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伊藤 浩司 院長の独自取材記事

いとう循環器内科クリニック

(福岡市南区/大橋駅)

最終更新日:2021/10/12

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック main

西鉄バスの皿山4丁目バス停から徒歩1分。静かな住宅街の一角に、2020年に開業したのが「いとう循環器内科クリニック」だ。院長の伊藤浩司先生は九州大学病院や済生会福岡総合病院、九州厚生年金病院などに勤め、心エコー検査(心臓超音波検査)の指導にも携わってきた循環器内科のベテラン。基幹病院での経験を地域医療に還元したいと開業に踏み切った。「循環器の病気は、実は時系列で考えるととてもわかりやすいんです」と話す先生の雰囲気は非常に穏やか。その中にも循環器を専門とする医師ならではの厳しさが垣間見え、「健診や日々の生活で感じられる血管からのサインを見逃さないでほしい」という切なる思いも感じられる。今回はその生活でのヒント、そして味噌汁と血圧の意外な関係などを語ってもらった。

(取材日2020年9月17日)

心臓につながる血管を、診察や日々の生活から支える

循環器内科は、名前からはあまりイメージがつかないという方も多いのではないでしょうか?

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック1

循環器内科において中心となる臓器は心臓です。心臓の病気といえば、心筋梗塞、狭心症などを皆さん思い浮かべると思います。そしてそれらの病気には、サインがあります。高血圧、コレステロール値の上昇、動脈硬化、糖尿病などがそうですね。これらが進行すると血管に障害が起き、心臓に負担がかかり、結果、心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症につながるんです。高血圧やコレステロール、狭心症などと「点」で見るとわかりにくいかもしれませんが、何が原因でどんな時系列をたどるのか、点を線でつないでいけば、循環器内科がどんなものなのか、とてもわかりやすいのではないかと思いますよ。

高血圧やコレステロール値など、健康診断でよく耳にするものは、心臓の病気につながっているんですね。

そうなんです。一つ一つの単語をばらばらに考えるのではなく、症状が血管を通じて進行する先に心臓がある、という考え方ですね。循環器とはその名のとおり、摂取した栄養素・酸素などを体内に循環させる器官のことを指します。循環器内科では生活習慣を見直すことで、大きな心臓の病気を防ぐためのアドバイスも行います。ですから、健康診断の結果で高血圧やコレステロール値が引っかかったという場合は、循環器内科の出番なんです。診療科目名ではわかりにくいかもしれませんが、患者さんの生活全般を見ていくので、かなり守備範囲が広い診療科目と言えますね。

どのような時に来院してほしいと考えていらっしゃいますか?

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック2

まず健康診断などで高血圧やコレステロール値、血糖値の異常を指摘された場合は、ぜひ足を運んでもらいたいと思っています。「ちょっと注意されただけだから」と思うのではなく、放っておくといずれは先ほど言ったような大きな病気につながるおそれもありますから、予防という考えはとても大事なんです。今は症状がはっきりないとしても、高血圧やコレステロール値、血糖値といった血管からのサインがある。それを見逃すことなく、早めに対処することで、10年後の生活が大きく変わってくるはずですから。まずは生活指導、食事指導などから入ることも多いですね。

精度の高さにこだわった診断を、地域で実践していく

具体的にはどのような診療を行っていくのでしょうか?

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック3

これは患者さんそれぞれですね。「健康診断で指摘されて気になっているけれど、薬はできるだけ飲みたくない」という方もいますし、先ほど言いましたように、症状がなく軽症の場合は食事指導などから入ります。動悸が気になるという方も少なくありませんが、何らかの不整脈が疑われる場合であれば、当院で取り入れている24時間心電図などを使って、どのような症状があり、体の中がどうなっているのかを調べた上で、薬はそもそも必要なのか、経過観察で良いのか、もっと大きい病院に行くべきなのかを判断します。どうしても言葉で伝えるのが少し難しい分野ですから、診察ではイラストなどを使用した資料を使ったり、食事指導でも看護師と連携し、パンフレットをお渡しして、なるべくわかりやすく伝えることを大切にしています。

24時間心電図について、詳しくお聞かせください。

通常の心電図であれば、横になった状態でいくつもの電極を取りつけ、12の波を測定します。この場合、12個の心電図波形から詳細な評価ができるのですが、しかしこれだと、実はほんの数秒の結果しかわからないんです。しかし24時間心電図はその名のとおり、24時間の測定が可能です。もちろん、お風呂やお仕事中や寝ている間も測定できます。そうなると、例えば「寝起きに胸が痛む」「階段を上がっている時に動悸がする」といった、一過性の症状についても診断が可能になるんです。生活の中でどのような症状が出ているか、そこからどのような病気が隠れているかを見つけるのに役立つ点が、24時間心電図の強みですね。

なるほど。お話を伺うと、診断の難しさも感じられますね。

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック4

まさにそうですね。前職では、高血圧専門の医師として治療に難渋する高血圧症の診断や治療に関わり、また心エコー検査の指導をしてきた医師として、心不全や心臓弁膜症などの評価も行っていました。通常の薬では血圧のコントロールができないという難治性の患者さんも、実は多いんですよ。当時はそんな地域のクリニックから送られてきた方を診断し、その上で治療計画を考えて、またクリニックにお戻しするという流れでしたから、今は逆の場所にいることになりますね。皆さん、病気は怖いですよね。検査を受けるのも尻込みするでしょうし、足を運んだとしても待ち時間といった面倒さもある。そういう点を当院であれば、通院の負担、検査の精度の高さなど、地域から支えることができます。基幹病院レベルの診断を早期に行えれば、その分患者さんの負担も軽くなりますからね。

日常の変化を患者とともに見ることで、予防につなげる

先生が医師への道、そして循環器内科を選んだ理由は何だったのでしょうか?

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック5

医師になりたいとは、中学や高校の頃かは明確に将来の夢として考えていました。医師の家系というわけではないのですが、小学5年生の文集には「将来は医師になる」と書いていたので、昔からそう決めていたようです。循環器内科を選んだきっかけは、大学の研修で実際に動いている心臓を見た時でした。「こうやって動いているんだ!」と衝撃を受け、この臓器を扱う道に進もうと決めました。循環器は目に見えづらいものではありますが、体を構成する大事な部分です。今は新型コロナウイルスの影響で開催を見送っていますが、いずれは当院でも患者さんに向けた講習会や勉強会を開きたいと考えています。

先生は、味噌汁に関する論文も発表していらっしゃいましたよね。

大学では基礎研究で味噌と血圧の研究を行い、その後の勤務医時代に「味噌汁の摂取と血圧と心拍数の関係について」として1500人以上の方に協力いただいて調査を行いました。高血圧ならば塩分を控える、塩分を控えるなら味噌汁も……と考える方は多いと思うのですが、実は味噌汁を積極的にとっても血圧は上がらず、さらに味噌汁を積極的にとる人ほど心拍数が低いというデータが取れたのです。こういったことを知ることも、患者さんにとってはとても大切だと思います。血圧を下げるための薬が効かない方もいますし、高血圧の原因もさまざま。患者さんお一人お一人としっかり向き合っていくことが、治療には欠かせませんね。

では最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

伊藤浩司院長 いとう循環器内科クリニック6

循環器は目に見えにくく、つい後回しにしてしまいがちです。しかしいざ症状が出てしまうと取り返しがつかないことになってしまうのが、循環器の恐ろしさでもあります。ですから、まずは気軽に来院してほしいと思っています。「半年前は息切れしなかった」「しばらく前から胸が苦しい」「靴を履く時に胸に圧迫感がある」……そういった血管からのサインが、日常生活には隠れています。そのちょっとした変化を見逃さないために、私たちのクリニックがあります。診察をしていくうちに「塩分控えめの食事に慣れてきた」というポジティブな変化もうれしいですよね。ぜひ10年後の自分を大切にするつもりで、気にかかることは何でも相談してください。

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