市川博文院長、市川明里先生の独自取材記事

あい歯科矯正歯科

(岡崎市／北野桝塚駅)

最終更新日：2023/06/29

25年以上にわたり地域に根差してきた「あい歯科矯正歯科」。近隣住民を中心に幅広い年齢層の患者が通っている。市川博文院長は予防に注力しており、院内には予防専用のチェアが2台。歯科衛生士らが熱心にケアを行っている。小児の治療については、市川院長の長女、市川明里（あかり）先生が主に担当し、マウスピース型装置を用いた矯正やMFT（口腔筋機能療法）を精力的に行っている。さらに土曜日は息子の市川翔太先生が成人の矯正治療を担当。「虫歯や歯周病予防にとどまらず、長く健康的な生活を送るために食生活からサポートする歯科医院でありたい」と話す市川院長は、トライアスロンが趣味で国際大会への参加経験もあるバイタリティーの持ち主。仲が良く、終始笑顔を絶やさない市川院長と明里先生の2人に、さまざまな話を聞いた。

（取材日2022年11月29日）

子どもの矯正やMFTにも注力
院全体で患者に愛情を持って接する
長く快適に暮らせるように一歩先の予防を

子どもの矯正やMFTにも注力

この地で開業して26年になられるそうですね。

【市川院長】はい。開業時、診療チェアは3台でしたが、患者さんに恵まれ、現在診療チェアは6台、予防専用チェアは2台と増えました。昔は小さかった子が成長して結婚して遠方から通ってくれたり、親になって子どもの歯の相談に来てくれたりなどうれしいこともありますね。また現在はコロナ禍で開催できていませんが、昔からの患者さんで高齢になられた方に、当院では「8020運動」の表彰式も行えるようにしていました。例えば、一人ひとりに若い頃の話などをしてもらい、最後はみんなで歌を歌うのです。開業当初から地域に根差した歯科医院をめざしていましたが、まさに地域医療に携わる醍醐味だなと考えています。また再開できる日が来たらいいなと思っています。

予防に注力されるようになったきっかけはあるのですか？

【市川院長】以前は、たくさんの患者さんの虫歯を削ったり詰め物を作ったりしていましたが、結局再治療になる方が少なくないということがありました。「このままではいけない」と考え、予防に注力されていた山形県の歯科医師のもとにスタッフとともに通い、予防について徹底的に学んだのです。以後、患者さんに対して食事や生活習慣を確認したり、唾液検査をしてリスクを調べたり、予防の大切さをお伝えしたりと口腔環境を整えることに力を入れるようになりました。「悪くなった歯を治す」ということは患者さんにもわかりやすいのですが、「悪くならないように予防する」ということは実感しにくいものです。予防の重要性を理解していただく難しさはありますが、患者さんの将来的なトラブルを未然に防げていると思えることは、自己満足かもしれませんがうれしいことです。

2022年4月から院長先生の長女である明里先生が加わられました。

【明里先生】もともと父のもとで働こうと考えていましたので、大学卒業後、他院で数年間の経験を積んだ後、当院に加わりました。私はお子さんの一般歯科や矯正歯科を担当しており、口腔育成に力を注いでいきたいと思います。例えば、舌癖や口呼吸、指しゃぶりなどがある場合、その影響で歯並びやかみ合わせが悪くなることが考えられます。治療と並行してMFT（口腔筋機能療法）もスタッフと協力して積極的に行っていきたいですね。
【市川院長】最近はお子さんの患者さんが増えていると感じます。明里先生はお子さんへの対応が優しく、スタッフもお子さんに接する機会が増えて、当院全体の雰囲気がより明るくなりました。当院には保育士も在籍していますので安心して来ていただければと思います。

院全体で患者に愛情を持って接する

お子さんの患者さんに対してはどんなことを心がけておられますか？

【明里先生】よほど緊急性がない限り、無理強いしたり押さえつけたりはせず、その子に合わせたペースで治療を進めることを心がけています。口を開ける、歯磨きをする、といった小さなステップで少しずつ進めて、例えば、できなかったことができるようになったら「頑張ったね」と褒めるようにします。当院には子ども専用のキッズクラブという部屋がありますので、そこでスタッフと一緒に歯を磨いたりして楽しく過ごしてもらうのです。次に来院するとき親御さんが大変な思いをされないためにも、お子さんに「また来たい」と思ってもらえればいいなと考えています。スタッフは子育て経験者が多く、お子さんに対する指導も的確。障がいのあるお子さんには、その子に合ったサポートをしております。

高齢の方に対して取り組んでいることはありますか？

【明里先生】「あいうべ体操」をお伝えして実践してもらう他、口腔内の衛生状態や感覚、咀嚼、嚥下、唾液分泌などの機能が低下していないかどうかを調べる口腔機能低下症の検査を行います。なかなか患者さんのほうから「口が乾きやすい」「食べにくい」といったことをおっしゃることは少ないのですが、スタッフが最初の問診で「最近、むせることはありませんか」などと伺ってお話を引き出すようにしています。スタッフはこちらが指示しなくても、いろいろなお話を患者さんからお聞きしてくれるので、ありがたく頼もしいです。

スタッフの方々が診療を支えてくれているのですね。

【市川院長】はい、スタッフにはいつも助けられています。私に代わって患者さんに歯科の知識を説明してくれたり、患者さんが私に言いづらいことを聞いてくれたりと橋渡しの役割もしてくれますね。予防歯科は落ち着いた専用のスペースがあり、歯科衛生士が45分ほどかけて、一人ひとりに合わせたケアを一生懸命しています。おかげさまで予防の予約は増えていますね。効率や時間に追われず患者さんと丁寧に向き合うことを大切にしているところが当院の自慢。スタッフのみんなも明里先生も、愛情を持って患者さんに接していて素晴らしいと思います。私の妻も歯科衛生士で、資格を取ったのは開業してから。今は管理栄養士の資格もあります。スタッフのまとめ役として頑張ってくれていますね。

長く快適に暮らせるように一歩先の予防を

お二人のご様子からご家族の仲の良さが伝わってきます。

【市川院長】昔から、仕事が終わったらすぐに家に帰って子どもたちとよくおしゃべりをしていました。歯科医師になれと言ったことはありませんが、「医療の仕事はいいよ」ということは話していましたね。今は明里先生がいて、土曜日は長男の翔太先生が来て矯正治療を担当しています。家族で歯科医療についていろいろ話ができるのでとても楽しいです。毎日、盆と正月みたい（笑）。たまには意見が違って議論することもありますが、ベースの価値観は同じだと思っています。明里先生はとても頑張っていて、楽なほうへと逃げることなく、患者さんのことを考えて前向きに取り組んでおり、そうした姿勢は信頼できますね。

これからのことについてお考えをお聞かせください。

【明里先生】私はお子さんを診ることが中心なので、最初にお話ししたように、「今」だけでなく「将来」のために正しい咬合育成に力を入れていきたいと思います。小さい頃から楽しく歯科医院に通ってもらい、予防につながればうれしいです。また、私たち歯科医師が良いと思った治療と患者さんのご希望とがいつも合致するわけではありません。歯科医師の意見を押し通すのではなく、患者さんの個性やライフスタイルなどをくみ取り、ご希望とすり合わせて一緒に治療のゴールを決めていくことを大切にしていきたいと思います。父と一緒に働くようになって、判断に迷うときなどすぐに相談できる環境があるのはありがたいことですね。

院長はいかがでしょうか？　

【市川院長】いまやお年寄りでも歯があることは当たり前になってきていて、歯科医師はその前の段階、つまり食事のときに咀嚼や嚥下を正しくできるように、そして健康的な食生活を長く送れるようにサポートしていくことが重要になってくると思っています。当院には妻ともう一人、管理栄養士がいますので、口腔機能が低下したり寝たきりになったりする前に食事や栄養についてアドバイスをしたりして良い口腔環境をつくって差し上げたいですね。また、お子さんに対しては矯正治療が必要になる前に悪癖や姿勢を改善し、正しい成長を促すお手伝いをしたいと思います。単なる虫歯予防、歯周病予防ではなく、患者さんが将来的に長く快適に暮らしていくための予防ができる歯科医院であることが理想。削ったり詰めたりするより、そのほうが患者さんの笑顔が見られて幸せです。