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呉島 誠 院長の独自取材記事

まこと脳神経外科クリニック

(北九州市小倉北区/城野駅)

最終更新日:2022/11/22

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック main

JR城野駅から徒歩3分の場所にある「まこと脳神経外科クリニック」は、呉島誠院長が2021年4月に開業したクリニックだ。脳神経外科と整形外科が並ぶという独自性をもつ同院は、めまい、頭痛、認知症、交通事故によるけがに対し専門的な治療を提供している。中でも認知症の治療では、院内でのリハビリテーションと社会交流も重視し症状の進行を食い止める狙いもあるという。「大切なのは患者さんとの対話。何が原因なのか、何を解決したいのかをしっかり見極めることが治療の第一歩です」と快活な口調で話す呉島院長。また、片頭痛の患者も多いことから、さまざまな工夫を凝らして治療を行っている。そんな呉島院長に、治療スタンスや具体的な治療方法、今後の展望などを聞いた。

(取材日2022年9月12日)

めまい・頭痛・認知症治療を柱に、リハビリも導入

先生が医師をめざしたきっかけ、これまでの経緯などをお聞かせください。

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック1

祖父が中学生の時に亡くなり、その時に医師になろうと決めました。実家は山口県ですが、弘前大学に進んだのは、遠くに行ってみたいという興味からでした。気候も言葉もまったく違う場所で勉強できたのはいい経験になりましたよ。大学卒業後は広島大学病院の脳神経外科に入りました。その後はいくつかの病院で勤務医として勤めましたが、大きな転機になったのが、北九州総合病院で認知症を専門的に診る外来の担当になったこと。これによって急患対応の他、カテーテル治療などの手術に加え、認知症の治療も行うようになったんです。

こちらのクリニックが脳神経外科と整形外科を診療しているのはどういった経緯からでしょうか?

開業のタイミングを考えていた時に、たまたまこちらの整形外科の先生が、年齢的な理由もあり閉院されるというお話を伺いました。JR城野駅から徒歩3分ほどとアクセスも良く、何より大きなリハビリルームがとても魅力的でした。認知症の患者さんというのは、年齢的にも腰痛や膝の痛みなどで整形外科に通っている方も多いのです。手間を減らしたいというニーズにも応えられるし、認知症の方のためのリハビリ、デイケアなども将来的に行いたいと思っていたので、本当に理想的な場所だと感じました。整形外科の先生に「残って一緒にやりませんか?」とお声がけをするとすぐに快諾いただき、今は2人体制で診療を行ってます。

それでこのようなユニークな診療体制になったのですね。

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック2

当院が柱にしているのは、慢性的な「頭痛」、「認知症」、「めまい」、そして「交通事故によるけが」の4つです。頭痛、物忘れや認知症、めまいの診療を私が担当し、むちうちや骨折など交通事故に関する治療を整形外科の先生に担当いただいています。中でも頭痛と物忘れのご相談はとても多いですね。当院ではMRIやエックス線機器も備えていますから、安心して受診いただければと思います。

頭痛や認知症の治療の際は特に患者に寄り添う

片頭痛の特徴や患者層について教えてください。

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック3

片頭痛は、拍動性で気分が悪くなるというのが特徴です。ひどくなると吐き気のためまったく動けなくなり、仕事を休まないといけない人も出てきます。生活に支障が出るので必ず受診して治療をしていただきたいですね。患者さんは20~50代のお勤めしている女性の方が多いです。何が原因で頭痛が起こっているかは人それぞれで、女性は生理でホルモンバランスが崩れやすいのが影響することが多いですね。可能な限り頭痛の根源を断つために、患者さんには「頭痛ダイアリー」というものを書いてもらっています。具体的には、頭痛が起こった時に記入するもので、「どれくらいの時間続いたのか」や、「何をしていたときに起こったのか」などを書きます。

片頭痛の診察で心がけている点などについてお聞かせください。

片頭痛以外の頭痛でも、「何年も薬を飲んでいるけれど治らない」という慢性的で症状の重い方が多いです。まずMRIで画像診断をし、その後お薬の指導を行います。頭痛は市販薬を飲めば治ると思い込んでいる人も多いですが、3ヵ月以上になると服薬で頭痛が誘発されることもあるんです。なのでまずは頭痛薬の飲み方の指導をしっかり行います。いずれも「どうしてその症状になったのか」という生活背景や環境といった原因を、対話を通じてしっかり見極める点を大切にしています。それと先ほどお伝えした「頭痛ダイアリー」を提出してもらうことで、より正確に状況が把握できるんですね。薬の種類はいろいろありますから、患者さんに合う薬を処方するためには、現状を知ることがとても大事になります。ちなみに最近は、片頭痛を抑制するための薬が出ました。生活に支障が出て困っている人のための注射薬です。

片頭痛は自分で予防できるのでしょうか?

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック4

できるものとできないものがあります。チョコレートやチーズなどの食べ物が頭痛を誘引することがあるので、それがわかっていれば食べないようにする。後は規則正しい生活をすることですね。それと日光に過敏な人もいるので、サングラスをかけたり日光を避けたりすることで頭痛を抑えられることもあります。予防できない例としては、天気による頭痛です。気圧の変動で頭痛が起こるのは避けられないので、そういう人にはすぐに薬を飲むことをお勧めしています。片頭痛によって寝込んで仕事を休むより、薬を飲んで生活の質を上げられるほうがいいですよね。

社会交流が重要と捉え、デイケアなどにも取り組む予定

認知症の治療では、ご家族の負担を減らすなどのケアが重要なのですね。

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック5

はい。認知症はご本人への治療だけでなく、ご家族へのアドバイスも重要です。家族である患者さんにどう接すればいいのか、公的にどういうサービスがありどのように活用していけば家族の負担が減るのか。そういった相談は実に多いと感じています。当院の理念は「生活の中で困っている患者さんを助ける」ですが、患者さんだけではなく、そのご家族や周りの方も含めて助けたいと考えています。実際の治療では薬を出すだけではなく、症状によってリハビリをどうするかなどを提案していきます。ご家族が疲弊しないように「介護保険サービス」に頼ることもお勧めしますよ。認知症は早期の治療が肝心です。早いほど対処方法も多いですし、遅いほど治療の選択肢が狭まります。脳神経外科は患者さんやご家族の心理的ハードルが低いのか、まだはっきりとした症状の少ない方でも来院しやすいようです。

具体的に認知症のケアではどのような工夫を行っていますか?

例えば、今日の日付や曜日、ご飯を食べたこと、友人と話をしたことなどを忘れてしまう短期記憶障害であれば、メモ帳やスマホなどに記録することをお勧めします。すぐに薬に頼らず、「どうすれば生活しやすくなるか?」という点を患者さんやご家族と一緒に考えて行動することが非常に大切です。特にこの方法はグレーゾーンの方にお勧めで、症状の進行抑制にも役立ちます。また、その方々にとって欠かせないものの一つに社会交流があります。そのためにも診察後はスタッフと会話をしながらリハビリをするなどの工夫を取り入れています。これが整形外科を併設している、当院ならではの強み。認知症は、慣れたことしかしないから進行するとも考えられます。新しいことを能動的にやることがとても重要で、80代の方にも「スマホを使ってみましょうよ」などとお声がけすることもありますよ。

今後取り組む予定のことや読者へのメッセージをお願いします。

呉島誠院長 まこと脳神経外科クリニック6

新型コロナウイルスの流行が終息したら、認知症予防のための講習やデイケアをできる限り早く再開したいです。講習では薬剤師や栄養士、リハビリ担当者などとともに運動や食事指導を行います。皆さんが交流を深めて認知症の進行を抑えつつ、患者さん同士の憩いの場にもなると思うんです。インターネット情報をうのみにせず、私たち専門家に遠慮なく尋ねてください。頭痛、めまい、物忘れや認知症、交通事故によるけが、いずれであっても気軽に質問していただければ、必ず何らかの提案ができます。頭痛に関して当院は、北九州界隈で専門的に診る数少ないクリニックの一つです。敷居が高い場所とは思わず、どうか最初の一歩を踏み出してください。たった1回の受診でも改善の糸口が見つかることもありますから、その機会をぜひ得てほしいと思っています。

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