梅村 修一郎 院長の独自取材記事
くまのまえファミリークリニック
(名古屋市緑区/徳重駅)
最終更新日:2023/10/04
名古屋市営地下鉄桜通線の徳重駅から車で約5分の場所にある、「くまのまえファミリークリニック」。院長の梅村修一郎先生が、この地域で長く親しまれてきた「渡辺医院」を継承して院名を変更、院内を改装してリニューアルオープンした。渡辺医院同様に、地域のホームドクターをめざし、患者が幸せになれる場所でありたいと、優しく温かな志を掲げて診察にあたっている。内科・小児科・消化器内科・外科と幅広く対応するが、中でも消化器内科が専門で研鑽を積んできた梅村院長が得意とするのは、苦痛に配慮した胃と大腸の内視鏡検査だ。「この地域の消化器疾患を減らし、皆さんが長生きできるような町にしていきたい」と語る梅村院長に、診療で大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2018年5月28日/情報更新日2023年9月25日)
長く親しまれた医院を引き継ぎ、名前も新たにスタート
「渡辺医院」を継承したそうですね。開業に至った経緯を教えてください。
この地で、渡辺彊先生が長く診察されてきた「渡辺医院」を、2016年12月に正式に継承させていただき、2017年5月には「くまのまえファミリークリニック」と名称を変更しました。渡辺先生とは紹介でお会いし、いろいろな話をさせてもらった上で、渡辺医院を引き継ぐことを決めた次第です。当時の私は大学病院に勤務していましたが、継承する半年前からは週に2日ほど渡辺医院で診察をしてきました。私自身、将来は開業したいと思っていましたので、いいタイミングで紹介していただいたと思っています。
梅村院長が医師をめざしたきっかけをお聞かせください。
小さい頃にお世話になった、かかりつけ医の先生の影響はあると思います。幼い私から見たらおじいちゃん先生で、まさに町医者という雰囲気の方でしたが、とても優しくて、先生に会うといつも安心するのです。「お医者さんに行くなら、あそこに行きたい」という気持ちになりましたし、その頃から漠然と「そういう医師になりたい」という思いはあったようです。また、がんという病気を知るようになってからは、見つけにくくて難しい膵臓がんを治したいと思うようになりました。その根底には、やはり幼い頃に憧れた先生のように、地域のホームドクターになって困っている人を助けたいという気持ちがあったと思います。
開業までのご経歴を紹介していただけますか。
関西医科大学医学部を卒業後、名古屋第二赤十字病院で2年間研修医として勤務しました。その後、同院の消化器内科で6年間、さらに名古屋市立大学病院の消化器・代謝内科学で5年間研鑽を積みました。専門は消化器内科です。子どもから高齢者までをしっかりと診られる医師になりたかったので、勤務医時代は週末になると救急科外来で診察していました。救急科外来はとても忙しく、子どもから高齢者まで、そして軽症の方から重症の方まで来られます。重症の患者さんを見極め、素早く適切な対応が求められる現場での経験は、今の診療にも大いに役立っています。
これまでのご経験が、貴院での診療に生かされているのですね。
もちろんです。例えば、子どもが急に腹痛を訴えて連れてこられるケースはとても多いのですが、そこではある程度、触診で原因を見極めることが重要になります。虫垂炎ならば、すぐに大きな病院をご紹介しますが、実際に診察してみると、7割くらいは便秘が原因の腹痛の印象です。開業医師の役割は、自分たちで治せる患者さんは治し、大きな病院での治療が必要な患者さんには、素早く紹介して安心させてあげることが大事だと思っています。救急科外来の経験は病状を見極める力がつきました。また、基幹病院レベルの内視鏡検査を、地域のクリニックで提供できることも、消化器内科を専門として積み重ねてきた経験の賜物だと思っています。
専門の消化器内科だけでなく幅広い診療で地域に貢献
医院の特徴を教えてください。
地域のホームドクターをめざし、内科、小児科、消化器内科、外科と幅広く対応しています。中でも、消化器内科は私の専門分野で、受診時の苦痛に配慮した胃と大腸の内視鏡検査を得意としていますので、この専門性を最大限に生かしながら、地域の皆さんの健康を守っていきたいと考えています。胃カメラや大腸カメラの検査を怖いと思っている方でも、安心して検査してたいだけるかと思います。風邪などの内科疾患はもちろん、外傷の処置、健康診断での異常の相談、糖尿病などの成人病や肝臓・膵臓などの病気の治療と管理、予防接種など、さまざまな診療に対応しています。
苦痛に配慮した内視鏡検査とは、具体的にどのようなものですか?
胃カメラは、2種類の検査法を用意しています。眠っていただいている間に検査を行えるよう鎮静剤を使用し、口からカメラを入れて検査をする経口内視鏡検査と、えずくことが少ない面で経口内視鏡検査に比べて、比較的楽に検査ができるとされる経鼻内視鏡検査。どちらで検査するのか、患者さんの希望で選択してもらいますが、最近は眠って検査がしたいという患者さんが増えています。眠っていると、気づいたら検査が終わっていることが望めるので、とても楽だと思います。大腸内視鏡検査については、大腸が長くて複雑な形になっているため、内視鏡の挿入技術によって、患者さんが感じる苦痛の度合いに差が出ます。大腸内視鏡検査についても、多くの経験を積んできましたので、苦痛が少なく検査を受けていただけると思います。もし検査でポリープがあるとわかれば、その場で切除することが可能な場合もあります。
先生の治療のモットー、診療理念を教えてください。
勤務医の頃から「どうしたら患者さんのためになるか」を常に考えて、診療を行ってきました。そしてさまざまな経験を通して、「丁寧に診察して、素早く診断し、素早く適切な治療を行うこと」が、私の医師としてのモットーとなりました。診断の説明、治療期間の目安なども、きちんと患者さんに話をするように心がけています。そうすることで、患者さんの不安も軽くなり、安心して帰っていただけると考えるからです。当院が診療を通してめざしているのは、患者さんに幸せになってもらうこと。スタッフと一緒に、患者さんが幸せになれるようなクリニックになるよう、日々努力しています。
患者が幸せになれるように、長生きできるように
診察する際に意識していることを教えてください。
渡辺医院の時代は、ご高齢の患者さんが多かったのですが、最近は小さなお子さんとお母さんの来院も増えてきました。お子さんと向き合うときに意識していることは、マスクをしていると怖く見えるので、マスクを外して、私の顔を見せて、お子さんが和めるような話をしてから診察に入るということです。また、お子さんを心配されているお母さんには、できるだけわかりやすい言葉で説明し、安心して帰ってもらえるよう心がけています。先日は、「お医者さんに行きたくない」と言っていたお子さんが「あそこなら行ってもいい」と言うようになったと聞いて、とてもうれしかったです。
今後の展望、目標などを教えてください。
一番の大きな目標は、患者さんに幸せになってもらえるようなクリニックをめざしていくことです。そのための具体的な目標として、地域のホームドクターとしての役割を大切に、小さなお子さんからご高齢の患者さんまでの一般的な病気から成人病の治療や管理まで、丁寧に対応していきたいと思っています。そして消化器内科の専門家として、この地域の消化器疾患を減らせるように苦痛に配慮した内視鏡検査の情報発信を行いながら、皆さんが長生きできるような町にしていきたいですね。ですから、ぜひ年に1度は胃と大腸の検査を受けに来ていただきたいです。また、渡辺医院の時代から当院をかかりつけ医にされている患者さんの中には、ご高齢になられてなかなか来院できなくなっている方もいます。今後は往診の体制を整え、通院できない患者さんにも対応し、最期まで当院で診ていきたいと考えています。
最後に読者にメッセージをお願いします。
胃カメラや大腸カメラが怖くて検査を躊躇している方には、まずは相談していただければ、怖いイメージをなくせるかもしれません。健康を守るための第一歩は、定期的に検査を行うこと。その一歩を踏み出していただければ、うれしいです。当院ではスタッフ一同、患者さんに「来て良かった」「安心した」「次も来たい」と思っていただけるように、精進していきたいと思っています。困ったことがあれば、気軽に相談にいらしてください。当院の看護師さんたちは皆、子育て経験者ですので、若いお母さんも安心して話ができるかと思います。