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池田 知雅 院長の独自取材記事

徳重クリニック

(北名古屋市/徳重・名古屋芸大駅)

最終更新日:2024/05/02

池田知雅院長 徳重クリニック main

徳重・名古屋芸大駅から徒歩3分。閑静な住宅街の中に「徳重クリニック」はある。台湾出身である先代の院長は日本文化に深い興味があり、敷地内に和風の庭を造園。待合室には畳スペースがあり、窓から庭が望める設計になっている。子どもから高齢者までリラックスできそうな空間だ。現在は池田知雅(としまさ)院長がクリニックを継承。先代から受け継いだ地域のかかりつけ医としての役割を担いながら神経内科の専門性を生かし、もの忘れや頭痛専門の外来診療も提供。池田院長は研究熱心で、今でも専門機関で神経変性疾患の研究を続けている。一方で、趣味の自転車でヨーロッパを縦断した経験もあるほどのスポーツマン。とても姿勢が良く、笑顔を絶やさずに真っすぐ向き合って話してくれる池田院長に、クリニックの歴史や今後の展望などについて聞いた。

(取材日2024年3月22日)

先代から地域の健康を見守り続けるかかりつけ医

開業から池田院長がクリニックを継承するまでの経緯を教えてください。

池田知雅院長 徳重クリニック1

1997年に先代である父がこの地に開業しました。先代は出身地である台湾の医科大学を卒業し、呼吸器を専門にしていたそうです。その中で近い部位にある心臓に興味を持ち、名古屋大学に留学して循環器の研鑽を深めました。卒業後は日本循環器学会循環器専門医として静岡県や愛知県の病院に勤務していましたが、縁があってこの土地での開業に至りました。名古屋市内から近く駅からのアクセスが良い場所ながら、当時はクリニックが少ない地域だったそうです。特に小児科が少なく、地域の子どものかかりつけ医も担っていました。待合室の畳スペースは、今でいうキッズスペースとして作ったと聞いています。先代は糖尿病など生活習慣病の診療にも力を入れており、さまざまなニーズに寄り添いながら長年地域の健康を見守ってきました。その後神経内科を加え、私が院長を受け継ぎました。現在は先代と私の医師2人体制で診療をしています。

医師をめざしたきっかけは先代の影響でしょうか?

そうですね。私が幼少の頃、先代は勤務医でした。休日でも急患があれば病院に呼ばれる姿を見ていて、幼心に医師は大変な仕事だなと思っていました。クリニックを開業したのは、私が中学1年生の時です。開業後は私も患者さんと接する機会ができ、先代が感謝される姿を間近に見ることができました。大変だけどやりがいのある仕事なんだと肌身で感じたため、自然と医学の道に進みました。その頃から学問として医学や人体に興味があり、今でもその興味が尽きることなく、研究を続けています。

神経内科を専門にしようと思ったきっかけを教えてください。

池田知雅院長 徳重クリニック2

大学時代に脳の構造や機能について学んだものの、その時はその複雑さに圧倒される程度の認識でした。しかし、実際の臨床で初めて脳梗塞の患者さんを診察し、MRI画像を見たとき、教科書で学んだ脳の知識が具体的な症状と結びつきました。この体験が神経内科への興味を深めるきっかけとなりました。特に、症候学の重要性を理解し、患者さんの自覚症状と診察を通じて病変の位置や性質を特定する学問に強く引かれました。この方法で病気の原因を特定し、治療へとつなげることの重要性を学びました。初期研修を終えた後、脳梗塞のカテーテル治療にも関わり、そこでの経験がさらに専門知識を深める助けとなりました。このようにして、学問的な知識と実際の診察が融合することで、より質の高い医療をめざすようになりました。

研究を続け、専門性を生かした外来診療を提供

もの忘れ専門の外来診療を開始されたのはいつですか?

池田知雅院長 徳重クリニック3

私が院長を受け継ぐ前の2018年に開始しました。その時私は愛知医科大学の加齢医科学研究所に所属していて、神経変性疾患を病理の視点から研究していました。加齢医科学研究所とは、神経疾患で亡くなった患者さんの脳を解剖・分析して疾患の病態を解明していく機関です。病理の視点からも患者さんの脳内で何が起こっているのかを知りたいと思って研究の道に進みました。数多くの研究に携わり、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経変性疾患に対する理解を深めることができました。学びを患者さんに還元したいと思って始めたのがもの忘れ専門の外来診療です。診療においては、症候学の視点から患者さんやご家族から日常の様子や症状を詳しく聞くことを大切にしています。診察にはかなりの時間が必要ですので、一般内科とは別の枠を設定しています。

もの忘れに悩むのは、やはり高齢者が多いですか?

高齢の方が多いですが、若い方でも、もの忘れに悩む方はいらっしゃいます。例えば、若い方ですと睡眠時無呼吸症候群も、もの忘れの原因になり得ます。睡眠の質が低下することで、自覚はなくても日中に集中力の低下があり、もの忘れにつながってしまうことがあるのですね。この場合は寝るときにマスクを装着する治療を行い、睡眠時無呼吸症候群の改善を図ることで、もの忘れの改善にもつながっていくでしょう。このように、もの忘れの原因はさまざまです。もの忘れの原因というと認知症と思うかもしれませんが、認知症はあくまでも認知機能に障害があって日常生活に支障を来している「状態」のことを指します。認知症という状態になっている原因には、アルツハイマー病、脳梗塞、あるいは水頭症などさまざまあります。患者さんの症状を詳しく伺いながら診察し、原因を適切に診断してから治療につなげます。

頭痛専門の外来診療についても教えてください。

池田知雅院長 徳重クリニック4

神経内科の診療を開始したところ、想像以上に片頭痛で悩む患者さんがたくさん来院されるようになりました。片頭痛に悩むのは、一般的に若い世代、中でも女性に多いとされます。お子さんも増えています。そういった方の多くは、頭痛が起きるたびに市販薬を飲んで何とかしのいでいる状況です。この20年余りで次々と新しい薬が使えるようになり、片頭痛の多くは痛みのコントロールが図れ、予防も期待できるものになっているのに、それが知られていない。そこで、新しい注射の予防薬が使用できるようになった直後、2022年に頭痛専門の外来診療を開始しました。片頭痛は予防がめざせること、通院の継続が大切であることを広く患者さんに知っていただき、救える人を増やしたいです。中には重篤な病気が潜んでいることもあるので、「頭痛ぐらいで病院なんて」とは思わず相談してほしいです。

幅広い医療機関と連携し、適切な治療につなげる

今でも名古屋市立大学や加齢医科学研究所で研究に携わっていると伺いました。

池田知雅院長 徳重クリニック5

診療の合間を縫って神経変性疾患の研究を続けています。神経変性疾患の中には長らく原因がわからなかった疾患が多くあります。それがここ最近になって研究が飛躍的に進み、新しい治療法が見つかる期待が高まってきています。実際、昨年には認知症の新しい薬が日本で承認され、今年から実際に使えるようになりました。そのような局面に立ち会えていることに、非常にやりがいを感じています。これからも研究で学んだことやその成果を患者さんに還元していきたいので、時間が許す限りは続けていきたいです。

診療で大切にしていることを教えてください。

患者さんの体に出ている症状を詳しく聞いて診察することで、適切に病気を診断することです。診断に基づいて適切な治療を心がけていますが、当院よりも適切な治療ができる医療機関があると判断したら、他院へつなげていくことも必要だと考えます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

池田知雅院長 徳重クリニック6

神経内科とは全身を診る分野です。脳からつながる手足の筋肉や神経の病気も専門領域です。脳自体の病気から、膠原病、アレルギーなど、幅広く診ることができます。何か気になることがあれば気軽に相談してください。例えば、手のしびれ。「なんだかよくわからないけど、これが怖い病気だったらどうしよう」という気持ちになると思います。不安な気持ちを含めて遠慮なく今の状態を教えてください。診断の結果、脳には異常がなく別の原因が疑われる場合は、適切な医療機関につなぐことが私の役割です。風邪や高血圧症、糖尿病といった生活習慣病にも幅広く対応しています。医師2人体制で診療をしていますので、どんなことでもご相談ください。

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