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山谷 教一 院長の独自取材記事

やまやクリニック

(岐阜市/西岐阜駅)

最終更新日:2023/04/07

山谷教一院長 やまやクリニック main

岐阜市市橋で20年以上にわたり心療内科と精神科の診療を行う「やまやクリニック」。院長の山谷教一先生は、大学卒業後ほどなくして青森から岐阜に移り、多くの患者と向き合ってきた。これまでの知見を生かし、医療ガイド誌への寄稿も行っている。開業当初から看護師を置かず、診察室では常に患者と1対1。他の人の目を気にせずに、悩みや症状を話せる環境だ。治療では、患者と向き合う時間のすべてがカウンセリングという考えのもと、薬物療法を中心に、精神療法や漢方を取り入れるなどして、患者の社会復帰の後押しに努めている。「治ることを大事にしていきたい」と語る山谷先生に、診療の流れや医師としてのやりがい、今後の展望などについて話を聞いた。

(取材日2022年11月30日)

入念な問診と観察で、患者の訴えや背景の把握を

先生は青森県のご出身だそうですね。岐阜市で開業した経緯を教えてください。

山谷教一院長 やまやクリニック1

弘前大学医学部を卒業後、1年間大学に残り、その後岐阜に移りました。弘前大学医学部精神科で教授をされていた先生が、当時岐阜精神病院(現・岐阜病院)の院長をされていましたので、その縁で岐阜へ行くことにしたのです。その後、岐阜で勤務医を続け、今から20年ほど前に開業しました。開業にあたり、西岐阜駅に近いのでこの場所を選びましたが、患者さんは駅を利用する方よりも車でお越しになる方のほうが多いですね。開業当初からこの地域全体の印象はあまり変わりありません。

どのような患者さんが受診されていますか? 

うつ症状の方が多いですね。心療内科・精神科を受診される方は、心と体に症状が出ています。心の症状は「やる気が出ない」などの気分や意欲の低下。体の症状は頭痛、肩凝り、下痢、便秘、胃痛など、さまざまです。心療内科・精神科を受診する前に、体の不調のために内科や整形外科などへ行かれる方が多いですね。ですが、検査や治療をしても不調の原因がわからず、症状も改善しないため、心療内科・精神科を受診するケースがほとんどです。患者さんの年齢層は、働き盛りの40歳代や50歳代の方が多いですが、比較的若い人やご高齢者も最近は来院します。ADHDやASD、両者の混合型などの発達障害を背景とした「うつ状態」も目立つ印象です。

診察や治療はどのように行うのでしょうか? 

山谷教一院長 やまやクリニック2

まずは問診です。患者さんにお書きいただいた問診表を参考にして、症状などを細かくお聞きします。診察しながら患者さんの話し方や声の調子、座り方、歩き方などを観察することも大事ですね。外見から症状や患者さんのパーソナリティーなどを読み取ることにもつながるんですよ。治療は薬物療法が中心です。薬を服用することに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、適切に薬物療法を行うことで症状の改善をめざしていきます。もちろん薬物療法で症状の改善が見込めないときは、漢方薬を処方したり、専ら精神療法を選択したりということもあります。ですが、治療において極めて大事なことは問診や、患者さんとのコミュニケーションとしての精神療法なのだと考えています。

診察室での会話すべてが「カウンセリング」

こちらのクリニックでの精神療法について教えてください。

山谷教一院長 やまやクリニック3

当院で行う精神療法は「患者さんの悩みを聞く」「認知のゆがみを修正し環境調整を図る」「無意識の幼児期体験まで掘り下げる」の3つのパターンを使い分け、患者さんとの信頼関係を築きながら進めます。精神療法はカウンセリングとも言いますね。中には「薬を服用しないでカウンセリングだけを受けたい」と考える患者さんもいらっしゃると思いますが、カウンセリングや精神療法は簡単なことではありません。カウンセリングに対して特別なイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、私は診察室で患者さんとお話しする時間のすべてが「カウンセリング」、つまり精神療法なのだと考えています。

精神科の医師として、どんなときにやりがいを感じますか? 

やはり患者さんの症状が快方に向かっているのを感じられたときですね。薬物療法とコミュニケーションが患者さんにうまく適合すると、症状の改善につながっていくことが期待できるでしょう。適切な薬と適切なコミュニケーションが大切なのです。また、最近は薬物療法に抵抗を示さない患者さんが増えてきている印象です。当院では、基本的に通院は半年から~1年ほど必要で、最初は週1回、その後は2週に1回や月1回の頻度になることが多いです。

心療内科・精神科の診療で難しさを感じるのはどんなときですか? 

山谷教一院長 やまやクリニック4

症状の改善がなかなか見込めないときですね。そういうときは薬の種類を変えたり、精神療法や漢方薬を取り入れたりしてアプローチ方法を変えていきます。とにかく「治る」ことを大事にしていきたいです。治療が長引くと、症状が慢性化していく恐れがあります。そうなると、患者さんは社会復帰がなかなかできなくなっていくことも考えられます。私たち精神科の医師も、患者さんを支えるために、リハビリ施設を紹介し、利用していただくことも考えています。

患者の社会復帰をサポートする存在に

先生が精神医療の道を選ばれた理由を教えてください。

山谷教一院長 やまやクリニック5

高校時代は、自分が将来何をしたら良いのかわかっていませんでした。さまざまな選択肢がある中で、たまたま弘前大学医学部へ進んだのです。大学時代は主に精神病理学、精神分析について興味がありました。昔から周囲の人に「話を聞くのがうまい」と言われていました。また、学生時代は文学に興味があって小説をよく読んでいました。そんな背景から、身体医学よりも精神医学のほうが合っている気がして、この道を選びました。

今後の展望をお聞かせください。

現在は、私と非常勤の医師が診察しています。他に医療事務を含めて3人のスタッフがいます。今後は精神保健福祉士が必要だと考えています。主治医と患者さんと社会とのつながり、つまり「主治医」を仲介する役割を担います。今後は可能であれば精神保健福祉士と一緒に患者さんの社会復帰をサポートしていきたいですね。

最後に、心療内科・精神科の受診を迷われている方に、アドバイスやメッセージをお願いします。

山谷教一院長 やまやクリニック6

最近は症状が軽いうちに受診される方が増えています。心療内科・精神科への印象が変わってきているのかもしれませんね。ですが、まだまだ受診のハードルが高いと感じている方も多いのではないでしょうか。他の診療科を受診しても症状が良くならない場合は、心療内科・精神科の受診を考えるのも一つの方法です。腰痛で整形外科へ行っても、検査結果に問題がなく症状が改善しない場合、実はうつ病からくる症状だった、というケースもあります。気になることがあれば、まずは当院に予約の電話を入れてください。何よりも「カウンセリング」と「治る」ことを第一に考えて診療します。

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