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氏野 博昭 院長の独自取材記事

ルナペインクリニック

(東大阪市/布施駅)

最終更新日:2021/10/12

氏野博昭院長 ルナペインクリニック main

近鉄東大阪線・奈良線の布施駅を降りて徒歩1分の場所にある「ルナペインクリニック」。「ペイン」とは英語で「痛み」のこと。その名のとおり、「痛みの診断と治療」を専門的に行うクリニックだ。腰痛・肩こりなどの慢性的な痛みから、いわゆる風邪などの感冒による喉の痛みまで、扱う症状は幅広い。「どんな部位、どんな症状でもいいから、痛みがあれば気軽に相談に来てください」と語る院長の氏野博昭先生。長年、整形外科に通っていても治らなかった患者が同院へ通うようになり改善したという例もいくつもあると言う。氏野院長にペインクリニックとはどういった科なのか、どんな治療をするのか。さまざまな観点から話を聞いた。

(取材日2018年3月5日)

扱うのは「喉の痛み」から積年の「腰の痛み」まで

まずは、開院までの経歴を教えてください。

氏野博昭院長 ルナペインクリニック1

私は大阪市生野区で生まれ、育ちました。大阪市立大学医学部に入学した後、医療の多彩な面を学べるとの理由から選んだのが麻酔科。その後は、救急救命センターで事故を起こした重症患者さんなどの命を救う最前線の現場で働いていました。そこで間近に見たのが、事故後にも長く「痛み」に苦しんでおられる患者さんたちの姿。救命の仕事も大切ですが、日々「痛み」と戦って暮らしている人たちのフォローもしてあげたい。そんな気持ちが強くなり、8年前に開業に至りました。診療所名の「ルナ(LUNA)」とは月を表すラテン語。慢性的な痛みや病気に苦しむ患者さんにとって、日常生活は、まるで暗闇のようなもの。その暗闇にわずかでも光をあてることができたらと願い、「ルナペインクリニック」と名付けました。

どのような症状の患者さんが多いのでしょう。

クリニックの前の看板には「喉の痛みから積年の腰の痛みまで」というフレーズを掲げております。その言葉どおり、痛みがあればどんなことでも診察します。喉が痛い、頭痛がする、生理痛がひどいなどの内科が得意とする症状も対応します。とはいえ、一番多いのはやはり首、肩、腰、膝などの慢性的な痛みでお悩みの方でしょう。整形外科や整骨院へ行ってもなかなか満足のいく結果が得られない方が、当院を訪ねて来られるようです。「ペイン」という横文字が使われているので難しく思われるかもしれませんが、要は「痛み専門の医者」。痛みがあればどんな症状でもいいので、相談に来てほしいと思います。

患者さんは近隣の方が中心ですか?

氏野博昭院長 ルナペインクリニック2

いえ、ご近所さんというより、どちらかというと自転車や電車で少し離れた場所から通われる方のほうが多いですね。年齢層もご高齢の方が多いと思われるかもしれませんが、40代50代の方が中心です。皆さん、長年整形外科に通われたのに完治せず、インターネットで調べて当院をめざされる方が多いようです。腰痛・膝痛などの場合、整形外科では湿布や痛み止めで対応することが多いのですが、ペインクリニックでは痛みを抑える注射を使います。こうした痛みを抑える注射はペインクリニックで専門的に行っているので、長年の痛みに悩まれている方はぜひ一度ペインクリニックを受診されることをお勧めしますね。

痛みがあれば治療する。それがペインクリニック

整形外科との違いは、どういったところでしょうか?

氏野博昭院長 ルナペインクリニック3

考え方そのものが違いますね。整形外科の場合、エックス線などの検査で痛みの原因を特定してから治療を行います。時々、「骨は何ともないので、痛いはずないのになあ」といったことをおっしゃられる整形外科の先生もおられるかもしれませんが、ペインクリニックではそういうことはありません。最低限の検査はしますが、痛みがあれば、それだけで治療に値します。痛みは主観的なものなので、同じ衝撃でも、痛いと思う人と思わない人がいます。ですので、その人が「痛い」と感じるのであれば治療しようというのがペインクリニックの考え方です。例えば、肩こり。この症状も要因はさまざまで特定不明のことも多くありますが、トリガーポイントブロックという注射を打つことで、多くの方で症状の劇的な改善が期待できます。

局所麻酔だけで症状が改善されるものでしょうか?

神経ブロックにはたくさんの種類がありますが、血流を良くして炎症を抑えるということがメインです。痛みを一時的にごまかしているだけと考える人もいるかもしれませんが、これを繰り返すうちに自己治癒力が高まり、症状の改善につながっていくんです。長い期間、「痛み」に悩まれている方にとっては、少しでも痛みのない時間をつくってあげることが大事。その間に動かせなかった部分が動かせることで悪循環を断ち切ることができるのです。何よりも即効性が高いことも利点の一つでしょう。来られた時にまったく歩けなかった人が歩いて、普通に帰られたり、ぎっくり腰で腰を曲げて来院された方が、そのまままっすぐに立って帰られたりもします。神経ブロック療法には保険がきかないと思われている方もいますが、ほとんどで保険が適用されています。

神経ブロックが自律神経失調症にも効果が期待できると聞きました。どうしてでしょう?

氏野博昭院長 ルナペインクリニック4

喉には星状神経節といって、脳・顔面・頭部・頚部・上肢・心臓・肺などに交感神経の「中継所」のようなところがあります。この星状神経節の側に局所麻酔薬を注射し、交感神経の働きを一時的にブロックするのが「星状神経ブロック療法」です。おのずと副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整えられますから、痛み以外のストレスによる病気にも効果が期待できるんです。頭痛を治そうと治療を開始したところ、胃腸虚弱、冷え性、花粉症、耳鳴り、便秘、魚の目など目的以外の症状が改善したという例もたくさんあります。

ペインクリニックへの正しい理解を広めたい

診察・治療の際に注意されていることは何でしょう?

氏野博昭院長 ルナペインクリニック5

診察で大切にしているのは、患者さんが何に困っているか、どうしたいかを聞き取ることです。治療にブロック注射を使うか、使わないかということも、その一つ。私としてはペインクリニックの最大の特徴であるブロック注射を勧めたい気持ちもありますが、患者さん本人が嫌がられる場合は、ブロック注射なしで治療できる方法も考えていきます。また、注射に使う針はなるべく細いものを使っています。痛みを取り除くために、痛みがあったら本末転倒ですからね。多くの方の感想としては「思ってたほど痛くなかった」とおっしゃられます。あと、注意しているのは表情です。来院当初、しかめっ面をしていた人が、3回ほど来ると柔和な表情になっていたりしますから、表情で治療法や治療経過を判断できるように努めています。

これからの目標や課題はありますか?

先ほども言いましたが、患者さんに高齢の方の割合が少ないのが課題だと思っています。インターネットを自由に使える方はいいのですが、高齢の方の中には神経ブロック注射に対して、「骨が溶ける」とか、「癖になる」などのデタラメを信じられている方も多い。私がそのことを聞かれた場合、「その情報の出所はどこで誰が言ってるの? 医者はそんなこと言ってないでしょ」と諭すようにしています。ただ、どうしても「ペインクリニック」そのものの知名度が高齢の方には低いのは事実。高齢化社会が続く中、「痛み」に悩まれる高齢患者さんは増える一方でしょう。そういった方々のためにも、お子さん、お孫さん世代を通じてでも地道にペインクリニックの知名度を上げていかないといけないと思っています。

医師をされていて、やりがいを感じるのはどのような時でしょうか?

氏野博昭院長 ルナペインクリニック6

患者さんから、「治った、ありがとう」と感謝された時でしょうか。ただし、ペインクリニックでは「痛み」がなくなると患者さんはぴたりと来なくなるんですよ。逆にずっと患者さんが通い続けているということは治っていないということ。ですので、患者さんが来なくなるということは医師にとってある意味、喜ばしいことです。でも、たまに再発したり、別の症状でまた来られた時に感謝の言葉をいただくと、とてもうれしいです。自分の治療が間違ってなかった、信頼されていたという証ですから。これからも一人でも多くの方の「痛み」を治療し、喜ぶ姿をたくさん見ていきたい。そして、苦しむ人たちにわずかでもいい、月の光のような希望を照らすことができれば幸いです。

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