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田中 公子 院長の独自取材記事

南浜田クリニック

(四日市市/近鉄四日市駅)

最終更新日:2021/10/12

田中公子院長 南浜田クリニック main

近鉄四日市駅より徒歩約8分、大きな看板が目を引く「医療法人児玉会 南浜田クリニック」。院長の田中公子先生は、父親が高齢のため閉院した「児玉小児科」を建て替え、「南浜田クリニック」として新たにスタートを切り、地域医療に携わってきた。開院後5年間は父と親子で診療し、その後引退した父に代わり院長を継承。内科・小児科・消化器内科・アレルギー科と広く診療を行う。近隣には小児科の医師が少ないため、乳幼児健診や学校医など地域に根差した活動も多く、日々多忙を極めると推察するが、インタビューを通じ、患者一人ひとりに丁寧に向き合う姿勢が垣間見えた。優しい笑顔が印象的な田中院長に、医師をめざした経緯、診療のモットー、地域での活動、女性医師ならではの気づきなど広く話してもらった。

(取材日2020年2月18日)

実家の小児科を継ぎ、かかりつけ医として幅広く診療

茶色を基調とした外観に大きなピンク色の看板が掛かっていて、初めて来られる方にもわかりやすいですね。

田中公子院長 南浜田クリニック1

近鉄四日市駅から歩いて8分ほどですが、近鉄名古屋線の近くなので、線路沿いに歩いていただくと、この大きな看板が目に入ってくると思います。父が高齢になったため開業していた児玉小児科を閉院し、今のクリニックへ2003年に建て替えました。駐車場として使っている所に、父のクリニックが建っていたんです。父とは5年くらい一緒に診察していたのですが、引退後、86歳で亡くなりました。以降、私が診察させてもらっています。

院内も広くて明るいですね。加湿器・空気清浄機があり、清潔感があります。

院内では靴を履き替えていただいていますが、バリアーフリー設計で、車いすでの利用も可能です。熱や咳の症状のある方は、入り口のすぐ左側に隔離室を設けていて、診察前の早い段階で患者さんを分けるようにしています。待合室にはベビーベッドを2台設置し、キッズスペースも設けています。キャラクターのぬいぐるみや絵本で遊び、待ち時間も家にいるように過ごしてもらっています。待合室に続き、診察室・処置室・点滴室という導線になっています。

内科・小児科・消化器内科・アレルギー科を標榜されていますが、どのような患者さんが来院されますか?

田中公子院長 南浜田クリニック2

大学卒業後は小児科に入局し7年勤務しましたが、結婚して、夫が院長を務める津市の個人病院で内科も診療し、また胃腸の検診技術も勉強しました。かかりつけ医としてベースになる経験をその時代に積んだことになります。その後、結婚前からの父との約束を果たすために、実家に戻ってクリニックを継ぎました。患者さんの大半は近所のファミリーの方々で、男女半々くらいですが、大人が7割、子どもさんが3割といったところでしょうか。ここ南浜田地域は高齢の方が多いですが、転勤されて住むケースも多く、若い世代も多いですよ。50代以降の患者さんは、高血圧症・脂質異常症・糖尿病など生活習慣病の治療、子どもさんは風邪の症状がほとんどです。父から引き継いだ患者さんもいらっしゃって、親子3代で通院されている方もおられます。

院外の医療活動を通じ、地域住民と触れ合う

日々の診療の様子を教えてください。

田中公子院長 南浜田クリニック3

朝8時にクリニックの入り口を開けますので、患者さんが先に診察券を置きに来られます。9時から順番に診療を始めますが、胃カメラ・胃のバリウム検査・腹部エコーの検査は8時30分からになります。電話で急を要する症状を伺った患者さんは優先することもあります。予約制にできないのは、子どもさんの場合はほとんどが風邪症状なので診察時間は短いですが、大人の場合は問診したり、検査の結果を見て治療を考えたりという時間があるので、子どもに比べると診療時間はずっと長くなります。そんな事情で、診療時間を人数で見込むことができなくて、順次診察させてもらっています。

ご専門分野について聞かせてください。

小児科の出身なので、アレルギー疾患を含め、小児の体全体を診ます。乳児健診も行っています。大人の患者さんの場合も、腰が痛い、膝が痛いといった整形外科の領域の訴えにも対応し、触診してお話を伺います。内科的な要因が見つかることもありますし、連携する病院をご紹介することもあります。もちろん、患者さんのご希望を伺って決めますが、クリニックから20分以内に市立四日市病院、三重県立総合医療センター、羽津医療センターがあり、連携しています。

院外診療もされていますか?

田中公子院長 南浜田クリニック4

小学校・中学校の校医、そして保育園の嘱託医等も受け持っており、四日市市が行っている年6回くらいの乳幼児健診も行っております。四日市市には小児科の医師が少なく、これらの仕事を地域の小児科医師全員で手分けして行っております。また休日には応急診療所に出向くこともあり、小児科の医師の負担は大きいですね。往診は昼休みを利用して伺うのですが、健診や医師会の仕事等と重なると時間がなくなってしまい、積極的に受けられない状況ですので、現在は障害のある方お一人を診ており、月1回ご自宅に伺って診察しています。当院には受付スタッフ4人、看護師3人、看護助手1人がおり、私の仕事が効率よく回るようにサポートしてくれているので助かっています。

患者と目線を合わせた、丁寧な診療を大切に

そもそも医師をめざされたのはどのような経緯ですか。また、小児科を選ばれた理由も聞かせてください。

田中公子院長 南浜田クリニック5

私には兄がいましたが、中学3年生の時に腎不全で亡くなりました。当時、私は小学校5年生でとても悲しい思いをしましたが、父は小児科の医師だったので、ことさらつらかっただろうと思います。腎移植の技術が今のように進んでいたら命を落とさずに済んだかもしれません。それまでは小学校の先生になりたいという夢がありましたが、兄が亡くなって、親戚中から父の後取りとして期待されることになり。それで、傷心の父を力づけるためにも医師になろうと決意しました。常々、父から「子どもはいいよ。薬の反応もいいし、ほとんどが回復してくれるから」と小児科への道を勧めてくれたので、進路に決めました。実際、700gや800gで産まれてきた未熟児の赤ちゃんが元気に育っていく姿を目の当たりにすると、「生命ってすごいな」と実感しましたし、毎日の診察で子どもに触れていると、本当にかわいいなと思うようになりどんどん子ども好きになってきました。

患者さんと良い信頼関係を結んでおられると思いますが、診療のモットーはありますか?

常に患者さんと目線を合わせて、小さなお子さんにはかがんで診察するようにしています。子どもさんにもなるべく丁寧な言葉を使うように、例えば、中学生にも「背中も診せてくださいね」と声をかけたりしています。もちろん、病院に見える方、どなたにも等しく丁寧にお話しをさせていただいています。また、小児科では必要な場合には抗生剤を処方しますが、抗生剤はなるべく使用せず、一つ一つの症状に合わせた薬を使うという、小児科の基本方針を守っています。経済性を考慮した薬の処方も大切な診療のポイントで、薬価が高い場合は患者さんに相談させていただきます。

お子さんにつき添って受診されるお母さん方に、メッセージをいただけますか?

田中公子院長 南浜田クリニック6

時折、お母さんから離乳食について助言を求められることがあります。結構、市販のレトルト食品を利用されている方が多いので驚いています。「調理の途中で、子ども用に材料を細かく刻んだり、薄味に整えたりするというひと手間をかければ、立派な離乳食になりますよ」と、お話ししています。私たちの世代では当たり前のことで、自分の子どもには、レトルトや冷凍の食品はほとんど食べさせませんでした。キャベツもよく火を通すと柔らかくなって、細かく刻むと10ヵ月超えていると食べられます。親世代と一緒に暮らしていないと、そういったことを教えてくれる人が身近にいないんですよね。今の時代は情報があるようで偏っているなと感じます。便利な世の中だけど、離乳食をすべて市販のものにすると不経済だと思います。「ミルクばかり飲んでいるんです」と嘆く方もいらっしゃいますが、もっと工夫しておいしく食べさせてあげてほしいですね。

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