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前田 敏子 院長の独自取材記事

コスモスこどもクリニック

(名古屋市緑区/徳重駅)

最終更新日:2022/11/30

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック main

名古屋市の市バス鳴海東部小学校停留所、鍋山停留所から徒歩5分の場所に位置する「コスモスこどもクリニック」。「なずな病児保育室」を併設している。待合室は広く、アニメの上映も行われ、病気でなくても行きたいという子がいるというほど楽しい雰囲気となっている。前田敏子院長は、自身も4人の子どもを育て上げ、地域の子どもと親のために「常にオン状態」で開院以来18年、診療にあたってきた。情報があふれている今の時代、かえって子育てに迷ってしまう母親たちの相談に乗ってくれる気さくで優しい院長だ。「的確な診療には、お母さんからの情報が大事。お母さんは観察力を磨いてほしい。普段と違っておとなしい、食欲がないなど変化に気づいたら気軽に相談してほしい」という前田院長に話を聞いた。

(取材日2016年5月26日)

病児保育室を併設し、育児支援も行う

医師になられたきっかけとこちらに開院された経緯をお教えください。

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック1

私は滋賀県出身で、両親ともに医師でした。「将来は医師になる」と無意識にすりこまれていましたね(笑)。父は、過疎地で診療所の所長をしていて、ヘリコプターで1泊2日で往診に行くことも。日曜日に家族で出かけようとしていたら、急患の患者さんがみえてキャンセルになったこともありました。それでも、地域の人々に頼りにされているのは子ども心にも感じていましたね。1975年に大阪医科大学を卒業し、小児科医として、桐生厚生病院、南生協病院などに勤務しました。小児科医を選んだのは、子どもの病気は進行も早いが、回復も早い。勝負が短いところが性に合っていると思ったからです。1998年に開院し、3年後に病児保育室を併設しました。

どんな患者さんが来院されますか?

当院では、発熱、嘔吐、下痢、咳など風邪の全体症状のほか、予防接種、病児保育もやっています。また、臨床心理士もいるので、ちょっとした心の問題の相談にも乗れます。そのほか、お子さんの風邪、胃腸炎、溶連菌、りんご病などをもらってしまったお母さんなどの診療も行っています。お子さんとワンセットの診療ですね。お子さんががりんご病になった後、お母さんが「りんご病ではないでしょうか?」と言ってきた場合などです。また、授乳中のお母さんが「どんな薬を飲めばいいのか?」といった薬の相談にいらっしゃることもありますね。

病児保育室を併設されているのですね?

はい、私自身、子どもを育てながら勤務医をしてきましたが、開院後、女性医師の会で、「だれか病児保育をやりませんか?」という話が出たのです。当時、医療機関が保育施設を運営するということがよくわからなかったので、保育園の園長先生に相談したら、「素晴らしいことですね」と言ってくださり、保育士さんを紹介してくださったのです。2001年から始めましたが、当時は働く女性の支援という目的でした。そこから、お母さんが病気だったり、出産後だったり、冠婚葬祭のときに病気の子を預かる育児支援に少しシフトしました。

育児施設を運営するということでご苦労はありましたか?

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック2

当時は、「子どもが病気なのに預けて仕事に行くのか?」という世間的な逆風もありました。しかし、開設してから「助かりました」と言われることが多かったですね。当時と変わらない悩みは、保育士の確保ですね。保育室には看護師と保育士が常駐しています。看護師は10年以上のベテランで入れ替わりがないのですが、保育士は入れ替わりが激しいのです。痙攣しているお子さんの処置とか、感染力の強い病気にかかっているお子さんへの接し方など、慣れていないと大変だし、勉強することがたくさんあるのです。

アレルギー科もある居心地のよい小児科

待合室が広いですね。お子さんと接する上で何か工夫されていることはありますか?

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック3

待合室は、お子さんが飽きないように、またリラックスして診療に臨めるように工夫しています。ここで、お母さんにお子さんの症状を看護師がお聞きしますので、お子さんが退屈しないように、キャラクターのついたグッズを多く置いています。とにかく、小さな子はキャラクターものが好きなので、枕カバーまでキャラクターものにしています。好きなキャラクターが枕カバーについていると、男の子は喜んで頭をのせますが、女の子は頭をのせるのを嫌がるんですよ(笑)。そうした違いも、小さい子を見ていておもしろいところですね。

週に1回、代診の先生もいらっしゃるとお聞きしましたが?

はい、私は校医をしたり、保育園や保健所で検診したり、いわゆる検診業務が多いのです。通常昼休みに行うのですが、時間どおりに終わることはなく、3時半からは午後の診察があるので、週に1回、水曜日には代診の医師に来ていただいており、他の日より混んでいます。私にとっても、自分の診断が正しいかどうかチェックされることになり、襟を正しているようなところがあるので、いいのではないかと思います。

アレルギー科も併設されているのですね?

はい、赤ちゃんだと、嘔吐や下痢といった消化管アレルギー、離乳食を始めたときに卵、牛乳などで発疹する乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、3歳ぐらいになると喘息、もう少し大きくなるとアレルギー性鼻炎と、年齢を重ねるたび、形を変えてアレルギーが出てくるものですが、小児科はその出だしを見ることになるので、専門的な知識が必要ですね。当院では、眼科や耳鼻咽喉科のアレルギー疾患で受診する人が多いですね。

アトピー性皮膚炎などですと、皮膚科に行ってしまいそうですが。

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック4

そうですね。特に緑区は専門的なクリニックが多いので、同じアレルギーでも、さまざまな医院へ行っているお子さんが多いようですね。たとえば極端な話ですが、頭から足の先のことまで、耳鼻科で診察してもらうのは難しいと思います。具合の悪い子は泣き叫んだりすることもあるので、聴診が難しいということもありますしね。同じ症状でいろいろな病院に行くなら、まず小児科で全体の症状を診てもらい、耳垢を取ってほしいから耳鼻科に行くとか、かかりつけ医院と専門医院をうまく使いわけてほしいですね。

ママと子どもの立場に立った診療を

お休みの日はどんなことをされていますか?

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック5

エアロビクスを週に1回、日曜日にやることにしているのですが、小児学会や研修会が忙しくて、なかなかできないですね。休日診療所や夜間診療所で診療することもありますしね。しかし、学会や研修会で他の先生の話を聞くのは、とても役に立ちます。また、夜間診療所などで診療することで、どんな病気が流行っているかなどわかるので、そういった情報をクリニックにも生かせていると思います。

先生が診療で心がけていることは何ですか?

お母さんの話をしっかり聞くことです。インフルエンザ、溶連菌、尿検査、血液検査など多くの検査を行いますが、正確な診断にはお母さんの観察力が重要になってきます。お母さんの観察がずれていると、診断がどんどん違うほうに行ってしまうのです。そのため、当院では、お話の聞き漏れがないように、小さな問診票を使って、看護師と私と2度お話を聞くシステムを作っています。

そうなるとスタッフとのコミュニケーションが重要なように思われますが?

看護師は長年勤めてくれている人ばかりなので、患者さんの家庭環境などの情報まで共有できています。そういう情報を共有することで、お子さんやお母さんがどういう状況にいるのかを考えるようにしています。そして、自分が同じ立場だったら、どうしてほしいかを考えて診療を行っていきます。

最後に、子育てをされている方へのメッセージをお願いします。

前田敏子院長 コスモスこどもクリニック6

子どもの個性も健康状態もさまざまです。「育てにくい」と思うことがあっても、お子さんには優しく接してあげてほしいですね。子育ては疲れるし、大変ですが、面倒だからと子どもをあやすのにスマートフォンを渡す前に、お子さんと向き合ってみてください。大人が思う以上に、子どもはお母さんの感情に敏感です。子どもがお母さんに優しい言葉をかけたり、面白いことを言うことも案外多いものです。そういったことを見つけて、子育てを楽しんでみてはいかがでしょうか。そうして、普段からお子さんの様子を見ていると、お子さんの体調の変化にもすぐに気づくことができます。気づいたら、気軽に受診して相談してください。

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