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久保田 至 理事長の独自取材記事

西新井大腸肛門科

(足立区/西新井駅)

最終更新日:2022/10/03

久保田至理事長 西新井大腸肛門科 main

西新井駅から徒歩3分ほどの住宅街の一角に「西新井大腸肛門科」を訪ねた。1960年に外科胃腸科医院として開業し、現在は大腸と肛門に特化した診療を提供。19床を備え、肛門疾患の日帰り手術や入院治療に幅広く対応しているほか、2022年1月には別棟に内視鏡センターを開設し、胃や大腸の内視鏡検査を希望する患者も数多く受け入れている。大学病院や総合病院との強固な連携体制のもと、専門性の高い診療をとことん追求する久保田至理事長に、同院の強みや内視鏡センター開設の目的、肛門疾患と密接に関わる排便習慣のありようについてなど、幅広く話を聞いた。

(取材日2022年7月26日)

大腸疾患や肛門病の専門家たちが集結

こちらは大腸と肛門に特化したクリニックだそうですね。

久保田至理事長 西新井大腸肛門科1

先代院長が開業した当初は、胃がんなど消化器外科の手術などを数多く手がけていたのですが、時代は変わり、全身麻酔を要する大がかりな手術は、その大部分を大規模病院が手がけるようになりました。そんな中、肛門外科はというと、現在でも大学病院での手術例はほとんどなく、個人病院や診療所が主体の分野です。私自身、外科で培った手技を開業後も地域の中で生かしていきたいと考えていましたので、1996年に大腸・肛門外科分野に特化した専門クリニックとして新たなスタートを切りました。現在は肛門の痛みや出血、便秘や下痢といった排便の不調に関するご相談、そして肛門からつながる大腸、胃の検診を希望される患者さんが多く来院されています。

2022年1月には医院をリニューアルし、内視鏡センターも開設されました。

肛門外科の診療と併せ、胃と大腸の内視鏡検査は従来から行っていましたが、外来の患者さんと検査希望の方の動線を完全に分けることで、より快適に受診できる環境を整えたいと思い、別棟に検査専用の施設をつくりました。センターの開設に踏み切ったのは「せっかく検査を希望している患者さんをお待たせしてはいけない」というのが一番の理由です。おかげさまで現在は検査のキャパシティーも増え、1日あたり、胃の内視鏡で6人程度、大腸の内視鏡は最大30人受け入れられる体制が整っています。特に大腸内視鏡検査の場合、あらかじめご自宅で下剤や腸管洗浄剤を飲むなどして腸の中をきれいにしていただく前処置が必要なのですが、高齢の方や遠方から来られる方で不安があるようなら、前処置も含めて内視鏡センターの中で行っていただけますので、遠慮なくご相談いただきたいと思っています。

経験豊富なドクター陣がそろっていることも、こちらのクリニックの強みの一つですね。

久保田至理事長 西新井大腸肛門科2

当院は女性医師を含めて、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医資格を持つドクターがそろっており、検査の手技には自信を持っています。また大学病院で大腸がんの手術を数多く手がけた経験を持つドクターや、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患のエキスパートも在籍し、精度の高いスムーズな検査・診断・治療に努めています。また、肛門外科の日帰り手術や入院を伴う手術のほか、内視鏡検査で見つかったポリープは小さいものであれば、その場で切除にあたるのが当院の基本です。病棟があり、ポリープ切除で何らか予期せぬトラブルがあった場合でも24時間体制でバックアップできる設備が整っていることも、患者さんの安心につながっていると思いますね。

排便習慣や便通改善のポイントも親身にアドバイス

診療にあたって心がけていることはありますか?

久保田至理事長 西新井大腸肛門科3

安全性と精度を重視した手術を行うことはもちろんですが、やはり第一には、苦痛の少ない内視鏡検査を提供して大腸がんを早期に発見することです。そして、患者さんによくわかるように説明することでしょうか。視覚的にわかりやすくまとめられた冊子などを使いながら、患者さん一人ひとりの現状とこれから予想されること、治療の進め方、日常生活の中で気をつけたほうがいいポイントなどを、あらかじめしっかりお伝えするようにしています。

痔に代表される肛門疾患は、日頃の排便習慣とも大きく関連しているそうですね。

排便全般についてはタブー視されているというか、家庭内でもほとんど話題にする機会がありませんよね。大腸と肛門を専門にする医師として、一番にお伝えしたいことは「排便したいと感じたタイミングでトイレに入るべき」ということ。よく毎日同じ時間にトイレに入り、便座に座って便意が催すまで待っているという方がいますが、それは肛門疾患を悪化させてしまうNG習慣にほかなりません。5年ほど前に発表されたアメリカの研究者の論文によると、哺乳類の動物の排便時間はほぼ一定で、その平均は12秒だということがわかっています。つまり人間がトイレに入って用を足し、後処理や身支度を整えたとしても、トイレでの滞在時間は2分程度というのが正常であって、5分以上トイレにとどまるような排便習慣は見直す必要があるのです。

肛門外科を受診することにハードルの高さを感じる方も多いのでは?

久保田至理事長 西新井大腸肛門科4

本当にそう思います。女性は抵抗感がより強いかもしれません。ひと昔前の歯科医院と同様に、よほど痛みが強くなって日常生活に支障が出るような状態になってから受診されるケースが多いですね。まずは薬局で市販薬を買ってしのぐといったパターンも多く、しばらく続けても改善しないので受診してみたら、痔だと思い込んでいた出血の原因は実は大腸がんだったということもあります。来ていただければ専門家の立場から必要な検査を速やかに行えますし、排便習慣や痛みがあるときの対処法など、適切なアドバイスが可能です。便秘のご相談もとても多いですが、最近は安易に市販の下剤を使用する方が多く、排便習慣が余計に乱れてしまうと心配しています。水分摂取や運動の必要性、生理周期との関連など総合的な視点で便通の改善策もお伝えできますから、もっと気軽に頼っていただきたいですね。

40歳を過ぎたら、健康な人こそ大腸がん検診を

部位別のがんによる死亡数で大腸がんが女性の1位になるなど、心配な現状が続いています。

久保田至理事長 西新井大腸肛門科5

大腸がんは、がんの中でも早期に発見できれば予後がいいということがわかっています。基本的には自治体検診などをうまく活用して便潜血検査を毎年受けていただくことが大切ですが、まだまだ受診率が低いというのが実際のところ。40歳を過ぎたら、せめて大腸がん検診の1次検診である便潜血検査を必ず受けていただきたいと思います。心配な症状がないから検診を受ける必要がないのではなく、健康な方のためにあるのが検診です。受診率が上がらなければ早期発見にはつながらず、死亡率も下がりません。お住まいの自治体にお問い合わせの上、必ず受けていただくことを強くお勧めします。

2023年には3ヵ所目のサテライトクリニックの開設が予定されていると伺いました。

現在、当院のサテライトクリニックとして埼玉県内で2ヵ所、「新越谷肛門胃腸クリニック」と「草加西口大腸肛門クリニック」を運営しています。入院が必要な手術や内視鏡的手術、より高い専門性を要する症例については本院である当院を受診していただきますが、本院での手術などを終えた後は、ご自宅から通いやすい分院で経過をフォローできますので、患者さんにとっても通院負担が少なく済むと思います。さらに、2023年6月には同様のサテライトクリニックを北千住にも開設します。利便性の高い立地を生かし、今後さらに多くの方に利用していただけることを願っています。

最後になりますが、今後の展望と、読者に向けて一言メッセージをお願いします。

久保田至理事長 西新井大腸肛門科6

肛門と大腸の領域に精通したドクターを地域の中で育てていきたいと思っています。当院では月に1度、勉強会を行っていて、当院のドクターそれぞれに今興味を持っているテーマを発表して、そのことについて全体でディスカッションしたりと、活発な意見交換を重ねています。1人の医師でできることにはどうしても限界がありますが、各自が文献を読み、診療経験を蓄積することによって得た知識とノウハウを持ち寄って、治療中にもその場にいるドクター同士で相談し合えるような人材の豊富さも、当院ならではの強みだと感じています。的確な診断、適応のある手術など、過不足のないまっとうな医療をお届けすることが当院のポリシーです。内視鏡センターの開設と合わせて院内も一部改装し、より快適な診療空間を整えることができましたので、どうぞ安心してご利用ください。

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