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川合 徹 院長の独自取材記事

中央内科クリニック

(呉市/広駅)

最終更新日:2023/09/12

川合徹院長 中央内科クリニック main

2012年に広駅前に移転開業した「中央内科クリニック」。45年を超える歴史ある同院の2代目院長を務めるのは、川合徹院長だ。地域のかかりつけ医として内科全般の診療にあたり、腎臓病や、その原因となる生活習慣病については専門的な治療を行っている。一般の外来用駐車場20台のほかに、透析患者専用の駐車場も備え、スタッフ約60人、透析ベッド数82床を有する大所帯だが、その診療モットーは、患者一人ひとりとの対話を大切に、家族目線の診療を行うこと。少子高齢化によって医療機関・医療資源の不足を懸念しつつ、いかに地域医療を守り、多様化する患者のニーズに応えていくかが重要だと語る院長に、ホームドクターとしての強い責任感と、何でも相談できる心強さを感じた。

(取材日2023年7月31日)

腎臓病や生活習慣病の治療を得意とするクリニック

とてもきれいなクリニックですが、開業なさったのは45年以上前なんですね。

川合徹院長 中央内科クリニック1

当院は、1975年に前院長である私の父が呉市中央町に開業したのが始まりです。父は、「地域のかかりつけ医」というスタンスを大切にしながら、腎臓病の専門家として透析にも対応するクリニックをつくりました。当時の透析ベッド数は20床でしたが、更に充実させるために1981年に広中町へ、2012年に広駅前に移転開業し、現在は82床を有するクリニックになっています。私は、幼い頃からそんな父の姿や腎臓病に苦しむ患者さんの様子を間近で見てきましたので、自然と医師の道を志し、腎臓を専門に研鑽を積んでまいりました。当院は風邪などの疾患はもとより、腎臓病、生活習慣病、認知症などの老年期疾患の診断・治療などに取り組み、とりわけ腎臓病に関しては初期の段階から末期までの対応を一貫して行えるというのが大きな特徴です。

どのような症状やきっかけで受診される方が多いですか?

当院の患者さんの半数近くが腎臓に関するトラブルで来院されます。受診のきっかけとして最も多いのは、健康診断で何らかの異常が見つかって、というケースですね。腎臓病というのは初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、尿検査で尿たんぱくや尿潜血が認められたり、クレアチニンが高値であったりすることから判明します。病状が進行すると腎不全に陥り、週に3~4回、1回4時間程度の人工透析が必要になりますから、がんなどと同様に早期発見・早期治療が重要なんです。また、腎臓病の原因疾患となる、糖尿病や高血圧症などを患っている患者さんも多くいらっしゃるので、そうした生活習慣病の治療にも注力しています。

巡回送迎バスがあるそうですが、遠方からも患者さんがいらっしゃるのですか?

川合徹院長 中央内科クリニック2

呉市は、人口に対して高度医療を担う基幹病院の数が多いといわれているのですが、この呉市東部地区については、腎臓を専門とする医師のいる医療機関が少ないんですね。当院には、私以外にも専門の医師が常勤で4人在籍していますので、他院で腎臓に関する疾患が疑われた際にお問い合わせをいただいたり、ご紹介いただいたりしています。患者さんの中には竹原市近くからお越しくださる方や、島しょ部から橋を渡って来られる患者さんもいらっしゃるんですよ。すべてを網羅することはできませんが、巡回バスを出すことで、患者さんの通院の負担を少しでも減らせるように対応しています。

個々の患者の病態、生活環境に合わせた診療を行う

透析治療について詳しく教えてください。

川合徹院長 中央内科クリニック3

腎不全が進行して腎臓が機能しなくなると、血液透析、腹膜透析、そして腎移植の中から治療法を選択することになります。現在、全国に透析患者さんが約35万人いるといわれていますが、そのうちの9割以上の方が血液透析を選択しています。腹膜透析というのはおなかに透析液を入れて行うもので、在宅で行うことができるんですね。在宅透析であれば、通院は月に1~2回で済みますので利便性が高い治療法ではありますが、患者さん自身が管理しなければなりません。腎移植については、地域の基幹病院で移植手術を受けることができます。患者さんの個々の病態、多様なニーズにお応えできるように、できる限りの対応をしていますが、いずれの治療にもメリット・デメリットがありますので、医師とよく相談することが大切です。

腎臓透析リハビリテーションとは何ですか?

リハビリテーションというと、脳卒中やケガの後に行うものという印象がありますが、腎臓透析リハビリテーションというのは主に腎疾患や人工透析の患者さんを対象とした、運動指導・食事指導・教育・精神的ケアなどを行うもので、当院では主治医が中心となって全てのメディカルスタッフが、計画、実施しています。これによって、腎疾患の進行を抑えることを図り、透析治療の先延ばし、すでに透析をなさっている方の機能障害の改善、残存能力の強化、合併症の予防、生活の質の改善などをめざします。透析患者さんは治療の影響で筋力や体力が衰えがちですし、骨や関節が弱くなり、全身の運動機能が低下しがちです。適切な時期に適切な量の運動をすることで、フレイルと呼ばれる虚弱状態の予防や生命予後の回復・改善が期待できるんですよ。

患者さんと接する際に大切にしていることはありますか?

川合徹院長 中央内科クリニック4

透析患者さんの多くは週に3回のペースで通院されているので、自然と患者さんと医師・スタッフが家族のような関係になってくるんですね。例えば、一般の外来にお越しになる予定がある日に姿が見えないと、どうしたんだろうと。患者さんかご家族に何かトラブルがあったのではないかと心配したり、時には通院方法から検討しなおしたりすることもあります。高齢化・核家族化が進んでいる現代では孤立無援の方もいらっしゃいますし、大切なのは、患者さんの置かれたバックグラウンドまで考慮しつつ診療にあたることだと考えています。そのために患者さん一人ひとりと向き合い、例えば、終末期の透析非導入といったことについても、ともに悩み、考えながら、答えを見つけていこうというスタンスでいます。

専門性の高い診療を高齢者医療にも生かす

お父さまの代から何か変わったと感じることはありますか?

川合徹院長 中央内科クリニック5

平均寿命が上がるとともに足腰の悪い方が増えてきていると感じます。私が幼い頃は、総合病院の入り口に車いすが常設されていることなどはありませんでしたが、今ではたいていのところに設置してありますよね。透析の患者さんについても、以前は健康な方が腎臓病になって透析を開始するというケースが多く、透析後は自宅で通常の生活を送り、場合によってはお仕事もされていましたが、現在は高齢の方が高血圧症などを患い、腎臓も悪くして透析を導入するというケースが圧倒的に多いです。そのような状況を案じて、当院でも2013年からリハビリテーションを導入しました。多様な側面から対応できればと考えています。

趣味など、プライベートについても教えていただけますか?

私は家ではほとんどお酒を飲みませんし、ずっと趣味らしい趣味もなかった人間なんです(笑)。ですから、診療のない日は遠方でのセミナーや勉強会に参加したり、講演会でお話ししたりしていたのですが、新型コロナウイルス感染症流行を機に状況が変わり、セミナーなどもオンラインになりましたので、思いきって乗馬を始めてみたんです。ここから車で1時間くらいのところにあるんですが、ドライブは嫌いじゃないですし、乗馬であれば密にならないので安心して過ごせますよね。それで始めてみたら、これが意外に楽しくてすっかりはまってしまいました。生き物と対するのは楽しいものですね。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

川合徹院長 中央内科クリニック6

当院では多くのスタッフが日々力を尽くしてくれていますが、今後もスタッフ陣が働きやすい環境づくりを心がけ、みんなが一丸となって患者さんを支えられるよう取り組んでいきたいと思っています。私は医師としても経営者としても、そんなに広いキャパシティーを持っているわけではないので、規模を拡大するというよりは自分の目の届く範囲で診療するということを大切に、真摯に診療にあたりたいと考えています。かかりつけ医として患者さんの疑問にお答えすることはもちろん、私どもの一番の強みである腎臓病のこと、糖尿病のことなどで気になることがあれば、ぜひ一度ご相談にいらしてください。

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