酒井嘉伯院長の独自取材記事

さかい歯科クリニック

(千葉市稲毛区／京成稲毛駅)

最終更新日：2023/12/07

京成稲毛駅を最寄り駅とする「さかい歯科クリニック」。「安心して通いやすいクリニックをつくりたい」と、院長の酒井嘉伯先生が2003年に開業。子どもの頃に歯科治療で怖い思いをした自身の経験から、怖がらずに治療を受けられるようさまざまな工夫を取り入れており、治療前に歯科治療に慣れるためのトレーニングや、器具を見せながら何をするかを前もって伝えてから治療に取りかかる「Tell Show Do法」を実践。また、働いている人が通いやすいように、平日は21時まで診療を行う。一般歯科や矯正、口腔外科の治療も行い、子どもから高齢の患者まで幅広く通っている。「開業して20年、ここまでやってこられたのは地域の皆さんのおかげ」と話す酒井院長に、診療方針や地域に対する思いなどについて、話を聞いた。

（取材日2023年10月19日）

大学病院の初診を担当、幅広い症例を多数経験
基本治療を重視し、患者の要望に沿った治療を実施
歯科医師として感じる地域への感謝、治療で恩返しを

大学病院の初診を担当、幅広い症例を多数経験

歯科医師を志したきっかけ、この地に開業した理由について教えてください。

小さい頃、私にとって歯科クリニックは「怖くて行きたくない」ところでした。歯科が嫌いだったんです。自分自身のそうした苦い経験から、子どもが怖い思いをしなくて済む、安心して治療が受けられるクリニックをつくりたいと思うようになりました。この場所に開業したのは、生まれも育ちも千葉市で、通学や近くの神社のお祭りに来るなど、なじみのある場所だったことが理由です。稲毛は古くは歴史のある町で、人情味あふれる温かい町なんです。私も開業した時、励ましていただいたり、助けていただいたり優しい患者さんたちのおかげで今日も楽しく治療を続けております。

開業する前は、どのような場所で治療経験を積まれたのでしょうか。

歯学部を卒業した後は、大学病院に残って歯科医師としていろいろな経験を積ませてもらいました。私が在籍していたのは初診の患者さんを診る部門です。大学病院は、各町で開業している歯科医師の紹介状を持った、難しい症例の患者さんが多く来る場所です。そこに初診で来る患者さんの状態を診て治療計画を立てるところから入るため、非常に勉強になりましたね。併せて、大学病院以外にも何件かクリニックでの勤務をかけ持ちして、およそ10年間、開業するまでに修行を積みました。

開業まで長く修行されたというのは、何か理由があったのでしょうか？

私は家業が歯科医業ではないので、開業するには一から自分でクリニックを作り上げる必要があります。そのためには、バランス良くいろいろな治療方法をしっかりと身につけないと駄目だなと思っていたんです。大学病院の初診の患者さんを診ていた経験は、そういう意味で役立ちました。何か一つの治療に特化したところだと、それ以外の経験を積むことが難しくなります。大学病院の最初の窓口になるところであれば、いろいろな症例の患者さんを診てより多くのことを学ぶことができると思ったんですね。クリニックをかけ持ちして経験を積んだのも、たくさんの先生方が持つ、それぞれの良いところを見ながら、多くを吸収しようと思ったのが理由です。この時の経験が、今の治療にも大いに役に立っていますね。

基本治療を重視し、患者の要望に沿った治療を実施

クリニックとしての治療の特徴、コンセプトなどはありますか？

大切にしているのは、患者さんの要望をよく聞くということです。こちらから一方的に治療方針を決めずに、選択肢が複数あるときは一つ一つご説明して、患者さん主体でどのような治療をするのか、選んでいただくようにしています。診療内容は一般歯科と矯正、口腔外科、小児歯科で、0歳の赤ちゃんから100歳くらいのご高齢の方まで、本当に幅広く来ていただいております。小児の治療では、お子さんが泣き叫んでしまうために、他のクリニックで治療ができないと断られてしまったという方も通っていらっしゃいます。最近では金属から白いものにしたい方、ホワイトニングをしたい方も、幅広い年齢層にご要望があり相談を受けます。また、歯ぎしり防止用のナイトガードやスポーツ用のマウスガードのご依頼も増えてきました。当院では作製まで行えますので、患者さんのご要望に沿ったものをご用意できます。

治療の際に心がけていることを教えてください。

当院では削る、詰める、抜歯、根の治療や義歯を作るなどの基本治療を重視しています。どんなに高価な補綴物を使ったとしてもこの基本治療がしっかりしていないと早期にダメになってしまい、再治療をしなくてはいけなくなってしまうんです。質の高い保険治療をベースとし、それを踏まえての審美的な補綴などがあると考えています。また、治療で使う器具に関しては細かいところまで滅菌を行い、感染症対策にも力を入れております。

ご家族一緒に治療を受けることもできるんですね

はい。ご家族で治療する患者さんの場合は、1時間まるまるそのご家族の貸しきりで枠を押さえる、という予約も受けつけています。ご家族そろって来院していただき、例えばお父さんの治療中、お母さんとお子さんが周りの目を気にせずゆっくりと待っていただくことができるんです。元気なお子さんが大きな声を出したり走り回ったりしても、他の患者さんのご迷惑とならないので、小さいお子さんのいるご家庭にお勧めです。

歯科医師として感じる地域への感謝、治療で恩返しを

頼りになるスタッフがそろっているんですね。

スタッフは当院の自慢です。長く働いているスタッフが多く、彼女たちを信頼してくれる患者さんもたくさんいます。電話口で声を聞いただけでどの患者さんかわかる人もいるんですよ。いつもこまやかな気配りをしてくれて、私が聞けなかった相談や要望などもすぐに共有してくれます。また、当院には統一された制服がないことも特徴です。一見みんな違う制服なので違和感を感じるかもしれませんが、各々が好きな服装で伸び伸びと働けることは当院の明るい雰囲気につながっていると思います。

歯科医師としてのやりがいを感じるのは、どのような時ですか？

やはりうれしいのは、患者さんにありがとうと声をかけていただいた時ですね。印象に残っているのは、最初は泣き叫んで治療ができなかったお子さんが、ある日、自分で絵を描いてお手紙をくれたことです。最初は、治療を嫌がってユニットから飛び降りて隠れてしまうようなお子さんもいるのですが、そうした子どもたちが、だんだんとクリニックに慣れていったり、治療を受けられるようになって親御さんにも喜んでもらえたりしたらうれしいですね。

最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

今年で開業して約20年になるのですが、この20年間、本当に地域の患者さんに育てていただいたなと感謝の気持ちでいっぱいです。稲毛という地域は、皆さん優しくて心の豊かな方ばかりだと毎日感じています。例えば待合室で赤ちゃんが泣いてしまっても、皆さん嫌がるどころか声をかけてくれたりあやしてくれたりするんです。父は私が開業する前に他界したのですが、親世代の男性の患者さんで、私の第二のお父さんのように接してくださる方もいます。皆さんに支えられてここまできた当院ですので、良い歯科治療をご提供して、今後も地域の皆さんに恩返しをしていけたらなと思っています。