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鶴岡 信栄 院長の独自取材記事

有秋台医院

(市原市/姉ケ崎駅)

最終更新日:2024/05/01

鶴岡信栄院長 有秋台医院 main

3代目となる鶴岡信栄先生が院長を務める「有秋台医院」。市原市の住宅街にある現在の医院は1967年開院だが、さらに2代さかのぼって市原市の牛久で開院したのが同院の始まりだという。合計で100年をゆうに超える年月、地域医療に貢献してきた存在である。専門は産婦人科だが、街の診療所として内科、小児科、皮膚科も診療し、幅広い年代の患者が訪れる同院。入院施設はすべて個室で、リラックスして過ごせる空間を整えている。育児の悩みを抱え込まないように産後の母親へのケアにも力を注ぎ、さまざまな取り組みも行う。鶴岡院長は、大学病院での周産期医療の経験も長いが、「開業医の仕事はお母さんの希望に対し、伴走者として全力でサポートすること」だと語る。やわらかい笑顔が印象的な鶴岡院長に、診療方針などを聞いた。

(取材日2024年3月25日)

長年にわたる幅広い診療で地域住民に頼りにされる存在

代々、こちらで診療されていると聞きました。

鶴岡信栄院長 有秋台医院1

祖父が産婦人科医としてこの地に開院したのが1967年で、私で3代目です。その前は牛久のほうで曾祖父の代から開業していたので、医師の家系としては5代目になります。当院の専門は産婦人科ですが、祖父の時代から内科、小児科、皮膚科と幅広く診ていて、それをそのまま引き継いでいます。50年以上前に開院した当時は団地の中にある医院として、何でも診ることが求められたのかもしれません。当院でお産をして、引き続き他の科にも来院されるなど、ずっと通い続けてくださる方が多くいらっしゃいます。

産科と小児科を両方診ていただけるのは、患者さんにとって頼りになるのではないでしょうか。

この辺りは小児科を専門とするクリニックが少ない地域ということもあって、子育てを不安なくやってもらえるようにという思いもあり診療しています。感染症が流行したときなど、発熱した赤ちゃんが受診できる場所がないと困りますからね。新型コロナウイルス感染症の流行時には小児だけでも多数の発熱患者に対応しました。私は小児科の専門家ではありませんし、感染症以外の症例では高次医療機関に紹介しなければいけないことも多いのですが、それは承知の上で、とりあえず当院で生まれた子どもたちが駆け込む場所がなくて困ることがないようにと続けています。

少子化といわれていますが、長年こちらで診療されていて、分娩数は変化しているのでしょうか。

鶴岡信栄院長 有秋台医院2

市原市内の分娩数は10年くらい前に比べて減少しているようです。以前は3人以上出産する方も多かったのが、2人や1人に減っているということも大きいでしょうね。この辺りの学校も、高度経済成長の頃は6~7クラスくらいあったと聞いていますが、今は2クラスほどに減っています。でも、ありがたいことに、当院の分娩数はそんなに変わっていないんですよ。すごく減ったということはない。かといって増えているわけでもないですけどね。クチコミといいますか、周りのお友達や、親に勧められたなどの理由で選んでくださる方が多いようです。3代にわたって出産のために当院を選んでくださるご家族もいます。

産科では伴走者としてサポートし、産後ケアにも注力

産科の診療をする上で、心がけていることはありますか?

鶴岡信栄院長 有秋台医院3

基本的にはあんまり私はでしゃばる気がなくて、お母さんたちが自分で選択して、自分の力で産んで、自分で子育てするというふうに自然にもっていけたらなと考えています。大学病院で周産期医療に関わっていた時は、「自分の力で助けなきゃ」と思っていたところもあるけれど、今は交通整理するとか伴走者としてうまくサポートするという形になるのが第一です。あそこに行くとほっとできると思ってもらえて、いろいろうまく人生が回っていくというふうになってくれれば、それでいいと思っています。

妊婦さんの選択肢も広がっていますが、最近の傾向として無痛分娩を希望される方は増えているのでしょうか?

当院だと昨年は25%ぐらいの方が希望されました。その前は10%ちょっとだったので、増えてはいますね。初産の方でも、痛みに向き合うというのも立派な選択だけども、自分でよく考えて選択したなら、その分、体力が残って赤ちゃんのお世話が早くできるかもしれないし、それはお母さんとしての立派な選択だからというふうには話します。どちらが偉いというものでもないし、かといって無痛分娩をことさら勧めているわけでもありません。どちらを選択しても、こちらは全力でサポートするのみです。お母さんたちによく考えて決めてもらえるようにアドバイスはした上で、最終的に決めるのはお母さんとご家族ですからね。

産後のお母さんのケアにも力を入れているそうですね。

鶴岡信栄院長 有秋台医院4

赤ちゃんを母乳で育てたいという方のために、助産師による相談時間を設けています。でも、母乳のお悩みだけでなく、全般的な育児相談の場にもなっています。頼るご家族が近くにいなくて夫婦2人だけで育児をしている人もいますし、これまで周りで子育てしている様子を見たことない人たちもいっぱいいますからね。「これでいいのかな?」と不安になることも多いのだと思います。「わらべ歌産後ダンス」という赤ちゃんを抱っこしながらダンスを踊る教室も開催しています。産後に骨盤周りの筋肉を鍛え、靱帯を強化して、骨盤のゆがみを回復させていきましょうという趣旨ですが、一番は友達をつくってほしいというのが目的です。お子さんの月齢が同じくらいのお母さんたちが集まりますから、ママ友をつくってほしいなと。人との関わりを持って、いろいろな悩みを共有できる人を増やしてもらいたいという思いで行っています。

赤ちゃんだけでなく、母親の成長を見るのも喜びに

婦人科ではどのような症状の方が多くいらっしゃいますか?

鶴岡信栄院長 有秋台医院5

いろいろですよ。生理痛が重いという中学生からおりものの量が多くて気になるという若い女性、更年期症状に悩む方、おばあちゃん世代になると子宮脱の人もいらっしゃいます。本当に幅広い年齢の方たちが相談に来られますので、気になる症状がある方はどうぞ気軽にいらしてください。精密検査や手術など、より高度な医療が必要な場合には、私が以前勤務していた千葉大学医学部附属病院か帝京大学ちば総合医療センターなどに、症例に応じて紹介しています。

長年、診療をされていて、先生がやりがいを感じる瞬間はどのような時でしょうか?

小児科で注射をする時など、「あの時は大変だったのに、大きくなったよね」と思える時がやっぱり一番かなと思います。大学病院時代はお産の後に会うことはなかったけれど、今は小児科や内科をやっているおかげもあって、その後どうしているかがわかるのもうれしいですね。中には、出産時に「この人、お母さんとしてちゃんとやっていけるかな?」と心配になるようなこともあるけれど、そんな方が立派にお母さんをやっている姿が見られたら、安心したり、感動したりします。妊娠前から知っている患者さんが、なんとか悩みながらお母さんをやっていて、「すごいな!」と思うこともいっぱいありますよ。だんだん強くなっていくというか、たくましくなっていく。赤ちゃんの成長だけではなくて、お母さんの成長も見せてもらえるのが、たぶん一番の喜びですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

鶴岡信栄院長 有秋台医院6

専門は周産期なので、どうしても産婦人科に関するお話がメインになってしまいますが、患者さんには自分自身でこうありたいという理想の出産に対する考えを持ってもらって、それに対して、できる限りのサポートをさせてもらっています。そして、出産後も、予防接種や検診に来てもらいながら、一緒に赤ちゃんの成長を喜べたらと思っています。婦人科に関しても、生理が始まった時からおばあちゃんになるまでずっと付き合っていけるのが開業医の仕事。いろいろなタイミングでマラソンの給水所のような感じで立ち寄ってもらい、人生を良くするお手伝いができればいいなと思いながら、診療を続けています。また妊婦さんへ感染症になった場合や生活についての情報をSNSなどで発信していますのでよかったら見てみていただければと思います。

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