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鈴木 將夫 院長の独自取材記事

ゆずの木台クリニック

(入間郡毛呂山町/東毛呂駅)

最終更新日:2021/10/12

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック main

東武越生線の東毛呂駅より徒歩約7分、武州長瀬駅からは約8分の地にある「医療法人心和会 ゆずの木台クリニック」は、開業して27年になる。院長を務める鈴木將夫(まさお)先生は、専門分野の糖尿病治療と幅広く疾患に対応する内科全般の両立を図ってきた。「それに加えて高い専門性を備えた眼科・循環器内科の医師が早期の病気発見に努め、必要があればすぐに大学病院に紹介できる体制」と話す。また通えなくなった高齢の患者への訪問診療も行う同院。その診療方針や医療体制、今後の抱負などを鈴木院長に聞いた。

(取材日2021年8月11日)

四半世紀の間、患者を見守ってきた待合室の大時計

1994年に開業・新築されたとのことですが、今もとても清潔な印象です。

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック1

施設は古いですが、スタッフの清掃が行き届いているおかげでしょうね。院内の構造は、待合室を中心に廊下と出入り口を設け、内科・眼科・循環器内科の診察室やエックス線室、処置室にそのまま入れるように工夫しました。一応バリアフリーですが、もう少し廊下が広ければ救急車のストレッチャーもスムーズに出入りできたかなという反省もあります。待合室の大時計は開業時に寄贈されたものでして、今まで狂いなく時を刻み続けてくれています。院内に飾っている絵画は、重度障害のあるお子さんなど当院の患者さんが描いてくれたものです。あとはゆったりと過ごしていただきたいと、待合室の天井に明かり取りの吹き抜け空間をつくっていることも特徴ですかね。

次に診療面での特徴をお聞きします。

私は長年、糖尿病を診てきましたので開業前は糖尿病メインで診療を行おうと考えていたのです。そのため糖尿病網膜症に対応する眼科、そして心筋梗塞や心臓にまつわる病気も併発するケースが多いということで循環器内科も診療科目に加えました。しかし現実にはさまざまな病気の患者さんが来られるため、地域医療を担う医院としての役割も大きいと思います。そうしたことから当院は専門分野の糖尿病に加え、地域のかかりつけ医院としての病気一般も幅広く診ていく体制ですね。ただ糖尿病性腎症の透析など、専門性の高い治療が必要な時には、近くの埼玉医科大学病院、埼玉医科大学国際医療センターに紹介し、密接に連携を取りながら治療をしています。

患者の年齢層と主訴についてはいかがでしょうか?

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック2

やはり多いのは高齢者層で、患者さんの半分くらいを占めています。あとは20代から50代まで幅広いです。疾患別では糖尿病の患者さんも多数診ていますが、数としてはやはり高血圧の方が最も多く、その他では脂質異常症、循環器の心房細動など。消化器の内視鏡検査や、肝臓も含めた消化器系の不調で来院される方もけっこういますね。消化器は私が診ていますが、アメリカの留学先の大学から帰ってきた後、福島の病院に一時出向していた時に、消化器を診る医師が足りないということで内視鏡の扱い方を覚えた経験が生きていますよ。

感染症対策としてどのようなことをされていますでしょうか?

一般の患者さんの診療は11時半まで、それ以降は熱や風邪症状のある患者さんの診療にあてています。熱や風邪症状のある方には事前に連絡をいただくことになっているのですが、事前連絡をされずに来院される方もいらっしゃいます。そういった方にはたいへん申し訳ないのですが、11時半以降にもう一度来ていただくようお願いしています。来院された際には職員玄関から入っていただき、別々の部屋で待っていただきます。最大で4部屋まであります。その他、入り口には手指消毒用のアルコール、受付にはビニールカーテンと自動体温測定器を設置しています。

多様な患者一人ひとりに合わせた診療を心がける

大学病院との連携について、もう少し詳しく教えてください。

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック3

私は埼玉医科大学の1期生でして、途中に海外留学や出向もありましたが、開業前の5年間は大学で内科の講師も務めるなど、都合17年間在籍していたものですから、眼科や循環器内科の専門家に診察に来てもらっているのもそうした関係からです。例えば眼科では糖尿病の合併症である糖尿病網膜症を早期に発見することにつなげ、大学病院で網膜光凝固術などの治療を行います。その後は当院で術後の経過を診るということですね。それだけでなく、CTやMRIの検査まで当院のパソコンから予約可能ですから、患者さんは予約時間に行って検査し、帰ってくる。当院でその結果をお伝えしますので、長く検査のために大学病院で待つことも基本的にはありません。なお、眼科は月曜日・水曜日、循環器は金曜日が診察日となります。また金曜日だけ、埼玉医科大学病院の内科に勤めている息子の鈴木康大副院長に診療を手伝ってもらっていますよ。

大学の内科講師時代に教えた方も多いということですね。

そうですね、この周辺にも当時の教え子たちが開業医として働いていますよ。また、私は糖尿病だけでなく、福島の出向先で内分泌系や甲状腺疾患なども診療していましたので、それが講師として教える立場となっても役立ちましたね。糖尿病を深く掘り下げて診ていると、膵臓はもちろん、目や心臓、脳など他の臓器の知識も必要となり、最近では認知症と糖尿病の関連性を指摘するデータもありますので、それらを臨床研究やセミナーなどから日々学びながら、現在に至るまで新しい治療法を随時取り入れてきています。

改めて医院の診療方針も伺いたいと思います。

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック4

大切なことは、患者さんに通ってもらうことで治療を継続し、症状の改善を図ることです。しかし患者さんもいろんな方がいらっしゃいますので、その方の性格などを考慮してお伝えするようにしています。厳しく言って、患者さんが来なくなってしまうと症状が悪化につながることもありますので、地域のかかりつけ医師としては、そこは配慮すべきだと考えているからです。当院も開業して25年ですから、その頃から診療している方もご高齢者となるなど、年齢を重ねてきています。そのような方は性格までもある程度はわかっていますから(笑)。

院長先生は訪問診療も行われているのですね。

ええ、当院にずっと通われていた患者さんが通えなくなった場合に限り、訪問診療をしています。今は4人の方を月に1回診療しています。主に慢性期の症状が安定しているけれど動けなくなった方が対象で、脳梗塞の手術後ケア期や、100歳を超えた方など。在宅で最期までとのご希望があれば、看取りまでも行っています。看取りは在宅への流れから今後はもう少し増えてくると予想しています。

常に重病の可能性までを考えて診療にあたる

ところで、これまでで最も印象深いエピソードは?

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック5

初診で胸が痛いと来院された方に心電図測定をしようという時、いきなり心肺停止の状況になったのです。急いで気道確保と人工呼吸をし、まもなく救急車が到着して、提携先の埼玉医科大学病院にすぐ搬送しました。後で聞くと胸部大動脈乖離で一刻を争う状況でして、その時は本当に「大学病院が近くで良かった」と思えましたね。それからは地域のかかりつけ医師として、患者さんは常に急変する可能性があることを念頭に置きながら診療に臨むようになりましたよ。

プライベートなお話も少し伺いたいと思います。

私はゴルフが趣味ですが、訪問診療や看取りなども行っていますので、なかなか時間が取れないですね。私の妻は現在、埼玉医科大学を母体に持つ「丸木記念福祉メディカルセンター」の関連施設「光の家療育センター」という障害児支援施設の施設長をやっておりまして、当院でも火曜日と金曜日の小児科の診察を行っています。もともと当院は内科と小児科を夫婦で始めた医院でしたが、妻は現在はほとんど施設のほうにいて、診察日のみ当院で子どもたちを診るかたちです。家では妻の母と孫世代の4世帯同居でして、私は出かける前と帰宅後には、車いすの母の介護も行っています。それだけに、高齢の患者さんがいるご家族の気持ちもよくわかるのです。

今後の抱負と、地域へのメッセージをお願いします。

鈴木將夫院長 ゆずの木台クリニック6

電子カルテ化が完了し診療に集中できるようになりました。康大副院長は現在金曜日のみ診療を行っていますが、事業承継することも想定し、来年からは日数を増やす予定になっています。普段から新しい治療や治験に関しては彼に聞いています。それも常に根拠のある新たな医療を患者さんに提供したいとの思いからです。ただ私自身は69歳でまだまだ元気ですし、この先も15~20年くらいは頑張りたいと思っていますので、通ってくださる患者さんをこの先も長くサポートしていきたいと考えています。

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