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齋藤 裕 院長、齋藤 晶 先生の独自取材記事

斎藤クリニック

(蕨市/蕨駅)

最終更新日:2024/02/14

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック main

蕨駅から続く商店街を抜けて脇道に入ると、スタイリッシュな白い外壁の「斎藤クリニック」が見えてくる。1949年からこの地で診療を行っている同院は、もうすぐ75年目を迎えようとしている。2代目院長の齋藤裕先生の専門分野である脳神経外科の他、一般内科・外科・在宅診療など、地域のかかりつけ医として幅広く対応。2023年の4月からは院長の息子で消化器外科を専門とする齋藤晶先生が常勤として診療に加わり、腹部や肛門の症状まで診療範囲が広がった。一通りの検査機器を備え、特にCTやエコーは画像の鮮明な先進のタイプを導入。両先生の専門知識を持ち寄りながら、精密な検査・治療に努めている。吹き抜けから自然光が注ぐ院内で、裕院長と晶先生に話を聞いた。

(取材日2023年10月3日)

70年以上にわたり、親子3代で地域医療に貢献

まずはクリニックの歴史についてお聞かせください。

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック1

【裕院長】私の父がこの場所で診療を始めたのは1949年のこと。その後は増床やリニューアルを経て現在の姿に落ち着き、もうすぐ75年目を迎えようとしています。この数十年間、世の中の動きや医療制度はめまぐるしく変化してきましたが、流れに身を任せつつ時代に沿う形で医療提供を続けてきました。2023年の4月からは息子も常勤として診療に加わり、次の世代へと引き継ぐ準備を整えつつあります。
【晶先生】祖父、父、私と、3代にわたって診させていただいている患者さんもいらっしゃるんです。「先生のおじいさんの代から診てもらっているんだよ」と話す患者さんの笑顔を見ると、当院の歴史や患者さんとの信頼関係を感じて身が引き締まります。

スタッフの皆さんも長く勤務されているのでしょうか?

【裕院長】そうですね。スタッフとは長い付き合いになりますし、頼れる存在です。当院では、父の代からスタッフ育成にも力を注いできました。昔は入院設備のある病院でしたので、地方から人を呼び、学校に通って資格を取ってもらい、後に当院で働いてもらうというスタッフ育成をしていたんです。現在活躍しているのも父が育てたスタッフたちで、ずっと一緒に働いています。
【晶先生】私はしばらく蕨から離れていましたから、この地域の事情に関してはスタッフたちから教わることばかりです。看護や事務対応はもちろん、患者さんと良い関係を築いているのも頼もしい限り。看護師との会話を楽しみに来院される患者さんもいるくらいです。

院内にたくさんの絵画やオブジェが飾られており、まるでギャラリーのようですね。

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック2

【裕院長】これらの多くは、私と親交のある方々の作品です。蕨の風景画や、かつてクリニック入り口に咲いていた白蓮の花の絵など、さまざまな作品を展示しています。展覧会で受賞されている方をはじめ、医師や患者さんを含め多くの方たちが、それぞれに思いを込めた作品を持ってきてくれるんですよ。当院は医療の現場ではあるけれど、芸術的な美術品主体の文化も発信していきたいと思っています。この辺りはモダンな作品を作る方が多く、芸術的な地域だと感じているんです。アーティストの皆さんを応援したい気持ちもありますし、作品を鑑賞することで患者さんが少しでも癒やしを感じてくださるといいですね。

互いの知識を持ち寄ることで診療範囲が広がる

院長と晶先生の専門分野やご経歴について教えてください。

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック3

【裕院長】私は東京医科大学を卒業後、脳神経外科や免疫学の分野で研鑽を積みました。そこでは学んだのは、目の前の患者さんに向き合い、常に考える姿勢。現状をあたり前と思わずに「どうしてこうなったのかな、本当のところはどうかな」という疑問を持つ思考です。その後はニューヨーク州への留学でウイルス性脳炎の診断方法を確立し、大学で三次救急に携わったのちに、当院を継承して院長に就任。現在に至ります。
【晶先生】私の専門は消化器外科です。自治医科大学やその関連病院で、主に胃がん・大腸がんなど消化器疾患の治療に携わりました。当院では5年ほど前から非常勤で診療にあたっており、今はゆくゆくの継承を視野に入れながら切磋琢磨する毎日です。

こちらでは、どのような症状に対応されているのでしょうか?

【裕院長】めまいやしびれ、認知症などの脳神経外科の症状の他、一般内科・外科・在宅診療・理学療法・健康診断にも対応しています。在宅診療は患者さんからの要望がきっかけで始めました。「病気の末期を自宅で過ごしたい」というご相談も多く、患者さんとご家族の要望を伺いながら診療を進めていきたいと思っています。理学療法としては、慢性の疾患をどのようにして緩和していけるか。完全に良くなることが難しい場合だとしても、せめて痛みとともに暮らしていけるレベルまでにしたいと思っています。
【晶先生】父と私は専門分野が異なりますが、知識を持ち寄ることで対応できる範囲が広がりました。おなかの痛みや肛門のお悩みも、ぜひご相談ください。検査機器は一通り備えており、特にCTやエコーは先進のタイプを導入して精密な検査・治療に努めています。

院長が、診療時に心がけていることをお聞かせください。

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック4

【裕院長】患者さんの訴えをよく聞くことです。というのも、患者さんの思う原因と実際のそれとが異なることもあるんですね。例えば「頭痛」といっても、風邪の場合もあれば他の要因の場合もあるでしょう。真の原因を探るために、患者さんの認識する訴えから情報を引き出し、医学上の意味合いに結びつけるようにしています。また中には診察室で緊張してしまい、本来話したいことが話せないという場合もあると思います。ですから、その場合はスタッフにも患者さんとコミュニケーションをとってもらい、その情報を私に伝えてもらえるようにします。

晶先生はいかがでしょうか?

【晶先生】患者さんの思いを尊重しながら、治療を進めるようにしています。ある病気に対して治療法がいくつか考えられる場合に、患者さんの選ぶ治療法が完治への最短ルートとは限りません。ですが人の体は千差万別で、ライフスタイルもそれぞれです。患者さんのQOLを考えながら、前向きに取り組めるような治療法を一緒に考えていきたいと思っています。

これからの社会を見据えながら、地域医療に力を尽くす

これから力を入れていきたい分野はありますか?

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック5

【晶先生】訪問診療に注力していきたいですね。当院に通っていたけれど通えなくなってしまった患者さん、またご家族が介護の必要な状態になってお困りの方、そのような地域の皆さんの力になりたいんです。幸いにも、当院はこの場所で長く診療を行っていますから、地域のケアマネジャーさんなど医療関連のネットワークはできています。訪問診療に力を入れることで、通院が難しくなった患者さんの健康管理を強化するのがまず一つ。もう一つ大切なのはご家族に対するサポートです。患者さんの健康は大切ですが、ご家族の心身に過度な負担がかかってはいけません。患者さんとそのご家族の悩みを受け止めながら、これからの高齢化社会で私たちに求められることに尽力していきたいです。

地域のためにできることを考えていらっしゃるのですね。

【晶先生】もちろんです。いずれは私が当院を継承していくことになりますが、何をするにしても地域医療への貢献が大前提です。医師の家系に生まれて自然と医師になり、今改めて思うのは、医師は患者さんの痛みや苦しみを取り去って幸せな人生をお手伝いできる立場にあるということ。そのような役目を長く果たしてきた当院を継ぐ身として、開業医ならではの温かみある医療を提供していきたいと思っています。優しい気持ちで患者さんに寄り添う父の姿が、私にとってのお手本です。

最後に読者へメッセージをお願いします。

齋藤裕院長、齋藤晶先生 斎藤クリニック6

【裕院長】ご自身や家族の変化、その善しあしをよく見てほしいと思います。そして私たちに教えてください。細かなことが医療現場では検証につながります。専門用語は必要ありません。医療の言葉じゃなくていいんです。どんな時に、どんな場所で、どんな様子なのか。一つの症状にとらわれず、遠慮せずにたくさんご自身の言葉で話してくださいね。日々の診療でも、看護師から共有される患者さんのちょっとした変化が大きな意味を持つこともあるんですよ。何かおかしいと感じる感覚を大切にし、気になることがあれば気軽に相談に来てもらえたらと思います。

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