発達障害
「つらい」「苦しい」子どものための処方箋
代官山やまびこクリニック
(渋谷区/代官山駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
自らの特性ゆえに、社会になじめず苦しむ子どもが増えている。「頑張り過ぎて、来院したときには疲れ果ててしまったという親子も多い」と、「代官山やまびこクリニック」の千村浩先生。千村先生が重視するのは、患者や家族の「なぜうまくいかないのか」「どうすれば生活しやすくなるのか」といった疑問や苛立ち、不安などに共感し、解決方法をともに考えること。「子どもの特性、発達障害の特性を理解している専門家と話すことで見えてくるものは多い。家族だけで抱え込まないで、気軽に相談を」と呼びかける。つらいな、変だなと感じたときに解決に導く方法を、千村先生に教えてもらった。
(取材日2020年10月2日)
目次
大切なのは、親子がそれぞれの人生を幸せに生きること。子どもの「好き」、「楽しい」を探そう
- Q子どもの悩みで、児童精神科にかかるメリットを教えてください。
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A
児童精神科にかかるメリットは、問題を感じるご家族や子どもさんが、孤立して問題を悪化させてしまうことを防げることですね。当クリニックの児童精神科は、特性や生活の支障を持つ子どもと、そのご家族のための診療科です。子どもの体と心に関する深い理解と知見に基づいて診察し客観的に状況を見ることができます。その上で、お子さんとご家族のめざす状態を明確にして、有用な方法を幅広くご提案し、ご本人の自主性を尊重して進めることができます。発達障害のお子さんのつらさが、家庭や学校を含めた社会の対応で改善できると考えられる場合には、ご家族や先生にアドバイスを差し上げます。また、お母さんの心のケアが必要な場合もあります。
- Q児童精神科は、いつ、どのようにかかればいいのでしょうか。
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A
「授業中に落ち着いていられない」「友達とのコミュニケーションが苦手」といった特性、ゲームがやめられないなどの生活の問題、「わけもなく不安になる」「やる気が出ない」といった情緒の問題など、「あれ?」と思った時は、早めに門をたたいていただきたいと思います。早期に課題を見つけて適切に対処できれば、それだけ早く楽になって社会に順応できる可能性が高まります。まずはお母さん、お父さんとご一緒に受診ください。子どもは成長するにつれ、ご両親から自立していくものです。また、小さいお子さんでも、子どもの意思を尊重してあげることが大切です。最初はお子さんとご家族からお話を伺います。
- Q最近の子どもたちの悩みで、目立つものはありますか。
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A
コロナ禍の中、長期間の休校を経て学校が再開されて生活リズムが変わり、落ち着きをなくす子どもが増えていると感じます。学校が休校になると、それまで不登校や学校生活に悩みを持っていた子どもたちは、不登校や生活の悩みに苦しむ必要がなくなり少し落ち着けたかもしれません。学校が再開すると登校しよう、学校で頑張ろうとするのですが、困難な日々を送ることになりかねません。そんな状況から、穏やかな生活を送ることが難しくなります。子どもたちは心の中で「うまくできない自分」に苦しみます。その姿を間近に見ているお母さんも疲れ切っていることも多いですね。
- Q受診する子どもたちには、どのように向き合っているのですか。
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A
私は、子どもさん一人ひとりの症状、生活の支障、そして個性を深く理解することに努めています。同時に、子どもさん一人ひとりの「好き」「楽しい」を理解することにも腐心しています。もっと良くなっていきたいという子どものモチベーションを高めていくことが大切だからです。治療や環境の改善が大切であると同時に、子どもの幸せが大切だと考えています。子どもたちは正直で、信頼できるかできないか見極めます。彼らのペースを尊重し、信頼関係を築きながら、向き合い、また伴走している毎日です。先行きが見通せないお母さんの不安が子どもに影響していることもあります。
- Q親御さんのメンタルケアもされていると伺いました。
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A
お母さんは、子育てや家事、お仕事に一生懸命です。発達障害の子どもさんをお持ちのお母さんは、生活の時間の多くを子どもさんのお世話に充てざるを得なくなるでしょう。家事や子育てに専念して、ご自分を見失う人も少なくないのではないでしょうか。私は、すべてのお母さんに、ご自分の幸せを大切にするようお願いしています。さらに、必要な方には、治療やカウンセリングなどもお勧めしています。お母さんが、ご自分の幸せを大切にすることは、お子さんにも良い影響があると思っています。頑張っているお母さん方に、少し、頑張らないでください、ご自分のための時間を取ってくださいと申し上げることもあります。