ライフステージで変わる女性の不調
ピルなどを活用し健康の維持を
しのざきクリニック
(豊島区/東長崎駅)
最終更新日:2023/06/15
- 保険診療
女性が働きながら出産や子育てをしていくことが当たり前になったため、忙しさから食事や運動、月経不順や月経痛などを気にかける余裕がない人も多くなっている。「ピルは月経の不調改善を図る役割があります。日々の生活で困っている症状がある、子宮頸がんワクチンについて不安があるという方はぜひ婦人科に相談し、ご自分やお子さんの健康を守ってほしい」と話すのは「しのざきクリニック」の篠崎百合子院長。早い段階からピルを適切に処方し、さまざまな媒体でもピルの有用性や女性特有の疾患について啓発し続けている。そこには正しい知識を得て健康につなげてほしいという院長の思いがある。今回はそんな院長に年代によって変わる不調、ピルの本来の役割や子宮頸がんワクチンなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2023年5月11日)
目次
女性の体を守るための低用量ピル・子宮頸がんワクチン。正しい知識を得て、女性らしい健康を守ってほしい
- Q若い方だとどんなお悩みが多いのですか?
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A
20〜30代の若年層の方で最も多いのは月経のトラブルです。特に月経痛で困っている方は多いですね。月経痛はあって当然、というような風潮がありますが、単なる月経痛と思っていたもの中に病的な原因のものが隠れていることもあります。子宮内膜症などの疾患が月経痛の原因になっていることもあるので、鎮痛剤が効かない月経痛がある方は決して痛みを軽視せず、婦人科を受診してほしいと思います。また月経前症候群(PMS)や性感染症の相談もありますね。いずれも原因をきちんと明らかにしつつ、困っていることやそれに対してどんな対処法があるのかを丁寧に話し合いながら治療法を提案していきます。
- Q中高年以降のお悩みにはどんなものがありますか?
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A
40〜50代は卵巣機能が衰え、閉経に向かっていく時期。それに伴い女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することで、のぼせ、ほてりなどの更年期の不調が現れてきます。同時にがん年齢にも入り、乳がんや子宮体がんなどのリスクも高まるので、自治体などが行っている検診もしっかり受けてほしいですね。閉経に向かうことで体は大きく変化しています。自覚症状がなくてもコレステロール値が高くなるため動脈硬化が進行する、骨密度が減ってくるなど、月経があった頃とはまた別の疾患が出てくる可能性も高くなります。年齢によって変わっていく体とそれに伴って考えられる疾患について、ぜひ早めに正しい知識を得ておいてほしいと思います。
- Q子宮がん検診や子宮頸がんワクチンなどについて教えてください。
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A
通常がん年齢といえば50代以上を指すことが多いですが、子宮頸がんは20〜30代でも発症します。つまり結婚し、妊娠も考え始める時期に発症するので、妊娠と同時に子宮頸がん、もしくはその前がん状態だとわかるケースも少なくありません。早期発見できれば子宮を残すことも望めますが、場合によっては子宮摘出ということも。その予防をめざせる方法が、子宮頸がんワクチンです。ご自分が将来結婚し、お子さんを産みたいと思うのであればなおのこと、子宮頸がんワクチンの接種、子宮体がん・子宮頸がんの検査を受けましょう。もしワクチンに不安がある場合は婦人科に相談し、正しい知識を得た上でワクチン接種を選んでほしいですね。
- Q低用量ピルの処方も行っているとか。
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A
日本は諸外国に比べてピルに対する理解が追いついておらず、服用すると妊娠しづらくなるなどの間違った知識が広まっていることも大きな問題に感じています。ピルは月経困難症の緩和を図り、日々のQOLを向上にも役立ちます。受験や試験があるから生理の痛みで悩みたくない、仕事を頑張りたい、いずれは子どもを産みたいと考える方にとっては、ピルは自分の体と将来を守るマストアイテムだと言えるでしょう。ピルにも種類があるので、自分にはどれが合うのかなどもぜひ婦人科で相談してみてください。
- Q普段から運動や食事にも気をつけたほうが良いそうですね。
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A
運動は年齢を問わず大事ですね。体を動かせば自然に寝つきも良くなり、メンタルにも良い影響を与えます。食事は栄養バランスが大切です。炭水化物や塩分の多い外食は控え、お弁当などで野菜を多く摂ると良いですね。サプリに頼る方も多いですが、バランスの良い食事であれば自然と栄養がとれますから。特に中高年になると代謝が落ちて太りやすくなり、生活習慣病も出てきます。若い方も忙しさにかまけて1日1食などにせず、できる範囲でバランスの良い食事を摂るようにしてほしいです。月経などの婦人科の領域も全身の健康の一部分。運動や食事で婦人科の不調の改善が見込めることもあるため、意識しておくとより良い結果につながると思います。