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道傳 整 院長の独自取材記事

どうでんクリニック

(鈴鹿市/平田町駅)

最終更新日:2021/10/12

道傳整院長 どうでんクリニック main

平田町駅から車で5分。鈴鹿市立創徳中学校の向かい、視界の開けた住宅地に立つ「どうでんクリニック」。2017年に開院した医院は新しく清潔感があり、木肌を生かした受付カウンターや待合室の椅子、診療デスクなど、どこかほっとするような雰囲気だ。患者のプライバシーを守るカウンセリングルームやキッズスペース、そしてトイレ内のおむつ交換台など、こまやかな配慮も感じられる。院長の道傳整(どうでん・ただし)先生は、信州大学医学部附属病院の脳神経内科などで活躍。現在は風邪や生活習慣病などの一般内科と、専門の脳神経内科を両輪として地域医療に貢献する。こちらの質問にも一つ一つ丁寧に答えてくれる道傳先生に、頭痛や認知症など脳神経内科の診療内容とこれからの目標について聞いてみた。

(取材日2019年9月18日)

患者と家族に寄り添う脳神経内科

先生のご専門の脳神経内科とは、どんな診療科ですか?

道傳整院長 どうでんクリニック1

よく精神科や心療内科と間違われますが、内科の一分野です。手足の痺れ、震え、しゃべりづらさ、歩きづらさ、頭痛、物忘れなどの症状がさまざまな原因で発生しますが、それに対して適切な画像検査や神経学的診察を行い、診断をつけて治療をしていく診療科です。例えば、痺れの原因にも、頸椎や腰椎などの整形外科的なもの、ビタミン欠乏からくるもの、自己免疫疾患など……、いろいろあります。当院では、風邪や生活習慣病などの一般内科の患者さんが全体の6割を占め、頭痛や認知症、パーキンソン病のような神経難病など、脳神経内科の患者さんが4割を占めています。

神経学的診察では、どのようなことをするのですか?

系統的にやる場合は頭から足先までくまなく評価します。例えば脳神経系では、目の動き、しゃべり方、顔の筋肉の動きなどを評価します。運動系では、手足のまひ、脱力具合を診ます。ここの筋力が弱いから、脊髄のここに問題があるかなと推察できるんです。まっすぐに歩けるかどうか、ふらつきがないかも重要ですね。あとは感覚系で、しびれの有無や痛さ・冷たさや熱さを感じるか。この他にもたくさんあり、これらの多岐にわたる診察をすべてやろうとすると1時間位かかってしまいますので、当院では問診をもとに絞り込んで、もっとコンパクトに行います。あとは画像検査ですが、頭痛の精査や認知症の診断において脳の画像検査は必須となりますので、当院にもCTを導入しました。大病院のように予約をせずにすぐに撮影できて、当日中に結果を説明できることが大きなメリットだと思います。

脳神経内科の治療としては、どのようなことをするのですか?

道傳整院長 どうでんクリニック2

薬物療法が中心です。パーキンソン病などの神経難病をしっかり治すことは難しいのですが、症状を少しでも良くしてあげるような細かな薬の調整をしたり、リハビリや介護に対するアドバイスをしたりするようにしています。完全に治すことはできないけど、患者さんとご家族に寄り添ってあげたいという気持ちはありますね。ただ神経難病については画期的な治療法も出てきているんですよ。装置を使って薬を注入するような特殊な治療法もありますので、それは総合病院などで受けていただくことになります。またMRI検査や救急の処置が必要な場合も、速やかに総合病院に紹介するなど、安全に診療ができるような体制を整えています。

注力しているのは頭痛や認知症、睡眠時無呼吸症候群

頭痛について教えてください。

道傳整院長 どうでんクリニック3

一説には日本人の約8%が片頭痛を持っているともいわれていて、特に女性の患者さんが多いです。片頭痛はストレスなどが影響していることが多く、薬で痛みをコントロールしていきます。よく頭痛くらいでクリニックに行けないと市販薬を飲む方がいますが、飲む量や頻度が多い方は薬物乱用頭痛になる可能性があり、そうすると鎮痛剤の影響で頭痛が増してしまうことにもなりますので、受診をお勧めします。生活や仕事に支障をきたす方や、月に10回以上鎮痛剤を飲むような方には、予防薬をお勧めしています。ただ頭痛には脳腫瘍や脳血管障害など危険なものもありますので、必要に応じて画像検査などをして、危険な頭痛かどうかをしっかり確認していくことも大切だと思っています。

認知症の診療にも力を入れていらっしゃいますね。

医療や福祉の専門職で編成された認知症初期集中支援チームの活動として、月に1回、当医院に市の社会福祉協議会のスタッフさんや嘱託医が集まって、事例の検討や連携の打ち合わせをしています。認知症の方に診断をつけて、介護サービスや治療にうまく乗せていければ、例え記憶力や生活能力に問題があっても穏やかにご自宅で療養できることもあります。いろいろな職種が協力し、支え合ってこそ、地域に根差した医療・介護が可能になるのでしょう。私も地域に根差したかかりつけ医として、薬物療法以外にもご家族へのケア方法のアドバイス、介護保険サービスの導入など、ご本人もご家族もストレスなく穏やかに療養・生活していけるような体制づくりを少しでもサポートしていけたらと思っています。

ほかに力を入れている分野はありますか?

道傳整院長 どうでんクリニック4

睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を入れています。この病気は睡眠中に喉の奥で空気の通り道が閉じてしまうため呼吸が数十秒止まり、日中の眠気やだるさなどを引き起こします。開業してみてこの患者さんが非常に多いことに気づきました。頭痛や生活習慣病とも密接なつながりがあり、心臓や血管に負担がかかるため将来的に心筋梗塞や脳卒中になる可能性が高まるので要注意です。また眠気による自動車事故のリスク上昇もあり、放置できない病気だと思っています。患者さんは、やはり生活習慣病や頭痛のある方、肥満傾向の方に多く見られますね。当院では、簡易検査機を一晩お貸ししますので、ご自宅で気軽に就寝時に検査をしていただけますし、重症の診断がつけばCPAP(シーパップ)という、睡眠時にマスクのような器具を鼻に装着して空気を送り込む治療なども行っていきます。

スタッフと力を合わせて、医療の満足度を上げたい

先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?

道傳整院長 どうでんクリニック5

生き物に興味があり、最初は遺伝子やバイオ系の分野に進もうと考えていました。しかし、高校2年生の頃に祖父ががんにかかり、自宅療養で日々弱っていく姿や家族が大変な思いで介護しているのを見て、「なんとかならないだろうか」と思ったのが医師を志したきっかけです。専門に脳神経内科を選んだのは、研修中に脳卒中に興味を持ったことが大きいです。当時、脳梗塞に対して静脈注射で血栓を溶かして血流を再開させる血栓溶解療法という新しい治療法が承認されて、今後発展する可能性がある分野だと思いました。その後、脳神経内科を専門に勤務する中で、専門性を生かしながら、もっと地域に根差した医療を行いたいという思いから開業にいたりました。

診療では、どんなことを心がけていますか?

笑顔で、患者さんの話をなるべく聞くようにしています。時間は多少かかりますが、話を聞いてあげるだけで頭痛などの症状が楽になる方もいらっしゃいますし、話の中で診断に結びつくような有用な情報も得られます。例えば、一言二言交わすだけでも家庭生活の様子がわかりますし、それがきっかけで介護サービスの導入を勧める場合もあります。病気の治療に限らず、私は社会背景や家庭環境も把握するように努めたいと思っています。やはりご縁があって、たくさんのクリニックの中から当院を選んでいただいているので、できるだけ適切な治療・ケアをして差し上げたいですし、ここに来て良かったと思っていただきたいですから。

これからの目標をお聞かせください。

道傳整院長 どうでんクリニック6

患者さんが少しずつ増えてきている中では、自分一人が頑張ってもできることや対応できる時間には限りがあります。やはりスタッフ皆で全体的にレベルアップしていくことが必要だと思っています。そこで当院では定期的にミーティングをして、薬の使い方、患者さんへの説明や介護に関するアドバイスの仕方、心肺蘇生法などを全員で勉強しています。またスタッフ全員で半年間かけて、クリニックの理念や行動指針をまとめあげました。来院してくださる方のことを一番に考え、小さな組織だからこそ職種の壁を越えて皆が助け合い、周囲に目を配って自分に今できる業務を見つけて取り組むことで、効率のよい診療が実現し、患者さんの満足度も上がると思います。スタッフが病気や介護に関する専門的なこともアドバイスでき、主体的に動けるような体制にして、地域でますます信頼されるクリニックになりたいですね。

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