高橋誠治院長の独自取材記事

レディースクリニック市ヶ尾

(横浜市青葉区／市が尾駅)

最終更新日：2024/04/24

東急田園都市線の市が尾駅から徒歩1分の好立地。学生から高齢者まで、地域に住む幅広い年齢層の女性たちの健康を見守るのが、「レディースクリニック市ヶ尾」だ。院長の高橋誠治先生は「女性のための健康コンサルタント」をコンセプトに掲げ、月経異常、更年期障害、性感染症、不妊治療などの婦人科診療全般を行っている。日帰り手術にも対応しており、プライバシーを守るため病室には待合室を通らない動線も用意。婦人科に通い慣れていない女性の心理的な負担に配慮しながらも、日々の診療では目の前の患者と本音で向き合うことが信条だ。口先ばかりの優しい言葉ではなく、根本的な問題の解消を重視した対処法の提案を心がけてきた。言葉の節々に誠実な人柄が垣間見える高橋院長に、診療方針や女性たちに伝えたいことを語ってもらった。

（取材日2024年3月22日）

患者の不安解消に努めながら、とことん正直に向き合う
こだわりは適切な診断とリスクに配慮した治療
健康をめざす女性の相談窓口でありたい

患者の不安解消に努めながら、とことん正直に向き合う

待合室が洗練された空間ですね。内装のコンセプトを教えてください。

当院は2001年開業ですが、リゾートホテルなどのデザインや設計を手がける会社に依頼して2013年に内装を全面的にリニューアルしました。レディースクリニックに通い慣れていない女性にも待合室でリラックスしていただけるように、ホテルのような空間をめざして木目調のインテリアを多用しています。クリーム色の壁紙を選び、ほとんどの照明を電球色にしているのも、良い意味で医療機関らしくないぬくもりを演出することが狙いです。

先生の穏やかな人柄も緊張感をほぐしてくれそうです。

診療中はマスクと眼鏡をしており表情が伝わりにくいと思うのですが、安心して受診していただくためにも、患者さんの話にしっかり耳を傾けることを心がけています。余談ながら、実は10年ほど前はひげを生やした風貌だった時期もありまして。当時は娘の医学部受験を控えており、無事に終わるまではひげをそらないことが私なりの願かけでした。今、娘は精神科の医師として他院で働いております。レディースクリニックにはメンタルヘルスのケアが必要な患者さんも訪れることがあるため、いつか娘の力を借りて当院で一緒に包括的な診療をしていくことを夢見ています。

診療の際に心がけていることを教えてください。

開業当初から貫いているのは「スマイル0円」をしないことです。例えば幅広い年代に多く見られる子宮筋腫の場合、経過観察や手術、症状を抑えるための薬物療法など、いくつもの選択肢があります。そこで無条件に患者さんの負担が少ない選択肢を提案すれば、優しい先生だと認識してもらえるかもしれません。しかし私は「患者さんの状態を包み隠さず説明すること」や「適した治療法を提案すること」を優先しており、それが少し厳しい態度に見えてしまう可能性もあります。医師の仕事は、人間の体という自然の創造物を相手にした真剣勝負。口先だけの優しい言葉では病気を治せません。私は患者さんと正直に向き合っていれば信頼関係を築けると信じておりますし、それは産婦人科の医師だった祖父や父親の背中から学んだことでもあります。

こだわりは適切な診断とリスクに配慮した治療

開業当初と比べ、患者さんの傾向が変わった部分はありますか？

定期的な検診を呼びかけ続けてきたこともあり、以前よりも気軽に足を運んでくださる女性が増えました。また、日頃からスマートフォンのアプリで基礎体温を記録していて、月経困難症を改善するためにピルの処方を希望して来院される方も多くなっています。一方、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに来院のペースが減ってしまった方もいますし、結婚や出産を望んでいない女性は婦人科が視野に入りにくい傾向も。そうすると病気の早期発見が難しくなり、症状がかなり進んでからの治療は患者さんの負担が大きくなってしまいます。子宮頸がんのように、定期的に検診を受けることが予防につながる病気もあるため、20歳を過ぎたらぜひ検診を受けていただきたいですね。

ピルの処方に対する先生の考え方を教えてください。

生理が早く来る、遅く来る、生理期間が長い、短い、生理痛がひどいなど、月経異常は症状も原因も人によってさまざまです。そしてピルも種類が多く、主に避妊を目的にした薬剤であるOC（Oral Contraceptives）と、月経困難症の治療などを目的に処方されるLEP（Low dose Estrogen Progestin）があります。いずれの場合も最初にしっかりと検査をして患者さんの状態を見極めることが大切で、ピルの服用が始まった後も定期的に様子を見させていただくことをお願いしています。今はオンライン診療でピルの処方を行うサービスもありますが、副作用が起きる可能性がある薬剤であることを忘れないようにしたいところ。自分の体を守るためにも、いつでも相談できる産婦人科のかかりつけ医を見つけておくことをお勧めします。

最近は更年期障害に不安を持つ方も多いそうですね。

誰もが1つか2つは当てはまるようなチェックリストを公開して不安を煽るメディアもありますが、まずは焦らずに健康診断を受けてみてください。例えば動悸がある場合、更年期障害以外にも心臓や甲状腺の病気なども考えられるので、先に内科を受診することも一つの手段です。また、更年期障害はそれ自体が命に関わる病気ではありません。そのため、当院ではできる限りリスクに配慮した治療を行うことが理想だと考えており、人の胎盤を原料として作られたプラセンタ注射を使うなど、ホルモンを使用しない治療を基本としています。それ以外に、漢方薬も取り入れています。また、エクオールを多く含む食品のアドバイスなど、治療以外にも幅広いアプローチを行っています。

健康をめざす女性の相談窓口でありたい

患者さんに注意を促したいことはありますか？

多数のメディアで報じられているように、近年は日本で性感染症である梅毒の感染者数が増えています。その数は2013年と2023年を比べると10倍に増えたともいわれており、もはや身近な病気になりつつあります。さらに梅毒は、感染して症状が出てもすぐに治まることが多い病気です。自分やパートナーに思い当たる出来事がなくても、昔の交際相手から気づかぬうちに感染していたケースや、重症化してしまうケースもあります。また、抗生剤による治療が一般的な淋病にも、抗生剤に対する抵抗性を持った耐性菌が発見されています。性感染症に一度かかると、今だけではなく、妊娠や出産にも影響する可能性も考えられます。「自分には関係ない」などと決めつけず、異変を感じたら、できる限り早めにご相談ください。

婦人科を受診すべきかわからず悩んでいる人も多そうです。

婦人科に関するお悩みは家族や友人にも相談しにくいこともあり、昨今はインターネット検索で見識を広げている方も多いと思います。しかし出所や根拠が示されていない情報をうのみにすると症状を悪化させてしまうこともあるため、やはり専門家からダイレクトに意見を求めることが大切です。当院はホームページに質問窓口を設けていますので、婦人科を受診すべきかわからない状況でも、ぜひ気軽にメールでご相談ください。海外在住の方から現地の診療方針に対する意見を求められることもありますし、そのような場合も私の率直な見解をお伝えし、受診を強いることはありません。患者さんご自身からお話しいただく内容は、クリニックでの診療においても重要な情報源です。患者さんのお悩みに寄り添いながら、しっかりと現状や治療法などをご説明いたします。

休日もお仕事のことを考えがちですか？

休日は仕事から離れてリラックスする時間を大切にしていますよ。妻と一緒にドライブを楽しむことが多く、何年も前から月に1度は神社にお参りすることが恒例行事になっています。また、自宅では医療をテーマにした漫画やドラマをチェックすることもあります。たとえフィクションでも、自分が理想とする医療の形が描かれていることもあり、劇中の医師に感情移入して、初心に帰ることができるんですよね。結局はオフの時間も仕事のことばかり考えてしまうのですが、今後も患者さんが最終的に「レディースクリニック市ヶ尾に行って良かったな」と思えるような医療を追求していきたいですね。