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松本 好市 院長の独自取材記事

高茶屋クリニック

(津市/久居駅)

最終更新日:2021/10/12

松本好市院長 高茶屋クリニック main

近鉄久居駅から車で約10分。緑豊かな自然の中にある「社会福祉法人洗心福祉会 高茶屋クリニック」。三角の屋根とガラス張りのクリニックの内部は、木の梁がそのまま見える、自然な雰囲気。同院はにぎやかな子どもたちが通う2つの保育園、そして「地域総合ケアセンター シルバーケア豊壽園」の大規模な施設に囲まれている。松本好市(こういち)院長は、クリニックの醸し出すナチュラルな雰囲気そのまま、柔和な笑顔が印象的なドクター。消化器外科の医師としての実績と多様な経験値を生かし、子どもから大人まで、施設を利用する皆の健康に気を配る。「人と話をするのが大好き」という松本院長は、どんな質問にもユーモアたっぷりに答えてくれてくれた。

(取材日2019年12月18日)

高齢者から元気な子どもたちまで幅広く診察

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

松本好市院長 高茶屋クリニック1

当院は「地域総合ケアセンター シルバーケア豊壽園」に併設された診療所です。同一法人が運営するケアハウスや老人保健施設、グループホーム、居宅支援事業所、包括支援センターの他、保育園も隣接しています。高齢になると複数の疾病を持ち、慢性的な症状に悩む方がほとんどです。当院ではそういった方々の診察、治療、さらにケアをする役割を果たす部分が大きいといえるでしょう。入所者の方に対しては週に1回の回診で顔を見てお話をし、調子が悪くなった方は個別に受診されます。また保育園に通う子どもたちはとても元気ですから、走り回って転んだり、体のあちこちをぶつけてケガをしたりすることもあります。そういった外傷の処置や診察も行っています。少数ですが、施設に通う方のご家族や地域の住人の皆さんも診察に来ることがあります。

院長に就任された経緯を聞かせていただけますか。

私は三重大学医学部を卒業後第2外科に入局し、大学院博士課程を修了後同教室の主要分野であった大腸外科を選択、1年間の関連病院出向を除き、大学病院で足かけ30年間、研究、医学生の教育とともに大腸がん、難治性の腸疾患IBDの治療に携わりました。その後、四日市社会保険病院(現・JCHO四日市羽津医療センター)の院長として赴任、18年間管理者として苦労してきましたが、定年が近づいたある時、同じ団地にお住まいの当法人の理事長から声をかけていただきました。長女さんが私の次女と同年で親友、洗心福祉会第一号の保育園に一緒に通園、奥さまにもたいへんお世話になるなど、家族皆顔見知りであったこともあり、院長終了後はクリニックをお願いしたいとお誘いをいただいていました。そんな縁で、4年前から外来診療をお手伝いさせていただいていたのですが、前任院長2人が心ならずも相次いで退職され急きょ院長に就任させていただきました。

設備も新鋭のものが導入されていますね。

松本好市院長 高茶屋クリニック2

CT検査もできますし、新鋭の腹部超音波装置による腹部エコーにも対応しております。腹部の肝臓や胆嚢、膵臓、腎臓や婦人科臓器の異常を侵襲少なく発見するための機器です。胆石や腎臓結石、場合によっては腫瘍を見つけることにも役立つもので、この検査をかつての勤務先で放射線技師長を務め、腹部超音波検査のリーダーであった男に任せています。私が信頼をおいている彼もまた、同時期に定年退職を迎え、さらに私や理事長と同じ団地に住むご近所さんでした。さらに私以外に、糖尿病や甲状腺を担当する先生、循環器を専門とする先生の2人が在籍しています。やはり大学の同級生やご近所さんで、気心が知れている仲間であり医師としても信頼している2人です。私の担当の患者さんでも、専門的な治療は必要な場合は、どちらかにお願いすることも多いです。

患者との「対話」を重視し、治療の糸口をつかむ

患者さんと接する上で心がけていることは?

松本好市院長 高茶屋クリニック3

大学では外科医師として、大腸の手術をたくさん手がけてきましたが、主治医の若い先生たちの指導が主で、直接患者さんと何度も話す機会は少なく、また院長としての18年間は、内部ではたくさんの職員たち、対外的には種々の分野の責任者との対話が多くなり、患者さんと直接会話する機会は激減していました。ところが、このクリニックを訪れる患者さんは、0歳児から100歳までの老若男女。赴任した当初は今までの患者層とはまったく違う別世界を見ているようで。今までの医師生活は何だったんだろうと(笑)。この患者さんたちを診ていくのには、医師として原点に立ち返り、よく観察することと可能な限りの対話しかないと……まあ、本来の医師に戻ったかな? ですからまずは自然体で、下から目線で患者さんに対応、またその家族さんが話しやすい雰囲気をつくることを心がけています。

院内は木のぬくもりが感じられ、リラックスしてお話しできそうです。

木の素材感を生かしたつくりになっています。きちんと聞いたわけではないのですが、「人のぬくもりを大事にする」という理事長の思いから来ていると感じています。患者さんともですが、私はスタッフを含めて働く人間皆と積極的にコミュニケーションを取っていきたいと考えています。医師や技師、看護師や事務スタッフが「ONE TEAM(ワンチーム)」として連携が取れ、いい関係であることは患者さんにも伝わるからです。私のこれまでの医師生活の中で培った「人」とのつながりという面でも、近隣のクリニック、医療機関に顔見知りの先生が多くいます。当院で対応できない疾患の患者さんであっても、すぐに紹介できる病診連携、診診連携の体制は整っていると自負しています。

長い経験の中で、特に印象に残ったエピソードを聞かせてください。

松本好市院長 高茶屋クリニック4

やはり第一番は、海外から来た結合双生児の腸の手術ですかね。弟の人工肛門を自然肛門に戻すための手術に携わったことがありました。いろいろな経緯を経て日本での治療を希望され、最終的に私と故・鈴木宏志第2外科教授と手術をしたわけです。予想以上の良好な経過で、術後2週間目には病棟の廊下でサッカーをしたり、また帰国前には鈴鹿市のサーキットのご協力で、サーキットをスポーツカーで1周2周と楽しんでいきました。

施設内の医療を担い信頼できる存在として尽力し続ける

ところで、なぜ医師をめざしたのですか?

松本好市院長 高茶屋クリニック5

子どもの頃から、検事を志していました。悪い人を裁くのに憧れていたので、医師になるなんて考えもしませんでした。私は父が早くに亡くなり、16歳上の長兄が医師として家族を養ってくれていました。兄が父代わりだったのですね。ちょうど進路を決める高校3年の時に、その兄が、病気になってしまい後継ぎになることを望まれたのです。今後検事をめざして法学部で勉強するにしても、兄のお世話にならなければなりませんから、やはり頼みは断れませんでした。とはいえ、実際に医師となって良かったと思っています。患者さんから感謝される喜びは、他の職業では得られないものだと実感しています。

忙しい中でも健康でいられる秘訣を教えてください。

昔から体を動かすのが好きで、今でも週に2回は硬式テニスを楽しんでいます。他にもストレッチなどで体は常に動かしていますし、ランニングマシーンも持っています。テニス歴は長いのですが、さすがに最近は年には勝てないのか出かけるのがおっくうになることもあります。それでも自分にむち打って(笑)、頑張って出かけています。すると、腰を上げるまで面倒だったはずなのに、実にすっきりするんです。ですから、同年代の皆さんにも、頑張って外出することをお勧めしたいですね。体が重いからと家に閉じこもっているのは悪循環です。もう1つ、私の健康の源は孫たちの存在です。若い未来のある孫たちと話していると、やはり元気な気持ちがみなぎります。

今後の展望を聞かせてください。

松本好市院長 高茶屋クリニック6

高齢の患者さんの中には、本来の症状をきちんと伝えるのが難しい方もいます。疾患とはかけ離れた話をずっとされる場合もありますが、それでも熱心にお話を聞くことを基本としています。外科の医師として身につけた診断力だけでなく、患者さんと出会った瞬間からその人を知ろうとするトータルな力が大切です。いずれは、施設外の患者さんに向けて開かれたクリニックになれればと思うのですが、現在は施設を利用される方を中心の診察を続けていきたいと思っています。施設の入所者や利用者、そのご家族などに安心していただける施設の「保証人」のような存在でありたいと考えています。

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