小塩康仁院長の独自取材記事

柏グレイス歯科医院

(柏市／増尾駅)

最終更新日：2024/04/26

東武野田線の増尾駅から徒歩約8分。県道51号線沿いの交差点の角地に、2019年にオープンした「柏グレイス歯科医院」。清潔感のある白を中心に爽やかなブルーを差し色に上品な空間にまとめられた院内は、落ち着いた雰囲気。小塩康仁（おじお・やすひと）院長は、頭痛や耳鳴りなどの不定愁訴の原因ともなり得る噛み合わせや顎関節症などの治療に携わってきた人物。小塩院長の診療を求めて遠方から訪れる患者もいるのだとか。高校ではラグビーに打ち込んでいたという穏やかで優しい語り口の小塩院長に、診療におけるポリシーなどさまざまな話を聞いた。

（取材日2019年5月13日）

まずはカウンセリングから始める診療
耳鳴りや頭痛の原因が口腔内にあることも珍しくない
感動して泣く患者の姿を見て心に決める

まずはカウンセリングから始める診療

どうしてこの土地で開業されたのですか？

ここは私が中学に入学するまで育った地元で、実家もすぐそば。良い場所でこうして開業することができてうれしく思っています。現在、小さいお子さんからご高齢の方まで本当に幅広い年齢層の患者さんに来ていただいていますが、皆さんご自分のお口の中の健康に対してとても意識が高いので、とてもやりがいがあります。通院中のおじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんを連れて来てくださるケースも多く、大切なお身内をご紹介いただけるくらいご信頼いただけているのかな、と思うとてもうれしいですね。明るく意識の高いスタッフに恵まれたのもラッキーでした。

診療時はまず丁寧に話を伺うそうですね。

虫歯も歯周病も、耳鳴りも頭痛も、症状や疾患には原因があります。患者さんの訴えをじっくりお伺いするのはもちろんですが、虫歯や耳鳴りなどの原因を理解していただいて、その原因にアプローチする意義や治療方法などを、しっかりご説明してから治療を開始するようにしています。毎回の治療でも、治療内容の確認や治療方針の確認などをお話しします。当院の診察台にはモニターを設置していません。患者さんと真摯に向き合ってお話しする際には、診察台の患者さんに私たちが立って見下ろしてお話しするような関係ではいけないと思うんです。相対してきちんと対話をするべきでしょう。ですから患者さんとお話しするときは、診察後のちょっとした説明でも、きちんとカウンセリングルームでお話しするようにしているんですよ。

診療の際のポリシーなどはありますか？

どんな患者さんに対しても、同じ態度で接することですね。小さいお子さんに対してもご高齢の方に対しても、同じ熱量、同じ意識でお話しします。もちろん言葉は理解できるよう年齢に合わせて変えますけれども、小さいお子さんでも、なぜ今この治療を受けなくてはならないのか、ということを理解していないと、治療がただつらく苦しいもので終わってしまう可能性があります。そんな状態では良好な治療成績が得られなくて当然ですからね。また説明の際は実際にご自身のお口を見てもらうのが一番わかりやすいでしょうから、たくさん写真をお撮りします。お口のパノラマ写真などを見ていただければ、疾患の原因やお口の中のウィークポイントなどが一目瞭然です。

耳鳴りや頭痛の原因が口腔内にあることも珍しくない

お口の中に原因があって頭痛や耳鳴りなどが起きることがあるんですか？

頭痛や耳鳴りなど、不定愁訴の原因はさまざまですが、噛み合わせや顎関節の問題が起因となるケースも多いんですよ。例えば頭痛ですが、頭の筋肉の筋肉痛によって起こる場合もあるんです。頭にも筋肉がありますからね。筋肉痛といえば、いつもはしないような運動をした時に皆さんもご経験があると思います。歯の噛み合わせが悪い場合に、歯ぎしりなどをしていると頭部の筋肉を不必要に使う結果となり、筋肉痛を起こして頭痛に至ることもあります。こんな場合は噛み合わせを正しい方向へ導くことで症状の改善につなげられると考えています。

実際の患者さんのお話をお聞かせ願えますか？

実は耳鳴りでお困りの患者さんは多いんですよ。私が神奈川で修行していた頃、耳の中に100匹のセミがいるようだ、と訴えてこられた方がいらっしゃいましたね。当院でもまだ開業してわずかですが、似たような症状を訴えた方が来院されました。そういう患者さんは案外多いんです。ですから、歯とは関係ないだろう、と思うような症状でも原因がわかったらラッキーくらいに考えて、長く不定愁訴に悩まれているならば、定期検診のついでにでもご相談いただければと思います。

噛み合わせが悪い場合、どのような治療を行うのでしょうか？

小さいお子さんやお若い方は矯正治療をお勧めしたいですね。しかし矯正治療ではなくても、噛み合わせや顎関節の治療は、もちろんできます。100点満点の歯並びではなくても、80点、90点のゴールは十分めざせますし、頭痛や耳鳴りなどの不定愁訴をお持ちの方は、症状の改善につながると考えられる場合がありますから、諦めずにご相談ください。お口は生活の質にダイレクトに影響し、一生使い続けなくてはならない大切な器官です。良好な状態で大切にしてください。

感動して泣く患者の姿を見て心に決める

どうして今の道に進まれたのですか？

頭痛や耳鳴りなどの不定愁訴は、患者さんにとって本当につらいものです。かつて修行させていただいた歯科医院は大学病院からも患者さんが紹介されてくるようなところでしたが、そこで診療後に感動のあまり泣きながら帰っていかれる患者さんを何人も見かけました。その姿を見たときに、「これだ！」と思ったんです。恩師の先生には遠く及ばないでしょうが、長年のお悩みの原因を探り、つらい症状の改善の糸口を見つけて差し上げられるというところに、とても喜びを感じています。

今後の夢を聞かせてください。

医師の方や歯科医師仲間と勉強会なども開いているのですが、いつか垣根を越えて、歯科と医科の先生方で不定愁訴のことならお任せ、というような総合的な医療を届けられる場所をつくることができたらいいな、と思っています。頭痛一つとっても、顎関節や噛み合わせの悪さが原因である人もいれば、脳腫瘍やその他の原因がある人もいます。不定愁訴でお悩みの方は、どこに行ったらいいのかわからなくて何軒も病院や歯科医院を訪れる方が多いと聞いています。そういったお悩みの方が、とにかく駆け込める場所があれば喜んでくださる方は多いと思うんですよ。

食育についてもお話しいただけますか？

これは歯科衛生士でもある私の妻が中心になり取り組んでいます。噛み合わせを整えるのは何のためか、というと食事のためですよね。ちゃんと食事を取れるようにするため、です。矯正をして虫歯も歯周病も治療した、でもまた虫歯ができてしまう。歯周病を繰り返してしまう。そんなときは、もちろん歯磨きなどのケアの仕方に問題がある場合もありますが、実は食事も大きく影響しているんです。小さいお子さんがいらっしゃるお母さま方などからもよくどんなものを食べたらいいか、というご質問を受けます。インターネットには多くの情報があふれていますが、あまりにも多すぎて、何を信じたらいいのか、どれを実践すればよいのか迷ってしまいます。そんな時に私たちがお口のプロとしてお役に立てればいいなと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院は、しっかりと症状や治療方法についてご説明して、納得いただいた上で治療を進めさせていただいています。また不定愁訴でお悩みの方の場合は、数回の診察でどこに原因がありそうか判明する場合が多いため、歯とは関係ないだろうと思われても一度ぜひご来院ください。もちろん定期検診や、ふらっとお立ち寄りいただくのも大歓迎です。人と人とのお付き合いを大切にしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。