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飯原 啓介 院長の独自取材記事

飯原医院

(大阪市東淀川区/上新庄駅)

最終更新日:2024/05/21

飯原啓介院長 飯原医院 main

阪急京都本線上新庄駅、大阪メトロ今里筋線の瑞光四丁目駅からともに徒歩10分。静かな住宅街の中に「飯原医院」はある。1966年の開業以来、地域の医院として、今も近隣に住む人々から厚い信頼を集めているという。先代の飯原啓吾氏がこの地に同院を構え、現在は息子である飯原啓介院長が後を継いで、日々、診察や日帰り手術などの治療にあたっている。飯原院長は、1997年4月~2024年4月までに、同院で1万5000件以上の内視鏡検査、5000例以上の肛門手術を手がけてきた大腸・肛門外科のエキスパート。同院には山陰や九州から足を運ぶ患者もいるという。こうした高い専門性がありながら、一般内科診療も行う同院の特徴や治療へのこだわり、今後の展望などについて飯原院長に聞いた。

(取材日2024年4月24日)

1966年開院、地域に根差して診療を続ける

歴史を感じさせる建物ですが、医院の成り立ちから教えてください。

飯原啓介院長 飯原医院1

ここは外科の医師だった私の父が、1966年に開院した医院です。私は大阪大学の医学部を1985年に卒業した後、大学に残って研鑽を積み、それから箕面市立病院で勤務し、その後大学に戻り4年ほど研究。その後は市立豊中病院に4年勤務し、1997年に当院に帰ってきました。だからここに戻ってからは、もう27年になります。父は2001年に大病をしまして、その頃から私がメインで診療するようになりました。大学生までこの辺りに住んでいましたし、医師になってすぐの頃からここの外来の手伝いもしていたんです。この街を離れていた時期が長くはなかったので、戻ってきた時は実家に帰ってきたような気持ちでした。

医師であるお父さんから受けた影響も、大きかったのではないですか?

自分ではなかなか実感しないものですが、大きかったでしょうね。息子の立場から妙な言い方ですけど(笑)、父はよくできた男で、今思い出しても、かなわないなと思うことは多いです。人付き合いが良くて、広い視野で物事を考えられるし、目先の利益で動かない。「これは、こうするべきだ」という芯をしっかりと持っていました。開業していると、経営のことも考えないといけないので、ついつい易きに流れてしまいそうになることもあります。でも父は、自分の芯がぶれない人でした。「医師は食わねど高楊枝」とでも言いますか。そんな父の姿勢は、私の医師としての礎にもなっています。

先生のご専門の分野は何でしょう?

飯原啓介院長 飯原医院2

父もそうでしたが、私も専門は消化器外科です。大学では食道の研究室にいて、後に近畿大学で学長も務められた塩崎均先生のもとで、勉強をしています。その後、市立豊中病院にいた時に、たまたま大腸の先生が入れ替わる時期に重なり、その頃から医長として大腸、肛門の疾患を中心に診るようになりました。従来より父も、肛門の病気の診療に力を入れていて、ここにはそういう疾患を抱えた患者さんが多く来られていました。当院に戻ってきてからは、それを引き継ぐという形をとっています。

負担の少ない内視鏡検査を提供。症状に応じ即日検査も

主な患者さんの層や、多い主訴を教えてください。

飯原啓介院長 飯原医院3

当院は開院から半世紀以上、地域に密着した医療に取り組んできました。そのため患者さんの中心は近隣にお住まいで、親子3代・4代とご家族でかかっていただいている方が多いのが特徴です。一方で父の代から大腸・肛門の専門診療を行ってきたことから、友人・知人からのクチコミやインターネット検索などで情報を得て、遠方からご来院いただくこともあります。また当院では「内科」を標榜していませんが、日本内科学会総合内科専門医が2人在籍し外来を担当していることから、内科疾患の症状を訴えて来られる方も少なくありません。また私が始めて25年以上がたつ内視鏡検査は、特にニーズの高いメニューの一つです。

力を入れている内視鏡検査に特徴はありますか。

大きな病院とは異なる、小回りの利くスピード感ある検査を心がけています。患者さんの症状が強い、早急に検査をしたほうがいいと判断される場合は、なるべくその場で検査を行い、迅速に診断をつけて治療へと進めるよう対応します。胃内視鏡検査に関しては20年以上前から心身への負担の少ない経鼻内視鏡を導入してきました。検査中はモニターに映し出された胃の内部の映像を患者さんにリアルタイムでお見せしながら解説します。一方、大腸内視鏡検査では不安や痛みを感じにくくするため、挿入時は軽い麻酔を使います。検査中は胃の内視鏡検査と同様、可能な限り患者さんにもモニターを確認していただき、説明はもちろんポリープ切除なども行っているのが特長です。検査終了後に見る静止画像よりも、検査中のリアルタイム映像のほうが説得力がありますね。

肛門疾患の治療にも注力していますね。

飯原啓介院長 飯原医院4

肛門の3大疾患といわれるのが、イボ痔と呼ばれる「内痔核」、肛門周囲に膿がたまり直腸と皮膚をつなぐトンネルができてしまう「痔ろう」、切れ痔ともいわれる「裂肛」です。程度が軽いものでも患者さんからご希望があれば手術に踏みきることもありますが、肛門疾患のそのほとんどは良性の病気のため、患者さんのお仕事・ご家庭の都合で手術を避け、薬を塗るなど保存療法を選択する方も多くいらっしゃいます。近年は治療の選択肢も広がっており、注射だけで対処できる場合もあるため、お悩みがあればご相談ください。一般的に恥ずかしさから受診のハードルが高い肛門外科ですが、当院は外科や整形外科、胃腸内科など複数の診療科があるため周囲が気になりにくく、そこがメリットだと思います。また大腸内視鏡検査時に肛門周辺のトラブルも同時に診療することが可能です。小児の肛門周辺トラブルにももちろん対応しています。

街を見守り半世紀。専門診療と地域医療に取り組む

街の診療所の医師として、どんなことにやりがいを感じていますか?

飯原啓介院長 飯原医院5

地域で50年以上診療してきましたから、親からひ孫まで4世代にわたって来院されるご家族もいらっしゃいます。昔からの患者さんと、そのご一家を診させていただけるのは、この医院の一つの財産かなと思います。一人の患者さんと長い付き合いができるのは、ありがたいことですね。でもその一方で、日帰り手術をしているので、手術をして通院治療が終わったらそこまでという患者さんもいます。長く来院されている患者さんがいながら、そういう一期一会の患者さんもいる。私としては患者さんとのご縁を続けていきたい気持ちがあるので、自分の中で意識の切り替えをしないといけないのは、難しいところです。

医師として患者さんと関わってきた中で、印象深いエピソードはありますか?

一般の患者さんではなく父のことになりますが、父はいくつも病気を患いました。私のほうで診療できる病気は私のほうで診断して、対応の難しい病気については塩崎先生に相談し、先生のところで一緒に勉強していた医師に診断をつけてもらいました。どういった治療をするかを、人のつながりでその2人と僕、父も入れて相談しながら決めていきました。その後は、国立循環器病研究センターで院長をしている弟も一緒になって、父と息子2人で治療の方針を決めながら進めました。ですが最後の最後に、見つけるのが遅くなってしまった病気があって……。父は病気と闘っている間も、つらいなど弱音は一切口にしませんでした。周りに対しての、気遣いだったんだと思います。父にかなわないのは、そういったところもあります。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

飯原啓介院長 飯原医院6

内視鏡検査を軸に長年続けてきた診療スタイルを維持しながら、可能な限り患者さんのご希望に沿った地域密着の医療をお届けしていきたいと考えています。一方で大阪市東淀川区医師会の理事として、公衆衛生に関する仕事をしたり、区民の方々を対象とした講演会に登壇したりと、院外での活動も増えているのが現状です。少し欲張りな話ですが、消化器外科・内視鏡の専門家として、また住民の方々の健康を守る地域医療に携わる者として、両立していきたいと思います。当院では消化器外科、肛門外科のほか、整形外科、胃腸内科などに加え、総合内科専門医による内科診療も行っており、多くの病気をカバーできていると自負しています。おなかの症状を中心に、何かお困り事があればどんなことでも気軽にご相談ください。

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