膵臓がんなどの早期発見に有用
超音波内視鏡検査とは
みゆきクリニック
(多摩市/聖蹟桜ヶ丘駅)
最終更新日:2023/03/01
- 保険診療
消化器がんの中でも早期の発見が難しく、難治性のがんの代表格といわれる膵がん。この早期発見に非常に有用な検査として期待されているのが超音波内視鏡検査だ。専門性を要する検査のため、日本国内では大学病院や総合病院でもこの検査を担うことのできるドクターがまだ少なく、胃内視鏡や大腸内視鏡に比べて認知度は低いが、多摩市連光寺の「みゆきクリニック」では超音波内視鏡検査を積極的に行い、大学病院や総合病院からも検査の依頼を受けるなど、存在感を高めている。膵臓や胆嚢、胆管の疾患を専門とする院長の辻野武先生に、超音波内視鏡検査の特徴や検査を受ける頻度、検査時の苦痛を和らげる工夫などについて詳しく聞いた。
(取材日2022年3月31日)
目次
膵臓に近い胃や十二指腸の壁越しに超音波を当て、MRIでは捉えられないごく小さな病変を発見
- Qこちらのクリニックは、内視鏡検査に注力していると伺いました。
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A
当院では広く行われている胃内視鏡、大腸内視鏡に加えて、膵臓の精密検査である超音波内視鏡の検査を数多く手がけています。この検査は文字どおり、内視鏡検査と超音波(エコー)検査を組み合わせたもので、特に難治がんとされる膵がんの早期発見に有用な検査とされています。ただし、専門的な検査であるため全国的にも行っている医療機関が限られているのが現状です。多摩市近郊のみならず、都内一円あるいは他県からも検査希望の患者さんが来院されており、大学病院や総合病院から検査の依頼を受けるケースも増えています。
- Q超音波内視鏡検査について詳しく教えてください。
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A
先端に超音波がついた内視鏡を口から挿入し、胃や十二指腸の壁に超音波を当てて、その外側にある膵臓や胆嚢、胆管の状態を詳細に調べることができます。膵臓の近くにある胃や十二指腸の中から超音波を当てるため、皮下脂肪や胃腸内のガスの影響を受けずに高解像度でリアルタイムに観察できるので、CTやMRIでは認識できないようなごく小さな病変の発見にも有用です。膵臓に腫瘤などが見つかった場合、当院では、細い針を刺して腫瘍の細胞や組織を採取する超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を実施し、良性か悪性かといった確定診断まで行っています。
- Q超音波内視鏡検査はどんな方が受けるべきなのでしょうか?
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A
腹部エコー検査で、膵管が太い、膵のう胞があるなど少しでも膵臓に異常が見られたら、超音波内視鏡検査を受けたほうがいいでしょう。血縁者に膵がんの方がいる場合もリスクが高く、定期的な超音波内視鏡検査が望ましいです。また新たに糖尿病と診断された方や急に糖尿病が悪化した方も膵がんが隠れている可能性があり、検査の検討が必要でしょう。他にも超音波内視鏡の適応が良い疾患として胆嚢ポリープ、その中でも年々大きくなっている場合のものや、胆嚢・胆管腫瘍、胆管結石、早期慢性膵炎、胃粘膜下腫瘍なども挙げられます。胃や背中の痛み、原因不明の体重減少、黄疸といった症状も膵臓や胆のう・胆管に起因するケースが考えられます。
- Q内視鏡検査の苦痛や不安を和らげるための工夫はありますか?
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A
内視鏡検査は消化器がんの早期発見のために欠かせませんが、過去の検査での苦痛がトラウマになり、敬遠されてしまう方も珍しくありません。そのような場合、せっかくの早期発見の機会を逃すことになります。当院では、次回以降の内視鏡検査につなげることができるよう、苦痛に配慮した内視鏡検査を行っています。超音波内視鏡は、カメラの先端に超音波プローブがついているため、胃カメラや大腸カメラよりも太いですが、鎮静剤と鎮痛剤を併用することで眠っているような状態での検査が可能です。観察だけなら10分程度、EUS-FNAを含めても30分程度で終了し、痛みや違和感、苦しさを心配する必要はほぼありませんので安心してください。
- Q検査は何歳から、どのくらいの頻度で受ける必要がありますか?
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A
膵臓や胆嚢のがんは、特殊なケースを除けば若い方がかかることは比較的まれで、年齢とともにリスクが上がってくるといわれていますので、一つの目安としては50歳を過ぎたら定期的な検査を受けるのが理想的です。膵管が太い、膵のう胞が見られるといった所見は、膵がんに関連する所見である可能性があり、より精密な検査を行って原因をしっかり調べたほうがいいでしょう。膵がんの家族歴や膵嚢胞、慢性膵炎のある方は膵がんのリスクが高いので、年1回の超音波内視鏡検査に加えて、MRI、腹部エコーといったほかの画像検査を組み合わせ、半年に1回のペースで丁寧に観察を続けることをお勧めします。