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國本 泰臣 院長の独自取材記事

くにもと耳鼻咽喉科

(米子市/後藤駅)

最終更新日:2022/01/21

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科 main

米子市西福原に2020年に開院した「くにもと耳鼻咽喉科」。子どもの中耳炎から、花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎、高齢者の飲み込みや難聴まで、耳・鼻・喉の疾患を幅広く診療する地域のかかりつけ耳鼻咽喉科医院だ。國本泰臣院長はイタリアの耳専門病院に留学経験もある耳のスペシャリストで、専門性を生かした中耳炎の小手術にも対応する。「定期的に耳掃除に来られる方もいるんですよ」とほほ笑む國本院長がめざすのは病気の早期発見・早期治療。「中耳炎といった身近な病気も放置すると、悪化や慢性化、難聴につながることも。気になることがあれば、気軽に相談に来てほしいです」と話す表情には、患者を想う誠実な人柄が感じられる。そんな國本院長に、診療で心がけていること、専門である耳についてなど、じっくりと語ってもらった。

(取材日2021年12月17日)

海外の医療技術を習得して地域医療へ生かしていく

耳鼻咽喉科の医師をめざしたきっかけについてお聞かせください。

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科1

両親からの「人の役に立つ仕事に就くように」の言葉をきっかけに、医療の仕事を意識するようになりました。耳鼻咽喉科を選んだのは、診療領域が脳や目以外の首から上のすべてと広く、さまざまな診療に携わることができる点に魅力を感じたから。中でも聴覚をつかさどる耳は「その方の『生活の質』にも直結する、とても大切な器官だ」と感じて強い興味を持ちました。さらに、耳の手術は「悪い部分を取り除いて終わり」ではなく、症状によっては機能回復の期待ができる点も魅力でしたね。患者さんの生活がガラリと変わる瞬間に立ち会えることもあって、そうした点にやりがいを感じ、耳を専門に研鑽を積んできました。

イタリアの病院へ留学のご経験もおありなのだとか。

鳥取大学医学部附属病院での勤務時に上司から「耳のことを専門的にやりたいなら、イタリアの耳専門病院『グルッポ・オトロジコ』のマリオ・サンナ先生から学びなさい」と勧められたのがきっかけでした。その病院は耳の奥にできた腫瘍を切除する手術を特に強みとしていて、僕たちが普段中耳炎の手術などで触るところよりももっと深い場所、耳の奥の骨を削る手術について学ぶことができました。また、そうした高度な手術を行うために重要である耳や、耳の周りの器官の構造への理解についても、解剖実習を通してしっかりと学ぶこともでき、本当に貴重な経験になりました。ここでの学びは当院での診療にも生かされていますね。中耳炎の手術を行う際に「この奥はこんな構造だから、ここまでは大丈夫」といった判断をしながら進められる上に、精密な手技で手術時間が短縮できれば患者さんの負担軽減につなげることができると実感しています。

開業に至ったきっかけはございますか?

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科2

留学するまでは「手術は大学病院などの病院で行う治療」だと思っていました。しかし、イタリア留学を通して、地方都市の個人病院である「グルッポ・オトロジコ」病院や、マリオ・サンナ先生、そちらに学びに来ていた先生方など、地域の中で開業医として医療の前線を担っている方々を目の当たりにして、自分の価値観が大きく変わりました。私も「耳を専門とする地域のクリニックとして開業したい」という気持ちが湧いてきたんです。

早期発見・早期治療をめざして

クリニックの特徴についてお聞かせください。

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科3

耳鼻咽喉科として間口を広くもっているのはもちろん、耳に関しての専門的な診療や治療が提供できることが特徴でしょうか。耳・鼻・喉のことで気になることがあれば気軽にご相談いただけるような環境を整えています。耳掃除で定期的に通院される方もいらっしゃいますよ。大学病院での勤務時代には、症状が重くなってから初めて受診される患者さんが非常に多いなと感じていました。重症化する前の段階で発見してより早く治療を始めてほしいという思いを持っていたため、地域のクリニックとして開業するにあたって、この「早期発見・早期治療」をめざそうと決めました。そこで、院内の設備もより詳細な検査を可能にしたいと思い、ファイバースコピーなどの一般的な耳鼻科検査に必要な機器のほか、手術にも使用できるような高性能な顕微鏡や、疾患の状態や位置・構造などの詳細なデータが見られるCTの導入など、医療機器の充実にも力を入れました。

手術設備も充実されていますが、どのような手術が多いのでしょうか?

お子さんの中耳炎の手術がメインになりますね。中耳に膿がたまる急性中耳炎の切開術、中耳炎を繰り返す方には鼓膜チューブ挿入術も行います。また、慢性的な中耳炎の中には鼓膜に穴が開いている場合もあり、その穴を埋めていく鼓膜の形成手術も当院で対応可能です。この手術ですが、数年前から保険適用になったのに加え、今までは自分の皮膚を移植するといった入院を要する手術が主流だったのが、現在はゼラチンスポンジを破けた鼓膜の部分に置いて鼓膜再生のための足場とするような日帰り手術も出てきたため、患者さんにとっても治療の負担が少なくなっています。そうしたメリットから、当院も積極的に取り入れています。お困りのことがあればぜひご相談ください。

患者さんと接する中で心がけていることはありますか?

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科4

当院はお子さんの来院も多いので、できるだけ不安や恐怖心を与えず、リラックスして診療を受けてもらえるように配慮しています。中には動いてはいけない検査もあるのですが、理解力が出てくる4~5歳頃のお子さんに、無理やり押さえ込んで行ったりするとそのトラウマから通院自体が嫌になってしまうことも。怖がるお子さんには一度で検査や治療を行うのではなく、可能な限り、少しずつ進めるようにしています。理想は、何もない時から定期的な耳掃除での通院を始めて、クリニックに慣れてもらうことですね。また、ご高齢の方の場合は、聞こえが悪くなっている方も多いので、「はっきりゆっくり話す」「大切なことは紙に書く」などの工夫もしながら、丁寧な説明を心がけています。

専門性と間口の広さを融合させた地域のかかりつけ医へ

小児耳鼻科では、どのようなご相談が多いのでしょう?

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科5

中耳炎を繰り返す、鼻水が止まらないなどのご相談が多いですが、これらの症状は密接な関係があります。中耳炎は耳から菌が入るのではなく、鼻からなんですよ。鼻から菌が入り、鼻と耳をつなぐ管を通って鼓膜の中耳にすみ着き、そこに炎症を起こしていくのが急性中耳炎です。ですので、鼻水が出始めた段階で早めに対処し、中耳炎に進まないようにしていくことが大切です。また、滲出性中耳炎といって耳に水がたまるタイプの中耳炎は、急性と違い痛みはなく、聞こえが悪くなるという症状がでます。お子さんの場合は「聞こえが悪い」ことになかなか自分自身で気づくことができないので、「呼びかけに対して反応が悪い」「よく耳を触る」などのサインに気づいてあげる必要があります。中耳炎は放置すると悪化や慢性化につながるほか、難聴や脳炎を引き起こす原因になることも。そうなる前に様子を見ながら投薬治療や小手術などの処置をしていくことが大切です。

他には、どのような主訴が多いのでしょうか?

多いものは難聴、めまいですね。めまいは脳の異常から起こると思われがちですが、実は耳の奥にある三半規管に原因があるケースも多いんです。まずは耳鼻科で検査を受けてみることをお勧めします。耳鼻科の領域ではないと判断した場合には速やかに他科と連携させていただきます。次に難聴ですが、難聴には大きく「伝音性難聴」と「感音性難聴」の2種類があります。伝音性難聴は音を拾って増幅する器官に異常が発生するもので、耳垢や中耳炎などが主な原因となります。基本的には治療法があり、聴力の回復も期待できます。一方、感音性難聴はご高齢の方に多い症状で、音を脳に伝える神経系に異常が発生するものです。そうしたケースの場合、聞こえの部分をカバーできるように補聴器の使用を検討していきます。当院ではそうした補聴器のご相談も行っていますので、もし「最近、聞こえが悪いな」とお困りの方は、まずは一度診察を受けていただきたいですね。

今後の展望をお願いします。

國本泰臣院長 くにもと耳鼻咽喉科6

病気や症状の「早期発見・早期治療」を引き続き、しっかりと取り組んでいくことです。耳・鼻・喉はすべてつながっていますので、小さな異変の発見が大病を未然に防ぐことにもつながるかもしれません。当院は、耳を専門にしつつ地域のかかりつけ医として一般的な耳鼻科でもありたいと思っています。耳掃除だけでも大丈夫ですので、気になることがあれば気軽に来院ください。

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