遠藤泰昭院長の独自取材記事

中部矯正歯科クリニック

(名古屋市中村区／名古屋駅)

最終更新日：2023/10/11

名古屋駅から徒歩約7分、国際センター駅からは徒歩約1分というアクセスの良いビル5階に「中部矯正歯科クリニック」はある。一歩入ると、のんびりとしたハワイアンミュージックが流れ、アットホームな雰囲気に包まれる。遠藤泰昭院長は大学卒業後、矯正治療専門の歯科医院で研鑽を積み、1993年に開業。治療に従事する中で、噛み合わせを考えて矯正するためには顎関節を知ることが重要、とその研究にも勤しんだ。「より良い治療法を提案するための引き出しはたくさんあると思います」と遠藤院長。理論に基づいた、一人ひとりの口腔環境に合わせた精密な矯正治療が強みだ。プライベートでは趣味が多く、自宅で栽培したレモンやスモモを患者に配ることもあるというフランクな遠藤院長。同院での診療の特徴や心がけについて話してもらった。

（取材日2023年8月16日）

やりがいと面白さに惹かれて矯正治療を専門に
顎関節も含め、噛み合わせを整えるための矯正治療を
患者の気持ちに寄り添い、かかりつけ歯科医院とも連携

やりがいと面白さに惹かれて矯正治療を専門に

なぜ矯正歯科を専門にされたのか、また開業までの経緯について教えてください。

大学4年生の時の講義で初めて歯科矯正学について学びました。当時の衝撃はまだ覚えていますね。それまで一般歯科にこのまま進んでいいものか悩んでいましたが、教授の話の面白さもあって、「これを専門にしたい！」と強く思ったのです。歯を動かすことを図り正しい噛み合わせをめざしていく矯正治療は、私にとってとても魅力があり、やりがいがあるだろうと感じられました。大学卒業後、矯正治療専門の歯科医院で経験を積み、30歳になったのを機に独立。名古屋駅からのアクセスが良く、患者さんに通っていただきやすいと考えて、この場所に開業しました。

待合室ではハワイアンミュージックが流れていますね。

ハワイが大好きなんです。何回も行っているのですが、何も考えずゆっくりできてとても癒やされています。音楽ものんびりしていて、悲しい曲がないのがいいですね。ハワイのコンドミニアムに泊まるときはよく料理をするんですよ。普段から酒のさかな程度ですが料理はしていて、魚をさばくこともできます。ウクレレも弾きますよ。このBGMのおかげで患者さんから「今度、ハワイに行くんです」「先だって行ってきました」と声をかけられて話が弾むことも。「フラダンスを習っています」という患者さんもいらっしゃいますね。

患者さんはどのような方々が来られているのですか？

当院は矯正治療専門ですので、ほとんどが一般歯科医院からの紹介の患者さんになります。年齢は5歳から60代ぐらいまで。名古屋市内は西部の方が多く、一宮市など周辺市町からたくさん来ていただいています。小さいお子さんではいわゆる受け口や出っ歯のお悩みの方や、口唇口蓋裂の手術後に歯列矯正を希望される方もいらっしゃいます。当院で多いのは30代の方で「子どもの頃にしたかった」「今はお金がたまったから」という方が男女関係なくおられます。中高年世代になると、歯を失い、インプラント治療をするためにまず矯正して歯列をきちんと正す必要がある方、歯周病治療と平行して矯正したいという方などさまざまです。当院での矯正治療が終われば、また、かかりつけの歯科医院へお戻しするというスタイルです。

顎関節も含め、噛み合わせを整えるための矯正治療を

こちらではどのような矯正治療を行っておられるのでしょうか？

成人の場合は、骨の成長が終わっている中で、顎の機能の維持または改善をめざしつつどのように噛み合わせを再構築し歯を動かすことを図るかを考えます。お子さんの場合は、「顎育（がくいく）」というのですが、上の顎、下の顎、それぞれの成長時期に合わせて治療を進めます。矯正治療はただきれいな歯並びをめざすだけでなく、顎関節の状態を含めて噛み合わせを整えることが大事。顎関節は顔にある唯一の特殊な関節であり、私は、これを知らずして矯正治療はできないだろうとの考えから研究に取り組み論文を書いて医学博士号を取得しました。現在は、矯正治療とは別に、顎関節に問題があって噛み合わせが悪くなっている患者さんも紹介で来られています。顎関節のトラブルを改善できるように日々精進しています。

噛み合わせと顎関節の状態には関係があるのでしょうか？

基本的に、噛み合わせの悪さと顎関節の症状の因果関係はないといわれており、噛み合わせが悪い人がすべて顎関節が悪いということはなく、逆に顎関節が悪い人がすべて噛み合わせが悪いということもありません。ただ、噛み合わせの悪さが顎関節の症状を悪くする増悪因子として働くといわれていますので、噛み合わせを正し、口腔環境のバランスを整えることは大切なのです。噛み合わせが整えば、顎の痛みが少なくなり、関節が動きやすくなることが望めます。

他にこちらの強みがあればお聞かせください。

当院が、一般歯科診療をせず矯正治療専門ということが一番の強みです。専門機関で学び研鑽を重ねてきたことで、テクニックだけでなく、きちんとした理論に基づいた治療を提供することをめざしています。私だけでなく矯正治療の理論を学んだ歯科医師には、いわば「引き出し」がたくさんあると思うのです。理論がわかっているからこそ、歯の傾き、骨の大きさ、位置など全部を考慮し、どのように治療を進めていくのが良いか複数の方法を比較検討し、最も良いと思われる方法を提案します。当院はブラケットとワイヤーによる矯正を行っていますが、この方法だと歯並びだけでなく、「奥歯をもう少し下にしよう」「ここにカーブをつけよう」など症例に応じて調整が図れ、顎関節の機能までフォローできると考えています。

患者の気持ちに寄り添い、かかりつけ歯科医院とも連携

診療時にはどのようなことを心がけておられますか？

当たり前のことですが、説明はなるべくわかりやすく、専門用語以外の言葉を使うように心がけています。エックス線写真のほか、顎の関節に症状をお持ちの方には起こっている状況について図に描いて「こうなっているから口が開けにくいのです」とお話しするようにしています。お子さんも多いのですが、当院では注射をしたり歯を削ったりなどはしないので、「ここでは痛いことはしないよ」と話してリラックスしてもらいます。親御さんとはスタッフのほうがよく話しているかもしれません。スタッフも説明は丁寧にしています。自身がかつて当院で矯正治療をしている歯科衛生士もいるので患者さんの気持ちもよりくみ取れるのではないかと思います。

子どもの場合、治療中の注意事項はありますか？

親御さんの協力が必要になりますね。お願いするのは歯磨きのチェック、そして治療が進むと必要になる、お口の中で使うゴムの調整です。治療は2年から2年半続きますが、当院でチェックするのは基本的に月1回です。あとの30日近くは自宅なので、大切なポイントをわかりやすく説明しています。定期検診では、染め出しをして磨き残しの箇所をお子さん自身にもしっかり認識してもらいます。その次の1ヵ月間気をつけて磨いてもらい、次月、染め出ししたときに良くなっているとお子さん自身のモチベーションも上がると思いますね。矯正治療は子どもも大人も、患者さん自身の気持ちが大切なのです。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

お話ししたように当院の患者さんは、かかりつけの歯科医院からの紹介が多いです。矯正治療以外のことで何か問題があればすぐにかかりつけの歯科医師と連絡を取りますし、私の周りには信頼できる口腔外科専門の歯科医師やその他の分野の専門家、医師も多くいますので、患者さんには医療チームの中で安心して治療を受けていただけたらなと思っています。ホームページを見て来院される方や、かかりつけの歯科医院がないけれども矯正治療をしたいという方には、必要に応じてご自身の生活環境も考慮した一般歯科医院をご紹介できますのでご安心いただければと思います。