大西信亮院長の独自取材記事

大西歯科医院

(丸亀市／讃岐塩屋駅)

最終更新日：2023/11/10

「大西歯科医院」はJR予讃線の丸亀駅から徒歩12分ほどの閑静な住宅街にある。院長の大西信亮先生の祖父が開業し、父である前院長が引き継ぎ、50年以上にわたって地域の歯科診療に貢献してきた。3代目院長の大西先生は徳島大学歯学部を卒業後、大阪の歯科医院で研鑽を積み、院長に就任して4年。一般歯科診療をはじめ小児歯科や予防歯科にも力を入れ、審美歯科やインプラント治療などにも新たに取り組んでいる。院長就任を機に改装した院内は明るく、落ち着いた雰囲気。花や絵画のある待合室はリラックスして待つことができそうな空間だ。常に笑顔を絶やさず「患者さんとの出会いを大切に、皆さんの健康と幸せを支えたい」と話す大西院長に同院の歴史や診療方針、今後の展望を聞いた。

（取材日2021年7月29日）

3代にわたり地域の歯科診療を支え続ける
定期歯科検診で健康な口腔環境を維持してほしい
できるだけ削らず自然歯を生かす新しい歯科診療へ

3代にわたり地域の歯科診療を支え続ける

長年、この地域の歯科医療を担ってきた歴史ある歯科医院だそうですね。

祖父が50年ほど前に開業し、父が1985年に現在の場所に移転させました。私は徳島大学歯学部を卒業後、大阪の歯科医院で7年間、勤務医を経験して、2017年に父から院長を引き継ぎました。祖父の代から地域の皆さんを診療してきましたので、長いお付き合いの高齢の患者さんやそのお子さん、お孫さんがご家族で通院されるケースが多いです。父はそういう患者さんたちの虫歯治療や補綴を中心にしていました。私も一般歯科診療からスタートしましたが最近は環境が整ってきたこともあり、予防をベースとして自由診療の審美歯科やインプラント治療にも取り組めるようになってきました。長寿時代ですから、長く快適に過ごすための選択肢の一つとして自由診療も手がけていきたいと考えています。

診療のコンセプトやこちらのデザインのテーマを伺いたいです。

当院の理念として「出会いに感謝し、責任ある行動によって健康で幸せな人生を提供します」と掲げています。患者さんや地域の方たちとの出会い、スタッフとの出会い、こうして取材してくださることも出会いですよね。それぞれを大切にしながら、皆さんと一緒に幸せになりたいという思いを込めています。当院は私が院長を引き継いだのを機に外観と内装をリニューアルしたんです。患者さんがリラックスできるように明るく落ち着いた雰囲気にしてもらいました。リニューアルに合わせてロゴマークも作ったんですよ。丸亀市の伝統工芸品のうちわを使ってほしいとお願いしたらかわいらしいものができあがりました。親しみを感じるデザインですし、うちわはエコロジーな民芸品でもありますから気に入っています。

幅広い診療内容に対応されていますが、どのような患者層や主訴が多いですか。

私が院長を引き継いだ当初は祖父や父の代から通院されている高齢の患者さんの虫歯治療が多かったです。そういう方たちのご家族もだんだん来院されるようになり、新しい世代の患者さんが増えてきました。それにつれて小児歯科での受診も多くなっています。私自身が子ども4人の父親でお子さんと接するのが好きですし、スタッフもお子さんのいる人が多いんです。お子さんにもどんな治療をするのかを説明して、できるだけ短時間で終わらせるように努めています。父の時代は虫歯治療が多かったこともあり、お口のメンテナンスや予防歯科までは対応していませんでした。現在は5人の歯科衛生士がいますので定期的なクリーニングや歯磨き指導にも力を入れています。

定期歯科検診で健康な口腔環境を維持してほしい

定期歯科検診を重視していらっしゃるそうですね。

香川県は世帯あたりの貯蓄高がいつも全国上位というだけあって、もしかするとコストパフォーマンスを気にする県民性があるかもしれないです（笑）。その意味では定期的に歯科検診を受けることはコストパフォーマンスが高いと思うんです。進行した虫が1本あると、根管治療をしてかぶせ物を入れれば治療費は数万円かかることも。歯科検診なら基本的にはそこまでかかることはありませんからね。そろそろ検診を受けていただきたい患者さんにははがきでお知らせしたり、家族で来院されている患者さんには「おじいちゃんも一度、診せに来てくださいね」と声をかけたりしています。虫歯にならない口内環境を維持できるように、症状がなくても気軽に来院できる歯科医院で在りたいです。

自由診療に取り組まれるようになったのには、きっかけがあるのでしょうか。

以前、勤務していた大阪の歯科医院が審美歯科やインプラント治療などの自由診療に力を入れていました。学生時代は歯科医療に限らず、審美面を重視した医療にあまり関心がありませんでした。けれども実際に携わってみて、歯にコンプレックスがあっていつも口元を隠していた方や、写真を撮られるのが嫌だったという方の悩みを解消につなげられることにやりがいを感じるようになりました。またインプラントがどなたにも最良とは限りませんが、長く入れ歯で苦労されてきた方の中には、噛み心地の改善が期待できるケースもあります。ほとんどの歯科治療は保険診療の範囲でできますから自由診療を希望される方は多くはありません。ただ、より不自由の少ない、満足度を追求する診療の一つとして大切な選択肢だと思うので、患者さんに提案できるように勉強し続けています。

審美歯科を希望するのは女性の患者さんが多いですか。

そうでもありませんよ。以前、来院された男性は会社で役職に就いて精力的に仕事をされている方でしたが「私は顔がいかついから怖い印象を持たれる。ビジネスに不利だからかわいらしい口元にしてほしい」というご相談でした。最近は新型コロナウイルス感染症の流行でマスク生活が続いているので、今のうちに治療をしておきたいという方もいらっしゃいます。自分の歯を白くしたい、金属のかぶせ物を白いものに替えたいという希望にも対応しますので相談していただきたいです。

できるだけ削らず自然歯を生かす新しい歯科診療へ

心に残る患者さんとのエピソードをお聞かせください。

歯を何本か失って困っていらした高齢の女性の患者さんに数ヵ月かけて義歯を作ったことがあります。その後、街中で偶然お会いすることがあったのですが、久しぶりに帰省された家族と一緒にこれから外食ということでした。「先生のせいで太ったわ。食べることが楽しいから（笑）」と言っていただいたのはうれしかったですね。また大阪での勤務医時代の患者さんに丸亀市に帰って当院を継ぐことをお話ししたら「四国にはよく出張で行くんだ。先生に診てもらいたいから寄ってもいいかな」と言われたのも印象に残っています。当院でもこういう患者さんとの出会いを積み重ねていきたいです。

今後さらに力を入れていきたい分野はありますか。

父の時代は虫歯治療が優先で歯周病の方を診る機会があまりなかったので歯科衛生士と一緒にケアしていきたいです。歯を磨く時に歯だけをブラッシングする習慣が身についている方が多いのですが、今は歯周病予防のために歯と歯茎の境目にもブラシを当てるのが主流です。デンタルフロスや歯間ブラシも活用していただきたいのですが、慣れないと続けるのが難しいですから、根気よくアドバイスしていこうと思います。また噛み合わせの不正は頭痛や肩凝りの原因になっていると考えられるケースがあります。調整は保険診療の範囲でできますので相談していただきたいです。治療で患者さんの症状の改善をめざすのもやりがいはありますが、一番いいのは虫歯や歯周病にならないことです。そのための予防歯科に力を入れて、その大切さもお伝えしていこうと思います。

地域の皆さんや読者へメッセージをお願いします。

歯科治療は痛い、怖いというイメージがあって身構えてしまうかもしれません。けれども歯科診療は削る、詰める、かぶせるといったマイナスイメージの治療から、できるだけ歯を削らず、自然歯を生かす方向性に変わってきています。また当院では患者さんが不安にならない対応や雰囲気づくりに努めています。そして治療の際には「なぜ虫歯になったのか。このままにしておくとどうなるか」を説明し、納得していただくようにしています。スタッフが教えてくれたのですが来院時に「また来たよ」と言ってくれる患者さんも多くいらっしゃるそうです。そんな親しみを持ってもらえる歯科医院をこれからもめざしていきますので、気負わずに相談にいらしてください。