利用して一人暮らしをしている例はたくさんあるのです。ですから、介護環境や金銭面にばかり目を向ける必要はありません。まずは自分が、患者さんが「本当はどうしたいのか」に目を向けて考えていただきたいと思います。その上で「どうすればいいのか」という具体的な方法は、私たちと一緒に考えていきましょう。

Qどういった状態になれば、訪問診療を活用して良いのでしょうか。

A

▲専門的な視点から一人ひとりに適したアドバイスを行う

訪問診療というと末期がんなど、寝たきりの患者さんが利用するものだというイメージがあるかもしれません。しかし実際は寝たきりである必要はなく、クリニックにいけない事情があれば相談可能です。例えば年齢を重ね足腰が弱ってきた方、脳卒中や脳梗塞の後遺症が残る方、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症や知的障害、精神障害、身体障害で通院が難しい方も気軽にご相談ください。在宅酸素療法や人工呼吸器の管理、気管切開のチューブ管理や胃ろうの処置、各種検査はもちろん、風邪や肺炎、糖尿病や高血圧症など生活習慣病の管理まで、お体に関することは幅広く対応しています。必要に応じて病院とも連携しますのでご安心ください。

Q具体的に流れを教えてください。

A

▲さまざまな状況にも対応できるようにしている

在宅医療を受けたいと思ったら、まずはお電話でご相談ください。当院には在宅医療に詳しい相談員が常駐していますので、まずはお話を聞かせていただきます。次に、患者さんやご家族と面談し、現在の状態についてお伺いします。訪問診療の内容について相談し、費用についてもご説明させていただきます。この時点ではほとんどの方が不安でいっぱいです。当然のことですので、遠慮せずになんでも聞いてください。内容に納得していただけたら、訪問診療がスタートです。訪問日や時間は事前にお伝えしますが特別な準備は必要ありません。私たちと協力して、これまでと同じように日々を過ごしていただければと思います。

Qご本人やご家族との信頼関係を非常に大切にしているそうですね。

A

▲それぞれのライフスタイルに合わせて対応してくれる

私はこれまでの経験から、病気になったとしてもその人自身は何も変わらないことを知っています。それはご家族もそうです。病気のせいで不自由もあるかもしれないけれど、本質は何も変わりません。病気はしょせん、その人の一部にしか過ぎないのです。だから私は、患者さん本人にもそのご家族にも日常を諦めてほしくないと思っています。これまで過ごしてきた人生の舞台で、好きな人たちとともに最期まで暮らすことは決して特別なことではありません。そうして積み重ねる日々は、皆にとってかけがえのないものです。大変なこともあるかもしれませんが、その時は私たちを頼ってほしい。いざと言う時、助けられるように私たちがいるのですから。