全国のドクター9,317人の想いを取材
クリニック・病院 158,544件の情報を掲載(2024年6月14日現在)

  1. TOP
  2. 兵庫県
  3. 神戸市東灘区
  4. 甲南山手駅
  5. 北垣眼科クリニック
  6. 北垣 公子 院長

北垣 公子 院長の独自取材記事

北垣眼科クリニック

(神戸市東灘区/甲南山手駅)

最終更新日:2024/03/01

北垣公子院長 北垣眼科クリニック main

JR神戸線・甲南山手駅から南へ徒歩5分。国道2号線沿いのビルの2階にある「北垣眼科クリニック」。1994年の開院の1ヵ月後に発生した阪神淡路大震災を乗り越え、地域の眼科医療に長らく貢献してきたクリニックだ。同院には遠方から通う患者も多く、「患者さんの話を丸ごと受け入れ、患者さんが求めるものを一生懸命考えることを大切にしています」と穏やかに語る北垣公子院長。そんな北垣院長に開業当時の思い出や現在の診療内容を語ってもらった。

(取材日2024年1月31日)

阪神淡路大震災を経て、感謝の気持ちで診療に取り組む

開業までのことを教えてください。

北垣公子院長 北垣眼科クリニック1

三重大学医学部に進学し学ぶ中で、直径25mmという小さな眼球にいろいろな情報が詰まっていることに興味を惹かれ、眼科医の道を選びました。卒業後は神戸大学医学部眼科学教室に入局し、出産・育児を経て、神戸大学医学部附属病院、神戸中央病院、新長田眼科病院で臨床経験を積みました。新長田眼科病院は入院施設も備えた眼科の単科病院です。手術を専門にしており、全国各地から手術が得意な先生が集まっていました。手術の経験を積めただけでなく、素晴らしい先生方にお会いできたのもありがたい経験でしたね。そして、1994年12月に開業しました。

開業の翌年に阪神淡路大震災が起こったのですね。

開業から1ヵ月後のことです。当院も窓ガラスが全部割れて、大きなダメージを負いました。修繕してやり直すか、それとも勤務医に戻るか。床に散らばったコンタクトレンズの箱を拾い集めながら考えていると、知り合いの脳外科の先生が訪ねてきてくれたのです。窓から差し込む夕日を背に、その先生が「もう1回頑張ってみたら」とおっしゃいました。その時にふっと、その先生だけじゃなく何かに「もう1度頑張りなさい」と言われている気がしました。同じく全壊したクリニックの先生からも頑張ろうなと声をかけていただき、もうやるしかないと心を決め、無我夢中で頑張りました。復興の一番大変な時期には東灘区医師会でも活動し、界隈の先生方といろいろなことを話し合いました。震災を通して、たくさん助けていただき、感謝しかありません。得がたい経験もたくさんありました。今でもあの時の患者さんはどうしているかなと思い出すことがあります。

開業からもうすぐ30年ですが、今のお気持ちをお聞かせください。

北垣公子院長 北垣眼科クリニック2

患者さんやスタッフに恵まれ、本当にここで開業して良かったと心から思っています。当院にはエレベーターがあるので、ベビーカーに乗った赤ちゃんからシルバーカーを押してこられるご年配の方まで幅広い年代の方が来てくださいます。患者さんの中にはお付き合いが何十年になる方もたくさん。地元にいる兄妹を連れてきてくださる患者さんや、東京へ転居後も当院が安心するとわざわざお越しくださる患者さんもおられます。長くお付き合いできてうれしく、楽しいです。

続ける中で診療姿勢に変わった点はありますか?

患者さんの言葉を丸ごと受け入れられるようになりましたね。若い頃は、例えば白内障の手術が終わったのに「見えない」とおっしゃる患者さんには「そんなことないでしょう」と思う自分がいました。しかし、見える・見えないは各々の感覚の問題で、生活環境も人によって違います。そのことに気づいた今では「その方の生活では見えないのだな」「もっとよく見える自分を思い描かれていたのだろうな」と考えられるようになりました。そこから治療で何が悪かったのかを見直して、今後どうしたら良いのかを一生懸命考えていくことを大事にしています。

患者が求めていることを大切に

診療内容について教えてください。

北垣公子院長 北垣眼科クリニック3

白内障や緑内障、結膜炎、麦粒腫(ものもらい)など多岐にわたります。高校生以上はコンタクトレンズの処方が多いですね。当院では手術をしておりませんので、手術を必要とする疾患は、専門性の高い病院を紹介します。どこの病院にお願いしたら、患者さんにとって一番良い結果が望めるかを考えるのも当院の役割の一つだと考えています。幅広く診ている疾患の中でも力を入れているのが、緑内障の治療です。緑内障では治療を続けることが一番大事。そのため患者さんの仕事や家庭環境などを総合的に見て、無理なく飲み続けられる薬の組み合わせを考えたり、緑内障を専門とする先生と連携して治療にあたったりします。

オルソケラトロジーにも対応されていると聞きました。

オルソケラトロジーは、特殊なハードコンタクトレンズを夜、寝ている間に着けて角膜の形状を修正することをめざす近視の治療法です。日中は裸眼で過ごせることが期待できます。ただ、寝ている間にレンズを着けた目をこすって目に傷がついたり、レンズの手入れが不十分で感染症になってしまったりするなどのトラブルが起こる可能性もあります。また自由診療なので、高額にもなります。当院ではトライアル期間を2~4週間設け、レンズを貸し出しします。使って合わないようであればレンズと交換で全額返金するシステムとなっています。また、中にはレンズを着けるのを怖がる子もいるでしょう。私からも丁寧に説明し、頑張ってみようかなと思う子にはチャレンジしてもらいますし、絶対ダメと言う子には無理強いすることは決してしません。自分が納得して治療に進むことを大切にしているからです。

ほかにも患者さんに接する上で大切にしていることは?

北垣公子院長 北垣眼科クリニック4

患者さんがどのような状態を求めているかを考えることですね。そのためには、患者さんの生活に今の目が適しているかを判断することが必要です。まず診察室に入ってこられた瞬間から、患者さんの様子をしっかりと観察し、今の目の状態を把握します。見ることに不安を感じている方には足元がおぼつかない、オドオドしているなどの様子が見られます。次に問診で生活環境についてお伺いします。仕事でパソコン作業がメインの方、運転をよくする方など、生活環境によって目の使い方や視力への考え方も変わってきますから。観察と問診を丁寧にすることで、患者さんが目の状態で不満に思っていることや治療で求めていることを探っていきます。

掃除や洗濯、動物の世話が癒やしの時間

お忙しい毎日かとは思いますが、先生のリフレッシュ方法は?

北垣公子院長 北垣眼科クリニック5

まず掃除・洗濯ですね。体を動かして部屋や洗濯物がきれいになると楽しいです。友達にも掃除に行くよ!とよく言っています(笑)。震災後にしばらく老健施設に訪問診療に伺っていた時も、お手洗いなどが汚れているのを目にすると勝手に掃除していました。医療施設が汚れているのは良くないと思うからです。当院も開業から30年近くとなり、少しずつリフォームもしていることに加え、時間があればスタッフがいろいろな所を磨いてくれています。美しさが保て、本当にありがたいと思っています。ほかにもウォーキングなどの運動や動物のお世話も良いリフレッシュとなっています。家でミニチュアダックスフンドとカメとメダカとドジョウを飼っていて、皆本当にかわいいのですよ。

今後の展望について教えてください。

以前から初診ウェブ受付サービスを導入していましたが、この春からは再診もウェブ予約できるように体制を整えていく予定です。また地域福祉のお手伝いを少しでもできたらと考えています。子ども食堂のチラシを待合室に貼ったり、近隣のフードバンクに少しですが寄付したりしています。当院がこれまで頑張ってこられたのも、地域の方々に助けてもらったおかげです。そしてまだまだこの地で頑張っていきたい。だから、地域のためにできることはさせていただきたいと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

北垣公子院長 北垣眼科クリニック6

目や見え方に何か違和感を覚えたり、気になることがあったりしたら、気軽に受診してほしいです。自分がちょっと気になることが、実は人にはものすごく気になることである場合もあります。そこまで我慢できたのかと感じるほど症状が進行している患者さんも時にはいらっしゃいます。そういう方にお話をお伺いすると「何年か前にこのようなことがあって」と話される方も少なくありません。時計を巻き戻すことはできないので、今からできることを一生懸命、頑張っていくしかないのですが、気になることがあれば早めに受診していただけるとうれしいです。

自由診療費用の目安

自由診療とは

オルソケラトロジー治療/初年度15万円(両眼)、7万5000円(片眼)、2年目以降 2万円 ※検査代・ケア用品代、2年目以降のレンズ更新代は別途

Access