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大多和 伸幸 院長の独自取材記事

おおたわ消化器内科外科

(横浜市鶴見区/鶴見駅)

最終更新日:2024/01/10

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科 main

鶴見駅の西口を出て徒歩3分。にぎやかな豊岡商店街から左折してすぐの場所に、「おおたわ消化器内科外科」はある。1962年に開院した歴史のある医院だが、患者が快適に過ごせるよう2005年に改築した。大多和伸幸院長は末期がん患者と接する機会が多かった大学病院勤務を経て、父である前院長と二人三脚で地域の健康を支えてきた。そして父を亡くした2019年以降は院長として、一人ですべての診療にあたっている。精神的な要素が影響することも多い胃腸の疾患。その背景を知るためにも患者の話をきちんと聞いて共感する「傾聴」を大事にしているという。「写真を撮られるのは苦手」と照れ笑いする大多和院長に医師をめざしたきっかけ、診療方針などについて話を聞いた。

(取材日2023年2月1日)

60年以上地域に根差してきた医院の2代目として

開院から60年と、歴史のある医院だそうですね。

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科1

当院の開院は私が生まれる4年前の、1962年です。鶴見胃腸科外科医院として、父が始めました。父は若い頃に鶴見に下宿していたので、この周辺は以前から知っていたようです。地域の思い出で父から聞かされているのは、医院を始めて間もなく、外出中に隣家が火事になったこと。幸い当院は焼けずに残ったそうです。この辺りは駅から近いので今ではたくさんのマンションが立ち並んでいますが、昔は一戸建てばかりだったんですよ。2019年に父が亡くなり、私が院長を引き継ぎ、院名を「おおたわ消化器内科外科」としました。町はすっかり変わりましたが、気づけば当院は地域に根差して60年以上になります。以前は高齢者が多かったのですが、私が院長になったくらいから若い世代が増えてきていると感じています。地域の人口の構成割合も変わってきているのかもしれませんね。

医師をめざしたのはお父さまの影響でしょうか?

その影響はもちろんありますね。私は幼い頃、小児喘息を患っていたんです。呼吸ができず、このまま死んでしまうのではないかと思ったことも何度かありました。そんな経験からも、大人になったら苦しんでいる人を助ける医師になりたいと、いつの間にか思うようになりました。医師になると決めた時は父に報告しましたが、「ああ、そう」くらいでしたね。内心は喜んでくれていたと思いますが(笑)。父は気の長い人で、どんな患者さんも分け隔てなくじっくり診ていました。2代目の僕はあまり苦労せずにきてしまったせいか、時には父の考え方と意見が対立することもありました。でも、そんな父の考え方でやってきたからこそ、当院はこれだけ長く地域の皆さんに愛されてきたのかと。だから父を見習わなければいけないと思っています。

診療内容について教えてください。

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科2

当院は胃と腸を専門とする医院です。でも町の医院ですから、風邪や頭痛などの急性症状や高血圧や高脂血症といった成人病の患者さんも診ています。外科では、指を切った、打撲したというような方がいらっしゃいます。専門の胃腸に関する症状で最近多いのは、内視鏡検査などでこれといった原因が見られないにもかかわらず症状がある機能性ディスペプシアと呼ばれるもの。胃の動きが悪くなることで、胃がもたれる、おなかが張る、胃が痛い、食欲がないなどの症状があり、比較的若い人が多い傾向でしょうか。胃の動きを良くするための薬を処方することで改善が期待できることもありますが、隠れて神経症やうつ状態があったり、不眠症を併発しているような場合も。そういった場合にはお話をよく聞いた上で、単純に胃の薬だけではなく、精神安定剤など精神面に働きかける薬も使うことで改善を図っていくことも多いのが特徴です。

患者の負担を軽くすることを考えた検査と院内処方

胃腸の不調を感じる患者さんには、やはり検査という要素が重要になりますよね。

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科3

そうですね、検査は重要ですね。胃の場合はバリウム検査と胃カメラがあります。かつて多くやっていた胃のバリウム検査はピロリ菌由来の萎縮性胃炎をスクリーニングするには非常に有用な検査なのですが、時代の流れとともに最近ではやはり胃カメラが第一選択となっています。現在、当院では患者さんの負担を考えて、鼻から検査を行う経鼻内視鏡検査を主に行っています。胃カメラにありがちな嘔吐感はほとんど感じず、経口内視鏡と比べ楽だと感じる方がかなり多いのではないでしょうか。超音波診断装置も一昨年に新しくし、より画像が精細になりました。また、機械の立ち上がりの速度が非常に速くなったので、例えば診察をして「超音波検査が必要かな?」と思ったら、すぐに検査が開始できるのもメリットです。

基幹病院ともネットワークを組んでいらっしゃるそうですね。

済生会横浜市東部病院の消化器に関するチームが中心となっている取り組みなのですが、大腸がん、胃がんの術後の患者さんのフォローを行っています。東部病院は専門医療機関でとても混みます。そこで、術後、状態の落ち着いた患者さんは、提携している町の医院に通って経過を観察し、もし異常があったら東部病院へ戻るような体制が整えられているんです。地域の消化器系の医院と基幹病院が一体となって、地域で患者さんを診るという取り組みですね。ネットワークとして取り組んでいるケースは全国的にも珍しいと思います。

他にこちらの医院ならではの特徴はありますか。

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科4

当院は、ずっと院内処方を行っております。ただでさえ体調が悪いというのに、診察の後に外部の薬局まで薬をもらいに行くのは、患者さんにとっては大きな負担ですよね。そのような負担を減らすべく、院内処方を行っておりますが、患者さんにその点も喜んでいただけたらうれしいです。

しっかり話を聞いてあげる。町の医院ならそれができる

診療する上で心がけていることを教えてください。

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科5

まずは、「初心を忘れない」ということ。医師になりたての頃は患者さんに喜んでいただけるようにと若い気持ちで燃えていましたが、だんだんそういう気持ちが薄れてしまうことも。ですから、当初の気持ちを忘れずにいようと気をつけています。また、「病める患者さんに共感する」ということをポリシーにしています。そのためには「傾聴する」ということが大事だと思っていて、患者さんの目を見てしっかり話を聞くことを常に心がけています。そして、痛みや苦しさに共感してあげること。患者さんが痛がる場所を触ることも大事にしています。触診や検査などから適切に診断し、当院で対応できるものは治療し、そうでなければ基幹病院を紹介する。患者さんの最初の駆け込み寺として、しっかり役割を果たしていきたいです。次に来ていただいた時などに「おかげさまで良くなりました」と言ってもらえたら、やはりうれしく、やりがいにつながります。

今後、取り組んでいきたいと考えていることはありますか。

あちこちの医院に行くのではなく、1箇所に絞って長く付き合っていく「かかりつけ医」がこれからますます充実していくと考えているので、その役割を担っていければと思っています。かかりつけだった高齢の患者さんが自宅で眠るように亡くなったと連絡をいただいて、たまたま診療後の時間だったので、ご自宅まで駆けつけたことがあり、ご家族にとても喜んでいただけました。高齢者の方はいずれ外に出られなくなって在宅医療が必要となる時期がきます。でも、父が亡くなってからは、当院の医師は私一人なので、往診に行く時間が取れず、往診専門の先生にお任せすることがどうしても多くなっています。最期まで診てあげたいけれど、体は一つなので、なかなか難しいのが現実。同じようなもどかしい思いをしている医師も多いではないかと想像します。

地域にとってどのような医院でありたいとお考えですか?

大多和伸幸院長 おおたわ消化器内科外科6

「この医院へ来て良かった、先生に話を聞いてもらえて良かった」と患者さんに思ってもらえるような医院でありたいです。ストレスで胃腸を悪くする患者さんも多いものですが、一見元気そうな方でも実は心の中にいろいろ悩みを抱えている場合もあると思います。そんな場合に、話を聞いて差し上げるだけで気分が楽になることもあるのではないかと思います。そのために診療に時間がかかったとしても、当院のような小さな医院ならばそれができます。「何でも屋さん」といったらおかしいかもしれませんが、地域のかかりつけ医として、何かあった時に消化器のことだけでなく相談できる医院でありたいと思いますし、「大丈夫ですよ」と安心感を与えられる医師でありたいとも思います。何でも気軽に相談に来ていただければうれしいです。

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