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本田 敏浩 院長の独自取材記事

本田眼科医院

(北九州市小倉北区/香春口三萩野駅)

最終更新日:2022/09/01

本田敏浩院長 本田眼科医院 main

山門町バス停から徒歩約4分の場所にある「本田眼科医院」。「内科のように、日常での些細なお困り事があれば気軽に相談してくださるのが一番です」と穏やかな口調で話すのは院長の本田敏浩先生だ。院内での検査・手術経験も豊富だが現在は地域のかかりつけ医として幅広い相談に乗り、大きな疾患が疑われる場合は速やかに高次医療機関につなぐ体制を取っている。「眼鏡・コンタクトレンズの相談や処方、ドライアイなどの悩みの中から、緑内障などの疾患が見つかることも考えられます。また遠視のお子さんがしっかりと学習していけるよう眼科の医師としてサポートすることも、地域のクリニックだからこそできることでしょう」と未来を見据えたアドバイスを得意とする院長。強度近視、遠視などで注意したい点、さらに年を重ねる上での心構えなどを聞いた。

(取材日2022年8月4日)

内科のように、日常的な相談事を話せる場所として

どんな患者さんが来ていますか?

本田敏浩院長 本田眼科医院1

主に地域の方ですね。近隣の眼科のクリニックさんが相次いで閉院されたことなどもあって、時間帯によっては一時的に混み合うこともあります。年齢層や主訴も幅広いですよ。コンタクトレンズを作りたい、ドライアイが気になる、緑内障の治療に定期的に来ているなどさまざまです。当院も白内障などの手術対応をしていたのですが、最近は精密な検査が必要だと判断した方は、高次医療機関へご紹介するようにしています。当院にもさまざまな眼科の機器がありますが、眼科の検査機器はとても性能が高く、しかも次々に新しい機器が出てきます。そしてそれらの新しい機器をコンスタントに入れ替えできるのはやはり大きな病院。手術などが必要な病気の診断には精密な検査が必要不可欠ですから、無理に当院で対応するのではなく、信頼できる医療機関にお願いしています。

開業医と病院とのすみ分けということでしょうか?

そうです。検査・治療機器の進歩も一つの理由ではありますが、目の手術などの先進的な医療は、必ずしも開業医がやるべきものではないと私は考えます。眼科のクリニックは、内科のように日常的に使っていただく場所だと思うのです。風邪をひいて熱がある・咳が出るなどの症状があれば、自然と内科に行きますよね。それと同じように、目で困っていること、例えばドライアイが気になるとか、眼鏡の度数が合っているか調べたいとか、そういう日常的なちょっとしたお困り事を気軽に相談できるのが、私のような開業医の役目であると感じています。

「この症状、なんか気になるな」という小さなきっかけでいいのですね。

本田敏浩院長 本田眼科医院2

もちろん、眼科のクリニックを受診するのに十分に値しますよ。それにそのちょっとした違和感やお困り事の中に大きな病気が隠れていることもあるんです。その最たるものが緑内障ですね。近視、中でも特に度数が強く、眼軸が長いものを強度近視といいますが、強度近視と緑内障は判別が難しいこともあります。他にも強度近視の方は網膜剥離の可能性が高い上、50代とまだ若い頃に白内障が発症しやすく、進行も早くなりがちです。なのでまずは日常のお困り事を放っておかず、お近くの眼科に相談し、早期発見に導いてもらうことがとても重要なんです。ドライアイや近視はごく一般的な症状ですが、だからといって軽視はできないということです。

子どもの遠視・色覚障害を早期発見し、成長を守りたい

お子さんの場合に気をつけるべき点などはありますか?

本田敏浩院長 本田眼科医院3

先天性の異常を早い段階で見つけることが重要です。特に遠視や、女の子よりも男の子に出やすい色覚障害などがそうです。小児科で行う3歳児健診、そして学校での健康診断は大きなポイントになると考えてください。遠視は「遠くが見えるならいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、机に座って授業を受けるお子さんにとって手元が見づらいのは相当なストレスになるはずです。「授業中にじっと座っていられないから発達障害かもしれない」と思われたお子さんが、実は遠視によって集中力を欠き、授業をまともに受けられない状態であるということも考えられます。

結果ばかりではなく原因をしっかり見極めないと、病気を見逃してしまうのですね。

学校検診などで遠視のお知らせがあるなら、そこでちゃんと眼科に行ってその子に合う眼鏡などを適切に使えば、集中して授業を受けてくれるようになる可能性があるでしょう。「遠視気味」という小さなサインであっても、お子さんの現在の学力や学校でのコミュニケーション、ひいては将来に関わってくると考えれば、放置することなど到底できませんよね。また心因性視覚障害という症状もあります。検査では原因が見つからない、しかし本当に本人はまったく視力が失われている状態という、心因性の症状です。これも診断がとても難しいのですが、学校にストレスを感じているなどのほか、様子を見てみるとお母さんが下の弟さんたちにかかりきりであるなど、原因が見えてきますので、適切に対処する必要があります。

患者さんやご家族のご様子を観察することも大事なのですね。

本田敏浩院長 本田眼科医院4

人の心を見るという点は非常に大切です。血糖のコントロールについては数値の変動だけではなく生活背景もしっかり把握する必要があるように、眼科でも患者さんがどういう生活をしているのかなど、背景をよく考えて診察をしなければなりません。人間は“社会的な動物”、つまり人と関わりながら生きていくものです。木を見て森を見ずにならないよう、患者さんの言葉を真摯に受け止めることが大事です。眼科の疾患で命を落とすというのはほとんどありません。命に関わるとしたら、目に症状があるとしても、原因は脳にあるケースがほとんどです。だから眼科は患者さんの現在のQOL(生活の質)を上げることをめざすと同時に、将来のQOLを上げる、もしくは維持することに貢献する治療ができる場所なんです。

「見える」状態を保ち、自立した生活を送ってほしい

将来的なQOLとは具体的にどういうことでしょうか?

本田敏浩院長 本田眼科医院5

ひと昔前のようにある程度の年齢になると視力が落ちるのは当たり前という時代では、もはやありませんね。寿命が長くなる中であっても、緑内障などは高血圧や高脂血症と同じくらい誰にでも起こり得る病気です。若い頃と同じ視力を維持するのは難しくとも、早期発見・早期治療によって少しでも視力を保つことが大事です。ご自身やご家族へ影響を及ぼすのと同時に、社会への影響をはらんでいることにも思いをはせてみるとなお良いと思います。年を取っても自分の足で歩く、自分の見える範囲のことを自分で対応できる方が多い社会であれば、介護や看護の職に就く人の負担軽減にもつながると思うのです。ご自身の目を大切にすることが、誰かのためになるかもしれないというところまでイマジネーションを膨らませてほしいと切に思います。

そういうことを患者さんにもお伝えしているのでしょうか?

もちろんです。そうすると患者さんもご自身の体への“当事者意識”を持ってくださると思います。「完全に闇の世界になるのは楽しくないでしょう?」と話せば多くの方は理解されますし、一つ上の視座で考えていけるようになるでしょう。また病院の検査などに行く場合は「なぜ検査が必要なのか、検査結果ではどういう点に特に気をつけて話を聞くべきか」などもお伝えします。そうすると検査の必要性やご自身の症状にも自覚的になってくださるはずです。そうやって患者さんの「なぜ?」をサポートしながらお一人お一人に寄り添っていけるのが、かかりつけ医の仕事なのだと思いますよ。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

本田敏浩院長 本田眼科医院6

「長い間、同じ眼鏡を使っているから度が合っているか気になる」「疲れ目が治らない」など、ちょっとしたお悩みでもぜひ眼科に足を運んでください。今の時代、おせっかいな人が減ってきました。でも医療ではそのおせっかいが治療の一助になることもあります。水を向ければ「実は私もそれが気になっていて……」と心のうちを明かしてくださる患者さんもたくさんおられます。日常の小さな引っかかりを取りこぼさず、当院でできることは当院で、難しい場合は高次医療機関へつなぎながら、患者さんの人生の中での“見える”状態を保ち、ご自身の足でいろんな場所に行けるようにサポートできればうれしく思います。気にかかることがあれば気軽にご相談ください。

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