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岩上 直嗣 先生の独自取材記事

烏山慶友整形外科・内科総合クリニック

(世田谷区/千歳烏山駅)

最終更新日:2024/06/13

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック main

患者の身近にあり何でも相談できるかかりつけ医。「烏山慶友整形外科・内科総合クリニック」は、岩上直嗣理事長の考えるこれからの日本の医療に必要な「かかりつけ医」の在り方を具現化した医院だ。血液検査、心電図、呼吸機能検査のみならず、エックス線、超音波、CT、骨密度測定も即座に撮像。総合病院並みの医療機器を駆使し診療所の利便性であらゆる症状に即座に「答え」を出し最適と思われる医療機関への道案内を行う。それがケガや運動器の異常なら整形外科、生活習慣病から脳心血管疾患については循環器内科で専門的な外来診療が受けられ、さらに他院での専門診療の狭間で見逃されがちな全身管理も受けることができる。現在の診療に至るまでの経緯、医療方針など岩上先生に話を聞いた。

(取材日2024年4月24日)

患者の悩みに「答え」を出し全身を見守るかかりつけ医

岩上先生がめざす「かかりつけ医」とは?

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック1

私たちは骨格を診る整形外科と内臓を診る内科のチームでかかりつけ医機能を提供します。その機能は「答え」を出す総合診療、「痛み」をとるための整形外科の専門診療、生活習慣病・循環器病の専門診療、全身を見守る司令塔機能の4つで構成されます。病気というのは体の構造・機能の異常です。構造を画像検査で調べ、機能を採血や心電図等で調べることで「答え」を出します。例えば腹痛で受診された方で、CT・エコーで卵巣に異常を認めた場合、病態・重症度評価を即座に済ませて婦人科へご紹介することで、適切な治療により病気の改善につながるということもあるでしょう。画像検査がなければ頻度の高い胃腸疾患疑いで大規模病院の消化器科に紹介され長時間検査や診察で待った上で「うちじゃないよ」と言われ、泌尿器科でも待って「うちでもないよ」と言われる間に病状が進行してしまうということになりがちです。初期診療で「答え」を出す必要があります。

そちらを踏まえ、こちらではどのような取り組みをしているのでしょう。

当院では症状問わず総合診療の視点から「答え」を出し適切な道案内をします。それがケガや運動器の異常であれば整形外科専門の外来で、高血圧や糖尿病等の生活習慣病は健診の段階から脳心血管腎疾患に至るまで専門的に外来診療を行うことができます。内科救急の多くは循環器病ですので緊急対応も専門範囲です。肺炎や胃腸炎等の各臓器疾患も総合的に診療します。画像検査が充実しているので無症候性のがんを同定することも可能で、その場合は専門診療の受けられる適切な医療機関へ道案内をします。かかりつけ医としての役割は紹介して終了ではなく、専門診療の狭間で見落とされがちな全身管理、各々の専門診療間の調整、より適切な専門診療への道案内等、全身臓器と関わる心臓・血管の専門家として「物言う司令塔」であるべきと考えています。

なぜそのようなお考えに至ったのですか?

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック2

これまで実務者として国の戦略策定などに携わり、今後の日本の医療の道筋を考え続けてきました。がんや循環器病は今や治癒が見込める病気となり、高度医療の均てん化も進み、実情報に基づくPDCAサイクルのための法整備も進みました。今後の課題は病院前後の診療の充実にあります。不調を年のせいにしたり、診る人が診れば明らかな異常が見過ごされ病状が進んでからやっと病院にたどり着くことがあまりに多くあります。高齢化が進み併存疾患が多様化する中、それぞれの領域を専門とする医師は専門性に甘んじ好き勝手に切り取り診療するのではなく、総合診療の枠組みの中で疾患の予防や早期発見・早期治療に取り組むべきです。自分の関わった法制度が一段落ついたことを契機に「隗より始めよ」と、主張してきた「かかりつけ医」像を自ら提示しようと考えるに至りました。

「地産地消の研究」から千歳烏山の最適な医療をめざす

「かかりつけ医」診療をこちらで実践してるんですね。

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック3

はい。当院は祖父の遺志を引き継いだ岩上記念病院を中心とする整形外科主体のグループ内で、私が理事長を務める法人が運営しています。内科医の私が考える「かかりつけ医」診療を現実的に成り立たせていくためには整形外科との連携が不可欠です。米国で総合臨床の訓練を受けましたがケガや骨折、痛みの診療は整形外科医にお任せするのが一番です。一方例えば腰痛で整形外科に受診したら尿管結石であったり、時として大動脈解離ということもあります。その都度病院を受診し同じ検査を繰り返すことなく、ワンストップで骨も内臓もそれぞれ専門家が連携して診られるほうが患者さんのためです。かといって各専門家をそろえれば総合病院が抱える専門分化の問題等が出てしまいます。

他院での取り組みをこちらに生かされているとか。

循環器病センターから東京に戻り、当院同様の取り組みを進め、志を同じくする仲間も増え地域の方々に大きく貢献できる手応えを得ました。私たちの考えるかかりつけ医機能の取り組みを広げていくためには、それを実現できる仲間が最も重要です。専門性を突き詰めると、どの疾患であっても結局自分の土俵で診ることができる境地に至るものです。柳本先生は整形外科の専門家でありながら、そうした一つの領域に捉われない達人の雰囲気に満ちあふれています。当院には柳本先生をはじめとして、専門性を持ちつつそれに捉われず総合的に診療を行う仲間が集まっています。

先生がこだわっている「地産地消の研究」とはどのようなものですか?

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック4

千歳烏山の患者さんに最適な医療を提供するなら、地球の裏側で集めた100万人のデータに基づく診療ガイドラインも大事ですが、千歳烏山の患者さん100人のデータに基づくべき、ということです。各地域ごとにこんな疾患が多くてこんな治療が有用など、ローカルな真実が存在します。これを客観的なデータとして明らかにし、より良い医療として千歳烏山の方々にお返しをする。多くの医師が経験則として当たり前にやっていることをサイエンスとして妥当性を検証するというだけのことです。こうした一般化しにくい研究は研究者には好まれませんが、千歳烏山に最適な診療の道筋を見出すには必要な研究です。だから私たちが取り組むのです。

医師と患者の、健康・医療に対する考えの共有が大切

最近気づいた事柄などはありますか?

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック5

風邪に紛れた肺炎の多さに驚いていますね。これはCOVID-19の流行以来、肺のCT撮像を受ける人が増えたことで見えてきた実態です。起因菌を調べると教科書に反しインフルエンザ桿菌ばかり。この差は教科書が病院の研究に基づくためです。多いはずの肺炎球菌は強毒で、胸部エックス線でも同定できるほどの肺炎を来し病院に運ばれます。一方インフルエンザ桿菌起因の肺炎は弱毒ゆえに風邪と区別が難しく、咳が長引く等の不調は来すものの重症化せず、胸部エックス線では多くが同定困難です。初期診療でCTを利用すればわずかな肺炎も同定できますが、風邪全例でCTを取るわけにも抗菌薬治療を行うわけにもいきません。そこで、実際肺炎だった方のデータをもとにどういう条件ならCTを撮るべきかの基準を見出すのです。この基準は地球の裏側では役立たずとも千歳烏山の患者さんを助けるには大切な情報。それが私たちのめざす「地産地消の研究」です。

診療の際、何を心がけていらっしゃいますか?

健康管理を一任いただき、患者さんがご自身のすべきことに専念できる環境を作るには医療への信頼感の醸成が不可欠です。それには健康・医療の基本的な考え方の共有が大切と考え市民講座に取り組んできました。例えば高血圧で薬を内服する方は、手段であるはずの降圧が目的となり日々の血圧の上下に気持ちまで上下しがちです。治すべき病気と未だない病気のリスクの区別は共有すべき医療の基本です。ここが共有されないと、患者さんのための科学的に正しい医療の実践が信頼を損ねてしまうことにもなりかねません。医療の知識はいくらでも手に入る時代ですが、玉石混淆の中から正しい情報を見極め、それを正しく活用するにも基本的な考え方の共有が大事だと考えています。

読者へメッセージをお願いします。

岩上直嗣先生 烏山慶友整形外科・内科総合クリニック6

高度かつ広範なかかりつけ診療を駅前のお買い物ついでに受けられることの価値は、医療との付き合いでご苦労されたことのある方ならおわかりいただけると思います。開院時に搬入できなかったMRIは近く受けられるようにする予定です。「答え」だけ知りたい、検査だけ受けたい、整形外科・内科・循環器の専門診療だけ受けたい、セカンドオピニオン等、ご都合に合わせてご利用ください。長いお付き合いになると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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