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三世 敏彦 院長の独自取材記事

三世ペインクリニック

(松山市/福音寺駅)

最終更新日:2021/10/12

三世敏彦院長 三世ペインクリニック main

松山市東部、数多くの教育施設が集まる文教地区・桑原エリア。その閑静な住宅街の中に「三世(みつよ)ペインクリニック」がある。椎間板ヘルニア、四十肩、脊柱管狭窄症、帯状疱疹など、日常生活を阻むつらい「痛み」の症状を取ることに注力しているクリニックだ。「私自身もスポーツによる体の痛みに悩まされてきました」と話すのは、院長の三世敏彦(みつよ・としひこ)先生。痛みの悪循環を断ち切り、根本から治すことを方針に掲げており、栄養指導まで徹底したサポートを展開。遠方は高知県から訪れる患者もいるという。明るく話上手な三世先生に、痛みのメカニズムや治療法について詳しく聞いた。

(取材日2019年10月30日)

チーム医療でさまざまな角度から痛みにアプローチ

まず初めに、先生が医学の道に進まれた理由を教えてください。

三世敏彦院長 三世ペインクリニック1

私は学生時代から剣道や陸上などのスポーツをやってきたのですが、故障で腰や足、肩などがすぐに痛くなるのに長年悩まされてきました。それで「なんで体が痛むのかな」と興味を持ったのが、医師をめざしたきっかけです。最初から「痛みを取る医師になりたい」と思って医学部に入ったので、麻酔科、つまりペインクリニックを選んだのは自然な流れでしたね。そして大学の付属病院などでの勤務やアメリカ留学を経験した後、当院で痛みやリハビリに特化した診療を始めました。

クリニックの特徴を教えてください。

透視下ブロックといって、レントゲンや超音波で体の内部を透視しながら注射する方法を採用しています。体の深い部位に対しても目視しながら注射していくため、ピンポイントに注射が打てる特徴があります。従来はレントゲンによる透視のみでしたが、超音波も使えるようになったため、神経・血管の状態や拍動をリアルタイムで確認しながら、より的確に注射できるようになりました。また、注射だけでなく食事などの栄養管理を通じて痛みが生じにくい体にしていくことにも注力しています。そこまでやる治療法は四国四県の中でもめずらしいようで、遠くは高知県などから来られる患者さんもいらっしゃいますよ。

診療において大切にしていることは何ですか?

三世敏彦院長 三世ペインクリニック2

症状は見た目からはわからないので、患者さん一人ひとりに丁寧にヒアリングをした上で検査をし、原因の究明とその人に合う治療法の提案を行っています。もっとも、まず一番大切なのは患者さんが訴えている痛みを少しでも早く取って差し上げることです。長引くと脳が痛みを覚えてしまって悪循環に陥りますから。そして痛みが既に慢性化してしまっている場合には、さまざまなことを総合的に考えながら改善を図る必要がありますので、理学療法士、管理栄養士、心理士らと一緒に集学的な治療を行っていきます。具体的に言うと、心理的な要因が関わっていないか、食事の面で改善すべき点はないか、リハビリはどの手順で進めていけばいいか、などです。

集学的な治療を行うことのメリットは何でしょう?

複数の専門職が多角的な観点から一人の患者さんを診るので、見落としが少なくなることです。実際、自分一人では気がつかないことを指摘されて、ハッとすることもしょっちゅうあります。この診療スタイルが患者さんにとっては一番なんじゃないかと思っていますね。

痛みなど体の不調に栄養バランスの視点からも取り組む

痛みを取る治療は、具体的にどのような手順で行っているのですか?

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例えば当院が得意とする四十肩、五十肩など肩関節の治療の場合、まずは首に神経ブロック注射をして痛みを取り除いていきます。その状態で肩を動かしてもらうと、癒着した患部が剥がれて可動域が広がります。それからリハビリテーションなどを継続して、症状の緩和と再発防止につなげていきます。ですが、何より大切なのは「なぜこのような症状が起きたのか」という根本の原因を究明し、もとから改善を図ることです。その根本の原因は、体の栄養不足にあると私は考えています。そこで食事の改善による栄養管理が大切になってくるわけです。

栄養不足が痛みに関係するとは、意外でした。

肩こりなどの痛みは、筋肉を覆っている筋膜の動きが悪くなることで発症します。この筋膜はコラーゲンでできているので、コラーゲンをつくる鉄やビタミン、タンパク質が不足していると肩こりを起こしやすくなると考えています。そのため当院では近年、これらの栄養素を積極的に摂取することを勧めるようになりました。足りているかどうかを診断するには血液検査などに加えて、貯蔵鉄の数値も見る必要がありますが、健康診断では通常検査しないのでなかなか気づきにくいのが現状です。

そんなに栄養が不足している人が多いのですか?

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鉄分については、不足しやすい栄養素であるといわれています。これには食生活の変化や、鉄鍋などの鉄製品を使わなくなってきたことも影響していると考えられるでしょうね。小麦や糖質を多く取ることによっても体内の鉄分が消費されるため、アメリカなどでは小麦製品には鉄・ビタミンを入れることを法律で義務化しているくらいなんです。それほど、鉄分摂取は大切なんです。さらに日本人に一番足りていないのはタンパク質ですね。欧米人に比べるとタンパク質の摂取量は3分の1程度ともいわれているので、日本人は肉を食べる量をもっと増やすべきだと思います。

それ以外の病気も、栄養と関わりがありますか?

あると思います。例えば帯状疱疹にかかる人は体の免疫力が低下していることが考えられますが、免疫力をつけるためには、タンパク質も必要な栄養素の一つなんですよ。また、セロトニンという痛みを和らげる神経伝達物質のもととなるのもタンパク質なんです。だからこそ、高タンパクの食事を取ることは痛み治療のためたいへん重要だと考えるのです。一方で、糖質の過剰摂取はお勧めできませんね。食生活を見直すと糖尿病などの改善にも期待できるようになりますので、一石二鳥ですよ。

痛みの悪循環を断ち切り健やかな暮らしを

先生ご自身はどのような食事を?

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私自身は、夕食には最低でも肉を500グラム以上は食べるようにしています。朝から昼にかけてはプロテインやナッツ、アミノ酸などを取るようにしていますね。野菜も便通維持のためには不可欠ですが、一番大切にしているのはやはりタンパク質を多く取ることです。日本人の平均寿命が50年程度だった時代には素食が美徳とされてきましたが、100歳まで長生きできる可能性がある現代では、食生活は昔と同じではだめだと思うんですよね。肉を食べられない人は、代わりにプロテインやアミノ酸を取るのもいいかもしれません。

生活習慣やプライベートについても教えてください。

少し変わっているかもしれませんが、いつも夜は20時までに寝て、1時に起きて家事のフォローをしたり、クリニックの事務作業をしたりしています。そして1時間ほどジョギングをし、少し仮眠を取って仕事に出るというのを習慣にしています。勤務医時代は当直などもあって生活リズムが乱れがちでしたが、今は自分のペースで生活サイクルをつくれるのがいいですね。プライベートでは3歳から中学2年生まで5人の子どもがいるので、時間があるときは一緒に遊んだり、習い事の発表会を見に行ったりするのが楽しみです。

今後の展望をお聞かせください。

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できれば入院設備をつくりたいですね。薬剤を使った椎間板ヘルニアの新しい治療法や、神経の癒着を剥がす脊柱管狭窄症などの治療法にも対応できるようにしたいです。今も技術的には可能なのですが、合併症などのリスクを管理するためには、やはり入院できたほうがいいと思うんです。当院で対応できる治療を増やすことによって、より多くの患者さんのお役に立てるようにしていきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

つらい痛みを取り、健やかに日常生活を送れるようにするのがペインクリニックです。痛みは放っておくと慢性化し、うつ症状などを引き起こすことも懸念されるため、悪循環を早めに断ってあげることが大切です。当院では一時的に痛みを取るだけでなく、その人にとっての「根治」とは何かを考えて治療を進めていきます。腰痛、帯状疱疹、頭痛、肩こりなどに広く対応していますので、痛みを我慢せずにまずは一度ご相談ください。実際に受診して、「もっと早く来ればよかった」と話す患者さんも多いんですよ。また、痛みが慢性化している患者さんを診ると、鉄欠乏、タンパク質・ビタミン不足であることがよくあります。食事の改善が鍵となるかもしれませんので、最適な治療法を一緒に考えていきましょう。

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