田中康隆院長の独自取材記事

田中歯科

(大阪市北区／中之島駅)

最終更新日：2021/10/12

京阪中之島線・中之島駅近くのホテルの地下1階にある歯科医院。それが「田中歯科」だ。先代院長である田中正忠先生が「誰もがすぐにわかる場所にある歯医者」にこだわって開業。以来、多くの患者の信頼を得ている。「ホテルにあるから自費の治療だけしていると思われるかもしれないけど、そんなことは全然ないんですよ」と朗らかに笑うのは田中康隆院長。自分たちは医療人だという確固たる信念のもと、患者が満足する治療を提供することに心を砕いている歯科医師だ。ベテランの域に達しながらも、日々勉強を欠かさずにいる田中院長に、優雅なホテルの雰囲気そのままに、落ち着いた雰囲気の院内で日々の診療にかける思いを聞いた。

（取材日2019年8月30日）

自分の力を出し切って、満足度の高い治療を提供したい
義歯の悩みがあれば、気軽に相談してほしい
白く美しい歯で、人生をより輝かせてほしい

自分の力を出し切って、満足度の高い治療を提供したい

ホテルの中という立地は、珍しいですね。

このクリニックを開業したのは、私の父です。父がホテルの中にクリニックを開業した理由は「全国どこの人でもすぐにわかるから」だったそうです。開業当初、今ほどホテルの数も多くなかったので、ホテルの名前を言えば「ああ、あそこか」とすぐにわかる人が多かったんですよ。父は日本歯科医師会の仕事もしていましたので、全国の先生方と交流する機会も多かったですし、そこで自分のクリニックの話をする時に、すぐにわかってもらえるのがうれしかったんじゃないかなと思います（笑）。通りすがりにふらりと立ち寄ってもらうという場所ではないのですが、開業当初から今日まで、幸いにも患者さまのおかげもあり続けてこられました。

こちらの診療の特徴はありますか？

一つは完全予約制であることです。そのため、お待ちいただくことはほとんどありません。せっかくホテルの中にあるのですから、ばたばたせずに優雅な気持ちでゆったりと治療を受けていただきたいと思っています。また、患者さまには遠方から仕事をするために来阪し、ホテルに滞在して、その期間中に治療をしていくという方々も少なくありません。そのため、1回の診療時間をたっぷりと取り、その日にできることはその日のうちにするようにしています。自宅が遠ければ「また明日続きを」というわけにはいかないですし、わざわざ当院を選んでいただいているのだから、1回の治療の満足度を十分なものにしなくてはいけないと考えています。

患者さんに満足してもらうために、先生が特別心がけていることはありますか？

ホテルの中にあるクリニックなので、誤解されることも少なくないのですが、私が患者さんに提供したいと考えているのは「医療」です。だから常に「患者さんが健康であるためにはどうするべきか」を真剣に考え、その上で自分の持てる力をすべて出し切ることが大切だと思っています。来てくださった患者さんに、満足していただける治療。それはどんなものだろう？といつも考えていますし、自分が理想とする治療を行うために知識は常にアップデートしなくてはいけない。そのためには勉強会やセミナーにも参加しますし、時には若い先生方から学ぶことも多いなと思います。真摯に学び、全力で治療にあたる。当たり前のことですが、その基本を忘れないようにしています。

義歯の悩みがあれば、気軽に相談してほしい

「ホテルにあるから敷居が高い」と特別視する必要はないわけですね。

そうなんです。別にホテルの中にあるからといって、自費のものばかりをお勧めするわけではないですし、保険で対応できるものは保険内できっちりやります。先ほども言いましたけど、私は医療に携わっているわけですから、一番最初に考えるのが「お金もうけ」になってしまってはいけません。だから、その点に関しては安心してほしいですね。私は歯科医師として、患者さんをだますようなことをしてはいけないといつも思っています。だから、いきなり治療するのではなく、十分な予備診査をして、患者さんともよくお話をした上で、理解・納得をしてもらってから治療を始めます。複数の選択肢がある場合は、それぞれの長所短所を説明し、納得のいくまでご相談に応じます。当たり前のことですが、それを丁寧にやることで、安心して治療を受けていただきたいと思っています。

先生は補綴を専門にされているそうですね。

私は大学院にいましたので、補綴に関してはその時さらに専門的な研鑽を積みました。たくさんの症例を診て研究もしましたし、それが現在の自信にもつながっていると思います。メタルボンドやオールセラミック、さまざまな義歯については数多くの症例を経験してきました。義歯のことでお悩みがあれば、気軽に相談してください。

先生のこだわりで、院内には技工士さんもいらっしゃるとか。

そうなんです。技工士の存在も、当院の特徴の一つですね。最初にお話ししたとおり、当院は短期的にホテルに滞在して、その期間に治療をするという患者さんも少なくありません。ですから、技工士に作ってもらう詰め物や入れ歯も短時間での対応が求められます。もちろん、いくら早くても品質の低いものでは患者さんに満足していただけません。そこで頼りになるのが、院内にいるベテラン技工士なんです。私の小さなこだわりに細かく対応してもらえますし、患者さん個人個人に合わせた微調整も可能です。即対応できることも多いですし、すごく助けられています。他にも、歯科衛生士や助手、受付に至るまで、すべてのスタッフがいつも私を助けてくれます。日々、感謝しています。

白く美しい歯で、人生をより輝かせてほしい

ホテルの中にある歯科医院ということで、経験したことや印象に残っていることはありますか？

普段は「ホテルの中にある」ということを意識するようなことはあまりないのですが、一度だけ、ご自分の結婚式のために前泊していた男性が「お風呂場で滑ってしまった」と急患でいらしたことがありますね。その方は浴槽で口元を打ってしまったそうで、前歯が折れてぐらぐらになっていました。「これは大変だ」ということで緊急で治療を行いました。でも、これは本当に珍しいことで、普段は平和なもんです。だから、その他にはというと、父の代に通ってくださっていた患者さんのお子さんやお孫さんの世代の方が変わらず通ってくださったり、何かのついでに立ち寄ってくださったりと、ごくごく普通のことが心に残っていきますね。

歯科医師だったお父さまの背中を見て育ってきたことで、影響を受けていると感じることはありますか？

技術うんぬんというよりも、診療に取り組む姿勢について影響を受けているように思います。父はいつも患者さんに誠実に向き合っているように感じていましたし、診療に関して真面目に情熱を注いでいました。そういう一生懸命な姿をいつも見ていましたので、そういった「医療の本質」の部分にはいつも触れていたように思います。自分も歯科医師になり、父の後を継いでこのクリニックをやっていく日々の中で「うれしいな」と思うのは、治療後の患者さんの笑顔であり、信頼を重ねていけていると実感できること。だから、今度は自分が、若いスタッフのみんなに良い影響を与えていけるように、日々丁寧な診療をしていかなくてはいけないなと思っています。

それでは最後に読者へメッセージをお願いします。

日本でも歯科に対する意識が高まってきましたが、まだまだ「何もなければ歯医者には行かなくていい」「何かが起こってから歯医者に行けばいい」と思っている人も少なくありません。でも、実は歯や口の中の健康は、人生においても重要なのです。食べること、話すこと、笑うこと。白く美しい歯は、その人自身をより輝かせてくれると思います。ぜひ、そのことに気がついて、「私の口は健康かな？」ということを気にかけてほしいと思います。私たちはこの場所で、日々変わることなく、安心できるような医療を提供していきたいです。ホテルにある歯科医院だからといって、何も怖いことはないんですよ。ぜひ、気軽に足を運んでいただければうれしいです。