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三坂 武温 院長の独自取材記事

八王子乳腺クリニック

(八王子市/八王子駅)

最終更新日:2024/04/23

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック main

東京都西部のターミナルステーション、JR中央本線八王子駅の北口から徒歩約5分ほどの場所にあるビルの4階に、「八王子乳腺クリニック」はある。まだ「早期発見」や「予防医学」という概念が乏しかった2008年に、乳腺の病気全般の検査・診断と経過観察を専門に行うクリニックとして誕生した。院長の三坂武温(みさか・たけはる)先生は、乳腺内科、乳腺外科全般の診療を経験する中で診断学の重要性に気づき、「これからは診断と治療を分離すべき」との思いで同クリニックを開業したという。三坂院長に、開業の経緯や乳がんについてすべての女性に知っておいてほしいことなどを話してもらった。

(取材日2024年3月7日)

情報に左右され不安になるよりも乳がんの正しい知識を

乳腺外科の医師を志したのはどのような思いからですか?

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック1

政令及び厚生労働省令が定める中に「乳腺科」という標榜枠はなく、もともと乳腺は外科の中の一分野でした。私も、1993年に金沢医科大学を卒業後、最初は外科の医師としていくつかの病院に勤務していました。その後、1998年に東京都立大塚病院に移ったのですが、そこで乳がんに苦しむ多くの女性たちを診たことが乳腺の分野に興味を持った最初のきっかけです。再発・進行した患者さんを診ていたということもあり、一生懸命治療しても亡くなる患者さんが非常に多く、乳がんは他のがんと比べて成長が遅いがんなのになぜだろう……、と悩みました。当時の乳がん医療といえば、手術や抗がん剤治療が主で、早期発見のための診断学というのはあまり主流ではありませんでしたが、そんな時、先輩医師に診断技術や早期発見に必要なテクニックなどを学び「乳腺外科の医師になろう」と思うようになりました。

そこから開業するまでの経緯を教えてください。

乳がんは早期発見で治すことが望めるがんであることや、治療をする上でも診断学が重要であることから、乳腺外科の中でも「診断」の領域を専門にしようと思いました。そこで、当時この分野で知られていた松永忠東先生のもとで2年半学びました。さらに、当時から検診施設を回り、検診から紹介というプロセスを続けているうちに「乳腺疾患における診断と治療は分業したほうがいい」と考えるようになり、検診専門のクリニックを開業したいと考えるようになったのです。当時はそのようなクリニックは全国でも数軒しかなく、先輩方に相談しても「かなりリスクがある」「5年も持たない」と言われました。それでもやはり「もっと早く見つけていれば」と悔しい思いをした経験が忘れられず、また、ちょうどその頃にマンモグラフィ検診が定着し、早期発見の重要性が注目され始めたこともあり、開業に至りました。

診療にあたり、大事にしていることは何ですか?

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック2

「連携」を大切にしています。乳腺領域において機関病院と連携を取るのはもちろんですが、それ以外の相談に対しても中途半端なことはしないということです。例えば、乳腺の相談や検査に来た患者さんの中には「背中が痛いんです」とか「高血圧と言われたので一緒に診てください」という人もいらっしゃいますが、「じゃあついでに薬を出しておきますね」といった対応をすることはありません。必ず、その症状を専門にしている医療機関への受診を促すようにしています。具体的に個々の症状に合った適切なクリニックや病院を紹介するなどして、きちんと専門の先生に診てもらうようお勧めするのが医師としての責任だと思っています。

さまざまな機器をそろえ、患者の不安軽減につなげる

どのような患者さんが多く訪れていますか?

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック3

八王子市の乳がん検診を請け負っていますので、そちらの検査・診断に来られる方が主体です。症状に対する内容で多いのは、乳房の痛みやしこりの相談です。今の時代は良くも悪くも情報量が多いので、それだけで「乳がんだ」と不安になってしまう人も多いのですが、例えば、生理周期ごとに痛くなるのであれば病気の症状ではなく生理的なものである可能性が高いと思います。もちろん、そういった相談をするのも大事なので、初診の一般診療は受けつけています。ほかには、ホルモン剤治療による副作用の更年期症状や、治療後の骨粗しょう症などのフォローもしていますし、小さな腫瘍であればここで取り、生検に回すこともできます。

乳がん検診での検査内容について教えてください。

自治体の乳がん検診としては2年に1回のマンモグラフィが基本ですが、やはり超音波エコーの検査も受けていただきたいです。当クリニックでは、従来の超音波検査の課題である「時間がかかる」「検査画像を保存できない」「読影者の技量に左右される」といった不安を解消するため、「自動乳房超音波装置」を導入しています。オートスキャンで検査ができますので、検査精度にバラつきがなく、短時間で立体的に観察することができ、画像を残すことが可能です。「何を、どのくらいの頻度で受ければ良いのかわからない」という人には、それぞれの乳房の状態から、適切な検査やその頻度についてもアドバイスします。さらに何か調べる必要があれば、細胞診や組織診も行いますが、当クリニックは画像を見ながら病変を採取できる「マンモトーム生検」を導入し、診断率向上、誤診率を下げられるよう体制を整えています。

たくさんの機器を用意して早期発見に努めているのですね。

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック4

そうですね。さらにCTスキャンやMRI、PET-CT、骨シンチ、骨密度検査といった大型機器による検査が必要な方には、提携先の検査施設や大学病院などに紹介します。これだけの機器をそろえていても、やはり大事なのは「連携」ですからね。まずは小さな病変でも見つけてあげること、何か見つかったら適切な医療機関に紹介すること、そして、その時も「ここではできないから〇〇へ」ではなく、現時点でわかっていることを患者さんに伝え、どんな治療、もしくはどんな精密検査が必要かを説明するよう努めています。そうやって納得してもらって送り出したほうが、患者さんの満足度も高く、前向きに次の検査や治療に進めると思うからです。

大事な体の一部である乳房に意識を向けてもらいたい

クリニックの今後の展望についてお聞かせください。

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック5

開業当初の目的が、まだ果たせていないと感じています。乳がん患者は現在も増加傾向にあるにもかかわらず「2年に1回の乳がん検診で十分」という風潮があるばかりでなく、その乳がん検診の受検率さえ先進国の中で最低レベルです。乳がんは、早期に治療を開始するほうが肉体的負担、精神的負担、金銭的負担も軽く済むことが望めます。検診を受けることはもちろん、一人ひとりが自分の体、自分の乳房に関心を持ち、「いつもと違うな」と思ったら受診し、検査をしていただきたいのです。厚生労働省が「ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)」をうたいはじめてもう何年もたちますが、私自身も浸透している実感はなく、パンフレットを読んだ患者さんに感想を聞いても「よくわからなかった」とおっしゃられることに危機感を感じています。

たしかに「ブレスト・アウェアネス」という言葉にはあまりなじみがないかもしれません。

そうだと思います。これは患者さん側の問題だけでなく、医療業界も変わっていかなければならないと感じています。患者さんが自ら理解し、検査や治療を選択していくような社会をめざしていますが、私が生きているうちには達成できないのでは……、と思うこともあります。自分のできることを継続しつつ、同じ意志を持つ若い医師を育て、一緒に仕事がしたいという展望もありますね。開業医は勤務医とは全然違うので、誰にでも勧められるわけではありませんが、やりたい、興味があるという医師がいれば積極的にアドバイスしていきたいと思います。

最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

三坂武温院長 八王子乳腺クリニック6

乳房に異変を感じた時「どこに行けばいいかわからない」という人が多いと聞きます。まずは自分の乳房に関心を持ち、自分で触ってみて「いつもと違うな」「何かおかしい?」と思ったら、クリニックや病院に行くようにしていただきたいです。「風邪かな?」と思ったら内科に行くのと同じです。そして、そんな時、当クリニックのような「乳腺領域の検査・診断に特化したクリニック」があることを思い出していただけたらと思います。繰り返しになりますが、乳がんは、早期発見できれば自身の負担は軽くなることが望めます。早期であれば、術式もさまざまな方法が選択できます。大事な体の一部なので、ぜひご自分の乳房に意識を向けてあげてください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

【当日コース】視触診+自動超音波(3D)/1万6500円~、視触診+マンモグラフィ/1万8000円~、視触診+マンモグラフィ+自動超音波(3D)/2万3000円~

【後日コース】視触診+自動超音波(3D)/6350円~、視触診+マンモグラフィ/8350円~、視触診+マンモグラフィ+自動超音波(3D)/1万3850円~

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