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那須 紋子 院長の独自取材記事

吉田医院

(大牟田市/新栄町駅)

最終更新日:2023/06/14

那須紋子院長 吉田医院 main

新栄町駅から車で5分の場所にある「吉田医院」は、2022年に那須紋子先生が3代目院長に就任した歴史あるクリニックだ。地域のかかりつけ医として整形外科や内科などの幅広い疾患に対応し、エコー検査・内視鏡検査などにも注力。大腸がんや胃がん、肝臓疾患などの早期発見・治療を啓発している。また「女性の先生なら……」と学生の月経トラブルや更年期障害など、女性ならではの悩みを打ち明ける患者も増えている。わかりやすく丁寧な説明を心がけているという那須院長に、同院の歴史や治療スタイルなどについて詳しく話を聞いた。

(取材日2023年5月18日)

地域の“女性医師が担当する”相談窓口をめざす

2022年にクリニックを継承されたそうですね。

那須紋子院長 吉田医院1

当院は私の祖父が開業しました。2代目である父は外科・整形外科を中心に診ており、入院患者さんも多数おられましたが、昨年父が亡くなったため、急きょ私が継ぐことになったんです。祖父の頃から通ってくださっている方も多く、皆さんの「ここがなくなったら困ります」という声に背中を押され、「吉田医院」とクリニック名を改め続けることにしました。特に引き継いで間もない頃はスタッフにとても助けられましたね。私の年齢よりも長い期間、中には祖父の代から当院に勤めている方もいて、「この方はいつもこういうお悩みで来てくださっていますよ」と細やかにサポートしてくれて、本当に皆さんがいなければ乗り越えられなかったと心から感謝しています。

先生に代替わりしてからの変化はありますか?

私も子育て真っ最中なのでどうしても手が回らないところがあり、信頼できる他院の先生方に入院患者さんを引き継いでいただきました。以前からの患者さんは相変わらず元気に通ってくださっています。90代の方も多いのですが、歩いて来てくださるんですよ。あとは女性の患者さんが少しずつ増えてきました。私が内視鏡検査を得意としているので、「男の先生に診てもらうのはどうしても気が引けて受けられなかったんですが、女性の先生が担当されると聞いて……」と、内視鏡検査へ一歩踏み出してくださる。それだけでも私がここで内視鏡検査を行っている大きな意味があると思います。そのほかは学生さんですね。女の子だと月経の悩み、おなかの不調、お尻からの出血などがあっても、やはり男性の先生だと緊張するし、思春期ならではの恥ずかしさが拭えない方も多いですから。

女性の医師がいるというだけで、検査や診察に行こうと思える人も増えますよね。

那須紋子院長 吉田医院2

気にしない方ももちろんいるでしょうけれど、そうではない方がお悩みを抱えたままということは決して見過ごすことはできません。「こんな小さな症状なのに聞いていいのかな……」などと考えず、同じ女性としてわかるところも多いでしょうから、困っているならぜひ気軽に相談に来ていただければと思います。当院の役割は地域の皆さんの最初の相談窓口、つまりプライマリケアなのだと思います。月経痛、更年期障害などの婦人科の症状にも対応していて、保険適用の漢方薬を処方することも可能です。その中で「これは検査や専門的な診断が必要なのでは?」と判断すれば信頼できる婦人科へとご紹介します。また子宮頸がんワクチンにも対応していますから、相談がある方もぜひお聞かせください。

内視鏡検査・エコー検査で命に関わる疾患の早期発見へ

先生が診察の際に心がけているのは何でしょうか?

那須紋子院長 吉田医院3

患者さんのお話をよく聞くことです。対話の中には疾患に紐づくさまざまなヒントが隠れています。そこをしっかりと拾い上げ、診断につなげていくことがとても大切です。そして検査や診察でわかったことをわかりやすく説明すること。専門用語ばかりを使うのではなく、ときには図などを手書きでささっと書きながら、患者さんがわからないことがないように説明していくことをとても大事にしています。内視鏡検査などの検査も一回受けて終わりというわけではないので、次はいつ頃受けたほうがいいかということも、今後は今以上にしっかりとお伝えできるような体制にしていきたいと考えています。

先生は内視鏡検査・エコー検査にも注力しておられますね。

大学では放射線科にいて、画像検査の読影にはかなり力を入れて勉強し、臨床にも数多く携わりました。読影はエックス線検査、エコー、MRI、CTなど多岐にわたります。内視鏡検査もカメラの映像を読み取るものですから、これまでの知識や経験が大きく役立っていますね。引き継ぐにあたって内視鏡検査とエコーの機器を新しくしました。内視鏡には人工知能のアシスト機能がついています。これは人間の目ではわかりづらいごく小さな病変も見つけるのに有用で、見落としを防ぐのに大きく役立っています。診断においても同様にアシストしてくれるので、検査の精度はこれまでより格段に向上しています。

やはり一度は内視鏡検査を受け、早期発見につなげることが大事なのですね。

那須紋子院長 吉田医院4

まさにそのためのアシスト機能です。医局からの派遣では胃腸内科にも在籍し、内視鏡検査も数多く行ってきました。「5〜6年前に一度でいいから大腸内視鏡検査をしていれば、こんなに早く亡くなることはなかっただろうに」と本当に悔しく思うこともたくさんありました。その中で私が感じたこと、残された方の思いなども個人情報に差し障りがない程度で、当院に来てくださる方に実例としてお伝えします。一方で「女性医師が内視鏡検査をしているから」と初診から内視鏡検査の相談を受けることもあります。皆さん前向きに検査を受けようと思ってくださっている、その思いをしっかり受け止め、背中を押すのが私たちの大きな役割の一つなのだと思います。またエコー検査は画面が大きいので、検査を受けながら患者さんにも画面を見ていただき「肝臓は正常ですね」などリアルタイムで説明することも可能です。

ワクチン接種・特定健診などの不明点があれば相談を

内視鏡検査やエコー検査を受ける際の注意点などはありますか?

那須紋子院長 吉田医院5

エコー検査は当日、診察の中で「受けたほうがいいかも」というときでもすぐに受けられるのが大きなメリットですね。肝臓、腎臓、膵臓などの様子がしっかりわかりますし、放射線の被ばくも少なく、患者さんは横になっているだけという、患者さんにとって負担がほとんどない検査です。検査は安全に行うべきというのが私の考えで、大腸内視鏡を受ける前には必ず一度、エックス線検査を受けていただきます。まれに大腸内に病変があることで詰まりが生じ、そのまま下剤を飲むと非常に危険な通過障害が起こる恐れも考えられるからです。また下剤も患者さんに合わせてアレンジします。便秘がひどい方であれば数日前から便をやわらかくするためのお薬を処方するなど、スムーズかつ安全に進められるような工夫を多数取り入れています。

どんな検査を受けるべきか、正直わからないという方もおられると思います。

自治体から検査のお知らせなどが来ても、「これで具体的にどうすればいいのかわからない」と思うこともありますよね。そういう場合も、「この検査って本当に受けたほうがいいんですか?」「内視鏡検査って一日かかるんですか?」「胃カメラは鼻と口からのどちらがいいんですか?」「娘の子宮頸がんワクチン接種に不安があるんですが……」など、まずは医師に質問・相談することをお勧めします。わからないからといって放置し、疾患の発見・治療の機会を逃すよりも、まずは医療のプロに聞く。それがエコーなのか内視鏡なのか、またその頻度がどれくらいなのかなどは人それぞれです。そういう相談窓口としても、当院を活用していただければ本当にうれしいですね。

地域の皆さん、中でも女性のための医療における相談窓口をめざしていかれるのですね。

那須紋子院長 吉田医院6

その思いはクリニックを継承した頃から変わりません。祖父と父の背中を見て医療の道を選びました。子どもも3人出産して育児真っ最中でもあるので、お母さん方のお気持ちも手に取るようにわかりますから、そういうご相談も遠慮なくお聞かせいただければと思います。地域のかかりつけ医としてたくさんの声に耳を傾けつつ、安全で精度の高い検査で早期発見・早期治療に取り組み、地域の皆さんが長く健康に暮らしていく、そのお手伝いをしていきたい。なので本当に何でも構いません。不安なこと、ちょっとした相談でも何でも、気軽にお聞かせくださいね。

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