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相原 一夫 院長の独自取材記事

相原内科クリニック

(品川区/荏原中延駅)

最終更新日:2021/10/12

相原一夫院長 相原内科クリニック main

東急池上線の荏原中延駅から徒歩2分。駅前から続く商店街の一角に「相原内科クリニック」はある。院長の相原一夫先生は、糖尿病と循環器の専門家として豊富な臨床経験を持つドクター。特に糖尿病の治療における、将来の合併症リスクも考慮した検査体制と、きめ細かな指導が同クリニックの特徴にもなっている。「合併症を予防するには、その兆候である動脈硬化を早期に発見して治療介入することが重要」と話す相原院長に、糖尿病治療に対する思いや、診療において心がけていることなどを聞いた。

(取材日2019年8月28日)

患者が継続して通いやすいように環境を整備

糖尿病のほかにも、心臓に持病がある患者さんが多く来院されるそうですね。

相原一夫院長 相原内科クリニック1

私はもともと、循環器が専門なんです。当初は循環器の専門家として、糖尿病の合併症である動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの治療を行っていましたが、次第に「こうなる手前で止めることはできないか」と、予防に興味を持つようになりました。それが、糖尿病を専門にすることになったきっかけです。実は私のように日本循環器学会循環器専門医と日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を両方持っている医師は多くないんですよ。糖尿病の治療は血糖値のコントロールが大切ですが、合併症の発生を予防するには、並行して、心臓や血管といった循環器領域の状態を定期的にチェックすることも不可欠です。ところが、現在の医療は専門領域が臓器別に細分化されているため、実現が難しい。それだけに、私のように循環器と糖尿病のボーダーラインのところを診る医師が必要なのだと考えています。

そもそも、相原先生はなぜ医師を志したのですか?

父も医師でしたから、その姿をずっと見ていて、ごく自然な形で医師を志すようになった気がします。実際に医師になってよかったと思うのは、患者さんの反応を自分で確かめられることです。会社だったら、自分が関与するのは会社全体の一部になり、自分の仕事に対する評価や反応を直に知る機会はそう多くないかと思います。でも医師は、複数ある治療法の中から最善の治療法を見つけ、それが上手くいったときに喜んでいる患者さんの反応を自分の目で直接見ることができまます。それが医師という職業の魅力だと思います。

こちらは予約制を導入しているのだそうですね。

相原一夫院長 相原内科クリニック2

はい。大きな病院は待ち時間が長いことが多く、場合によっては受診に半日かかることもあるかと思います。仕事があったりとお忙しい患者さんにとって、病院に行くために半日空けるのは大きな負担です。糖尿病は継続的な通院が大切になりますので、通いやすい環境をつくることを第一に考えました。また、定期的に受けていただく検査も、血糖とヘモグロビン(HbA1c)は、2分で結果が出る新しい機器を導入しました。検査結果がその日のうちにわかるため、検査日と結果を聞く日など、2回にわたって来院していただかなくてよくなりました。

糖尿病の基本検査と合併症予防につながる検査を実施

血糖値の測定や合併症の検査体制が整っていると伺いました。

相原一夫院長 相原内科クリニック3

糖尿病の基本検査のほか、頸動脈・心臓・腹部の超音波検査、脈波検査といった合併症の検査を当院で受けていただけます。初期の糖尿病はほとんど症状がないので、患者さんのモチベーションを高める上で、検査データの存在は非常に重要です。自覚症状のない方に対して、「合併症が怖いから治療を頑張りましょう」といってもピンと来ませんが、例えば、頸動脈の超音波画像で、血管の壁にプラークと呼ばれるこぶができ、動脈硬化が起きている様子を見せると、「これは大変だ」と、ことの重大性を理解してくださる方が多いです。それが、食事療法や運動療法のモチベーションになることもあるのです。血糖値を測るだけだと、症状を軽くみて、そのまま治療をドロップアウトしてしまう人もいます。私としては、患者さん一人ひとりと向き合って、さまざまな角度から治療を継続できるようサポートしていきたいのです。

食事指導や運動指導に力を入れているのはなぜですか?

好きなだけ食べながら薬で血糖値をコントロールしていった場合、インスリンを出す力が弱くなり、将来的にインスリン注射が必要になる可能性が高いからです。糖尿病の薬を飲めば血糖値を下げることはできますが、これは、糖を尿と一緒に排出しているだけです。いっときは血糖が下がっても、食べ過ぎれば体に余計な糖が蓄積されていきますし、次第に太ります。ですので、薬だけの治療は難しいのです。私は基本的に、いきなり薬を出すことはしていません。患者さんに話を聞いてみると、日頃、お菓子やフルーツを食べすぎていたりと何らかの改善点が見つかるので、まずはそこからですね。ただし、薬を出さないと「治った」と勘違いして来なくなる方がいるので、そうじゃないのですよ、ということはお伝えしたいです。1〜2年の通院ブランクを経て、重症になってから再来院するというケースもまれにあります。

食事を見直すことも大切なのですね。

相原一夫院長 相原内科クリニック4

実感として全体の3分の1くらいの方は、食事を見直して食生活を改善していくことで、よい変化が感じられているのではないでしょうか。薬を飲まなくていいか、という点に関しては、もともとその方が持っているインスリンを出す能力にもよりますので、一概には言えませんが。ただ、薬を併用するにしても、以前よりは良い数値を維持している人は多いです。逆に、悪化してしまう方というのも、同じくらいの割合でいらっしゃいます。なぜなら、たくさん食べてしまうからです。運動不足でお酒も飲んでいる、好きなだけ食べているとなれば、先ほども申しましたように、薬を飲んでいても改善は難しいのです。ただ、食事指導といっても、いきなり難しいことをやってもらうわけではないので、安心してほしいです。食べたいというのは本能ですからね。患者さんとの対話の中から、今のその方が無理なく続けられそうなことを見つけて、指導するようにしています。

患者の5年後、10年後を考えた診療を実践していく

診療の際に心がけていらっしゃることはありますか?

相原一夫院長 相原内科クリニック5

患者さんの5年後、10年後をイメージしてお話することです。糖尿病の合併症は、例えて言うなら累積赤字のようなもので、ある程度以上になると、元の健康な時のレベルまで戻すことはできません。薬の服用で血糖値は安定していても、過去の歴史の積み重ねで動脈硬化は進んでいるということも十分あり得ます。ですから患者さんには、今、自分がどの段階にいるのかをご理解いただいた上で、「今のところ血糖値はコントロールできているけれど、過去に悪かった時期にこれだけ血管を痛めているから、あと10年はかなり頑張らないと脳や心臓の血管が詰まってしまう可能性がありますよ」などと、できるだけ具体的にお話するようにしています。

これまでで印象に残っているエピソードを教えてください。

どちらかというと、良いことよりも、反省したときのほうが印象に残っているんです。精一杯やっているつもりでも、「あのとき、もっとこうしてあげられたんじゃないか?」と後悔したり。でもそのような気持ちを糧にして、今日まで進んで来られた気がします。また、「これまではなかなか良くならなかったけれど、先生に診てもらってからだいぶよくなりました」と言ってくださる方もいて、そんなときはうれしくなりますね。長く診ている方ですと、私が病院を移るたびについて来てくださり、かれこれ25年の付き合いになる方もいます。すると、「この間孫ができてね」なんていう話を聞くこともあって、うれしくなりますね。

今後の展望をお聞かせください。

相原一夫院長 相原内科クリニック6

糖尿病は、どれだけ早い段階で治療を始められるかが大切です。医療界全体で、それを推し進めていけたらと願っています。糖尿病の患者さんが合併症を起こし、心筋梗塞で倒れてしまう人がいるというのは、とても残念なことです。患者さんがご自身のことを医師にすべて伝えきれているとは限らないので、問題点をいかにして見つけていくかは、とても大切だと考えています。当院では、血糖を測る検査のほか、超音波検査、心電図の検査や検尿も、それぞれ適したタイミングで定期的に行っています。たとえば検尿をすると腎臓が悪くなっていないかわかりますし、血管を調べれば動脈硬化がどれくらい進んでいるのかもわかります。糖尿病だと足に症状が出ている場合もあるのですが、当院では足の血管も超音波検査で調べています。適切に検査を実施していくことで、治療の方向性のズレをなくし、良い状態を維持していけると考えています。

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