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葛西 直亮 院長の独自取材記事

山下公園スパインクリニック

(横浜市中区/元町・中華街駅)

最終更新日:2023/03/28

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック main

みなとみらい線の元町・中華街駅、山下公園口より徒歩2分にあるビルの2階に「山下公園スパインクリニック」はある。脊椎の病気に専門的に取り組む葛西直亮院長は、これまでも脊椎疾患を専門とするクリニックの院長を務めるなど、数多くの脊椎の手術を執刀してきた経験豊富な医師だ。現在は自院での外来と他院での執刀の両立という新たな診療スタイルを取り「患者さんに情を入れることを大切にしています」と話す葛西院長。多忙な中でも患者と顔を合わせる時間を大切にする姿勢に惹かれ、院長の診療に懸ける思いや、同院の特徴について詳しく聞いた。

(取材日2022年8月24日)

すべての患者の生涯主治医として外来にも手術にも注力

こちらはどのようなクリニックなのでしょうか?

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック1

当院は頸椎や腰椎などの椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、高齢者に多い脊椎圧迫骨折といった脊椎疾患の診療に特化したクリニックです。脊椎は体を支える役割以外に、神経の通り道でもあります。従って、そこに障害が生じると神経痛やしびれ、上肢・下肢の運動感覚障害、体を動かすのが困難になるなどの症状が起こり、日常生活や社会生活に支障を来たします。こうした症状に対する保存的治療には限界があり、長期にわたり苦しまれている方も多くいらっしゃいます。私はこれまで新横浜スパインクリニックで院長を務め、脊椎に特化した整形外科の医師として数多くの手術を行ってきました。そこでの経験も生かしながら、当院でも診療していきたいと考えています。

開業医としては異色の診療スタイルをとっておられますね。

手術を行う医師の多くは、そのための設備が整った病院に勤務しています。しかし私は独立し、月・水・金・土曜の午後は外来診療を、火・木・土曜の午前は提携先の鎌倉病院で当院の患者さんの手術を実施しているのが特徴です。手術の際は看護師も一緒に病院へ出向き、手術室での業務から術後のケア・フォローまでを当院のチームが一貫して担います。また、入院中の方の状態は、手術の曜日はベッドサイドに行って、外来の曜日は医院からリモートで毎日確認します。このような体制をとる理由は、今までの患者さん、これから出会う患者さんの「生涯主治医」でありたいという気持ちからです。加えて、一般的に独立開業すると、腕の良い先生であっても大半はメスを置いてしまいます。そこで私が「開業後も外科医師として手術を続ける」というスタイルを確立できれば、新たなキャリアとして広められるのではないか。そんな期待も持って挑戦しています。

治療や手術の内容について教えてください。

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック2

最初からいきなり手術ではなく、まずは保存的アプローチで必ず経過を見ています。例えば椎間板ヘルニアでは、痛み止めの薬を出したり神経ブロック注射を行ったりして様子を見ていると、飛び出している椎間板が自然と吸収されるケースがあるんです。脊柱管狭窄症は自然には治りませんが、日常生活への影響が少ない方や手術に強い抵抗感がある方には、薬物療法や神経ブロック注射、必要に応じてご自宅近くの整形外科でのリハビリテーションなどを実施します。そこで経過を見て、患者さんのご状況に合わせてご相談する流れですね。手術は、神経の圧迫を取るための除圧術や、背骨にずれがあった場合に行う固定術などさまざまな方法があります。曲がっている状態を矯正する方法もあり、これらを一人ひとりの症状や背景などによって組み合わせています。

患者に情を入れることを大切に

手術を受けるタイミングは、どう判断すればいいですか?

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック3

完全な線引きは非常に難しいですね。例えばゴルフで18ホール回れて、たまに痛みなどの症状が出る程度であれば、狭窄があってもすぐに手術をしなくてもよいと考えます。投薬やリハビリをせずとも通常通りの生活を送れている場合も、経過を見て良いでしょう。逆にいつも薬を飲んでいる方や、神経ブロック注射をしないと生活できず、ある程度痛みの期間も続いているような方は手術が必要だと思います。脊柱管狭窄症の場合も、軽い狭窄でも神経がダイレクトに刺激され、強い痛みが生じていれば手術が望ましいですね。痛み止めの薬やリハビリは痛みを一時的に抑えるのが目的で、根本的な解決法ではありません。当院では画像の情報だけでなく、一人ひとりの病状や職業・家族構成といった生活背景を考慮した上で、術後の対処法まで含めて最善といえる手術計画の立案に努めています。

診療する中で思うことはありますか?

患者さんの中には「脊柱管狭窄症は年齢のせい」「手術をしても治らない」「足が動かなくなってから手術を受けましょう」などと言われている方も多い印象です。さらには、狭窄症を切らずに治そうとされる方もいるようですが、私は手術が必要だと思っています。問題なのは、長い間症状と付き合い、状態が悪化してから手術を受ける方が多くいらっしゃることです。長い間神経が圧迫されていたので、そこから手術をしても痛みやしびれの症状が残ってしまう可能性があるのです。私もさまざまな手術を経験してきましたが、適切なタイミングで手術に踏みきったほうが、神経にとっては圧倒的に有利だと考えます。症状によっては、早期に手術を受けるメリットは非常に大きいこともぜひ知っていただきたいですね。

診療の際に心がけていることはありますか?

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック4

すべての患者さんに「情」を持つことです。よく外科の医師は、自分の家族の手術は情が入ってしまうのでしないといいますが、私は逆に情を入れるべきと考えています。その理由は、想定外の事態が起きたとき、患者さんが自分の家族だったらベストを尽くそうとするはずだからです。人間はトラブルが起きた際、早くその場を回避したいがために、うまく取り繕って終わらせようとする意識が働きますからね。そのため手術日の朝は必ず患者さんのもとへ行き、世間話などをして笑顔をインプットします。同時に、患者さんは常につらい立場にあるからこそ、こちら側はメンタルを強く持つように心がけています。通常時は平静に、いざというときは限りない情を持って懇切丁寧に対処する。その辺りの感情のコントロールも、外科医師として必要なんです。

地道な努力と啓発で地域の健康に貢献したい

先生は、なぜ医師を志したのですか?

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック5

両親が医師でしたので、自然とめざすようになっていましたね。父は胸腹部外傷外科が専門で、私も漠然と外科に憧れていました。しかし、臨床研修の時に整形外科に「患者さんが元気になって帰る」という印象を持ち、魅力を感じて、医学部を卒業後は東京医科大学で整形外科を学びました。そして、次に勤務した整形外科の病院で脊椎の外科治療に出合い、当時の院長にも感銘を受け、私もこの領域に取り組もうと思ったのです。さらには、2007年に以前勤めていた医療法人の理事長である大田快児先生と出会い、より洗練された手術を目の当たりにして衝撃を受け、この分野を専門的に手がけるようになりました。

今後の展望を教えてください。

当院の患者さんのほとんどは、ご家族やご友人からのご紹介です。医師が手術の必要性について説明するよりも、実際に手術を受けた方の「大丈夫だよ」という言葉が後押しになるようです。ですから、私自身は地道にこつこつと治療に取り組んで、一人ひとりの患者さんに対して確実に結果を出し続けるよう努めることが大切だと考えています。新横浜で手術と外来を行うスタイルは10年ほど継続していますが、今後も長年かけて構築したこの体制を維持し、地域に貢献したいと思っています。また、当院に勤務しているスタッフは外来とオペ室の両方を経験でき、術前から術後までの患者さんの状態を医師と同じ目線で追えます。成長意欲の高いスタッフとともに今後も診療を提供していきたいですね。

最後にメッセージをお願いします。

葛西直亮院長 山下公園スパインクリニック6

脊椎の手術に対し「手術をしたら車いすになってしまうのでは」という印象を抱く患者さんは、特に70〜80代の方に見られます。そのイメージによって、ずっと困っている状態で何もできず、中には諦めている方もいらっしゃるでしょう。病状が悪化してから医療機関を受診する患者さんも同様に多いので、私は市民公開講座などを通して、そのような方々に有用な情報を発信したいと考えています。皆さんも医師に任せきりにせず、自ら正確な情報をつかむべくアンテナを張ってほしいですね。現代は高齢社会であり、健康寿命を延ばすことで人生はより豊かになります。適切なタイミングで手術を受け、旅行を楽しんでいる方もたくさんいますので、首や腰の痛みやしびれでお困りの方は諦めずご相談ください。

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