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美馬 博史 院長の独自取材記事

美馬レディースクリニック

(港区/赤坂駅)

最終更新日:2024/05/15

美馬博史院長 美馬レディースクリニック main

赤坂駅から徒歩1分、にぎわう町並みの中にある「美馬レディースクリニック」。院長の美馬博史(みま・ひろふみ)先生は、女性の更年期障害の啓発、自然妊娠に特化した治療など、常に時代のニーズを先取りした診療を心がけてきた。長年、女性の心身の健康に携わる中、近年は男性更年期障害にも着目。女性だけでなく男性にも門戸を開き、さまざまな不調に悩む男性の相談にも乗っている。上品でありながらさりげない遊び心も感じるファッション、取材陣の言葉に丁寧に耳を傾けるその姿に、一人の成熟した男性、経験豊富な医師としての包容力を感じずにはいられない。そんな美馬院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。

(取材日2024年5月1日)

女性はもちろん男性の更年期障害の治療に注力

まず、クリニックの概要からお聞かせください。

美馬博史院長 美馬レディースクリニック1

当院は2014年に開業したレディースクリニックです。70歳でのチャレンジで数年前に大病を患っていたこともあり家族や友人からの反対もありました。でも今では「生涯現役の産婦人科臨床医」でありたいという私を慕って全国から患者さんが来てくださるようになり、とてもありがたく思っています。そんな患者さんたちの中にはご夫婦でいらっしゃる方々もいて、「実は僕のほうも……」というケースが結構あるんですね。お話を伺ってみるとだいたい典型的な男性の更年期障害です。私はかねてから女性の更年期障害の啓発に努め、これまで100回を越える講演を行い、たくさんの女性を治療してきました。これからは男性の更年期障害にも力を入れ、男性も元気にしたいという思いで診療を行っています。また、男性の治療も行うにあたってクリニック名も新たにする予定です。

男性の更年期障害にはどんな症状があるのですか?

一口に更年期障害と言っても女性と男性ではかなり違います。女性の場合はホットフラッシュ、多汗、手足の冷え、イライラ、不安感などが特徴的です。一方、男性ではうつ症状やパニック障害などメンタル的な問題が顕著で、希死願望にとらわれてしまう人もいるので注意しなければいけません。その他、不眠、無気力、倦怠感、性機能の低下、抜け毛などの症状が現れることもあります。食欲がコントロールできなくなり体重増加に困っている人も少なくないですね。20代、30代で同様の兆候がある人もいますが、ほとんどが精神的な疾患です。一方、50歳前後からは、どんなに精神科に通っても改善せず、実は更年期障害だったというケースが増えてくるので、一度相談していただければと思います。

男性の更年期障害に対してどのような治療を行いますか?

美馬博史院長 美馬レディースクリニック2

更年期症状にはホルモン欠乏型、心因型、両者の混合型、さらに、神経質など性格的な要因が深く関係しているケースがあります。更年期障害の治療は、まず当院が作成した質問票に答えていただき、どのタイプなのか正確に把握するのがスタートです。さらに、男性ホルモンを測定して不足分を補うこともありますが、急に大量投与すると前立腺がんのリスクを高めてしまうので、さじ加減には細心の注意を払っています。そして、何よりも大事なのがカウンセリングです。当院は心療内科も標榜しているので、得意とする分野でもあります。更年期障害を発症しやすい50歳前後の男性は働き盛り世代なので、仕事上の小さなつまずきが引き金になることも少なくありません。誰にでも起こり得ることなので、気兼ねなくありのままのお悩みをお聞かせください。

HPVを撲滅し女性が安心して自然妊娠できる時代を

不妊治療も行っていらっしゃいますね。

美馬博史院長 美馬レディースクリニック3

もちろん、更年期障害の治療と並んで不妊治療もライフワークとしてきたので、これまでどおりに力を入れていきたいと思っています。実は不妊治療のキャリアは長く、当院を開業する前から父が営んでいた北海道の産婦人科病院で携わってきました。15年ほど体外受精も行いましたが、自然妊娠力を高めることをめざす治療と期待できる妊娠率がそれほど変わらないことも実感。だからこそ、当院を開業してからは、卵子がより良い精子を選択するという生物としての基本から逸脱することもない自然妊娠をメインにしています。良質の卵子を排卵することが自然妊娠への近道なので、そのために体を温めるにはどうすればいいのかなど、生活指導にも力を入れています。当院では男性不妊も診ていますので、まずはお二人で検査を受けていただき、しかるべき治療に進んでいただくのが自然妊娠への近道です。

少子化が叫ばれる昨今ですが、解決法はあるのでしょうか。

もちろん、妊娠する確率が高い35歳以前に出産を……というのは正論ですが、それ以前に生殖年齢に相当する貴重な20代から30代の女性が年間1万人以上も子宮頸がんに罹患し、そのうち3000人近い人が亡くなっているという現状を変える必要があるのではないでしょうか。この問題を解決するため、イギリス、オーストラリア、カナダなどでは男児にもHPVワクチンを接種しています。子宮頸がんは性交により感染するので、欧米諸国ではあと10年もすれば子宮頸がんを撲滅できるでしょう。一方、男性のうち3人に1人が何らかのHPVに感染しているというデータがあるにもかかわらず、日本のように女性だけに接種を推奨しているのでは根絶は難しいと思われます。女性の健康について寝ても覚めても考え、診療してきた身としては歯がゆいですね。

これまで診療において大切にしてきたことは何ですか?

美馬博史院長 美馬レディースクリニック4

私は東京慈恵会医科大学で学んだのですが、建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」を心に刻んできました。医師というのはどうしても病気だけにとらわれがちですが、患者さんが一人の人間であることも忘れてはいけないと思うんです。その方の全体像を理解することで、見落としを防げることも多々あります。更年期障害の治療も不妊治療も、心の扱いにも注意しなければ決してうまくいきません。どんなに強そうに見える人でも、誰でも心のどこかに弱さを抱えています。真面目にコツコツと働いてきた男性が更年期障害に悩むこともありますし、むしろ多いくらいです。でも、そういった方々が自信を取り戻し、元気に働けるようになる姿を見られるよう、今後も力を尽くしていきたいです。

難病を抱える人の心にも親身になって寄り添いたい

今後の展望についてお聞かせください。

美馬博史院長 美馬レディースクリニック5

実は、私はこれまでいくつか大病をしていて、大きな手術も2回ほど受け、「ドクターの技術がいかに大事か」ということを、身をもって体験しています。深刻な病を抱えている人の気持ちもわかりますし、パーキンソン病や緑内障などの難病といわれる疾患にお困りの方々のために何か役に立つことができないか、というのが今の一番の願いです。当院には心療内科があるので、心理的な面からのアプローチもできるかもしれません。

お忙しい毎日ですがリフレッシュ法などはありますか?

足腰が弱って不慮のけがをすることのないように、できるだけ歩くようにしていますね。開業前からよく足を運んでいた赤坂はもちろん、銀座を散策することもあります。あるとき、銀座でカメラマンに声をかけられ撮影に応じたところ、粋な旦那衆をテーマにした写真集の表紙になってしまったこともあるんですよ。男性は年齢とともに身支度に構わなくなってしまう人も多いかもしれませんが、むしろ、どんどん気にかけるようにするくらいがいいと思うんです。私もそうしていますし、今日の服装も自分で選びました。少し派手だったでしょうか(笑)。病気をしてから、細かいことは気にせず伸び伸び生きることができるようになりましたね。今は更年期障害に悩んでいる男性も、後半生を生き生きと楽しめるように、お手伝いをさせていただければと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

美馬博史院長 美馬レディースクリニック6

男性の更年期障害は、女性と比較してまだまだ認知度が低いので、より多くの方に知っていただきたいと願っています。私が女性の更年期障害の治療を始めた頃はまだ若輩者でしたし、患者さんに「若いあなたに何がわかるの?」と思われがちだったのももっともなことです。しかし、たくさんの経験を重ねた今、男女問わず、どのような患者さんが来られてもお役に立てる自信があります。もし、更年期障害かと思われる男性が身近にいるならば、一人で悩まないように声をかけてあげてください。早いうちに治療を開始できればカウンセリングだけで症状の緩和が期待できるかもしれません。どうぞためらわずに受診していただければと思います。

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