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中迫 正祥 院長の独自取材記事

なかさここども成長クリニック

(神戸市灘区/六甲道駅)

最終更新日:2024/05/01

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック main

JR神戸線六甲道駅の北出口から山側へ向かうと、人通りでにぎわう六甲本通商店街が見えてくる。その中ほどにあるクリニックビルで、2024年5月に新規開院したのが「なかさここども成長クリニック」だ。この地域で生まれ育った中迫正祥(まさよし)院長は、大学卒業後は各地の病院で勤務し、急性期・重症小児医療や専門とする小児内分泌疾患を含め、幅広い診療経験を積んできた。それだけに「地域の小児科としての役割と、内分泌疾患の専門的な治療、どちらも充実させたい」と、クリニックづくりを進めている。診療内容や「子ども自身としっかり話をするのが僕の診療スタイル」と語る中迫院長の思いを、じっくりと話してもらった。

(取材日2024年2月22日/情報更新日2024年5月1日)

生まれ育った地で子どもの一般疾患と内分泌疾患を診る

診療におけるクリニックの特徴は何でしょうか?

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック1

当クリニックでは、2つの診療を柱にしています。1つは、子どもの日常的な病気の治療や健康診断、予防接種など、地域のかかりつけ小児科としての診療です。そしてもう1つは私の専門である小児内分泌疾患で、特に低身長症、そして女児の思春期早発症を診療します。また、お困りの患者さんが増えている起立性調節障害の診療も行います。小児内分泌疾患が専門の医師は少なく、診療できる小児科クリニックが限られています。成長に伴う長期間のサポートが大事な領域でもあるので、健やかな成長を支えたいという思いでクリニック名に「こども成長」と入れました。

先生は、この地域のご出身だと伺いました。

はい、六甲駅よりさらに山側にある「中迫医院」が私の実家で、父が小児科と内科の診療をしています。ですから、この商店街にも昔からなじみがありますね。子どもの頃から医師として慕われる父を見てきましたし、少し大きくなると友達から「お父さんに診てもらったよ」と聞く機会も増えて。ですから、幼稚園の卒園アルバムには「医者になりたい」って書いていました。成長しても、その思いは変わらなかったですね。開業にあたっては父の医院をそのまま継ぐことも考えましたが、僕は小児科に絞って診療をしたかったんです。また小児内分泌疾患に関しては遠方から受診する患者さんも想定し、より利便性の高いJR神戸線の六甲道駅の近くで開業を決めました。

これまでは、どのようなお仕事をされてきたのですか?

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック2

大学卒業後は、まず大阪市西淀川区の千船病院で勤務。周産期医療に強い病院で、新生児の診療経験を積みました。ただ、小児科で開業するにはより重症例にも対応できる力をつけるべきだと父からアドバイスがあって。そこで、所属していた神戸大学の小児科医局に相談し、兵庫県中播磨・西播磨地域の小児医療の基幹病院である姫路赤十字病院へ入職しました。重症例や難症例にも対応していて、小児科スタッフには「全部ここで診るぞ」という責任感と気概があり、私も幅広い技術や主治医としての責任感を学びました。小児内分泌疾患も、ここで担当になったことで専門性を高めました。その後、開業を意識し始めた時期に甲南医療センターへ移り、健診や予防接種を含めた一般的な小児科診療も担当してきました。

子ども自身に語りかけ、自ら病気と向き合える子に

低身長と思春期早発症の診療について、詳しく教えてください。

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック3

この2つは、小児内分泌疾患の中でも特に相談が多い病気です。低身長は、子どもの個性として小柄なことが多いですが、成長ホルモンが不足するなどの病気が隠れていることもあります。思春期早発症では、通常、女の子は10歳頃から、男の子は12歳頃から見られる思春期の変化が早く始まります。小学校低学年で身長が急に伸びたり、女の子なら胸が膨らむなどの二次性徴が見られ、小学3年生の後半ぐらいで生理が始まることも。これらの病気は、成長の過程を確認しながら適切な時期に詳しい検査を行って診断をつけ、必要な治療に入ります。ただ、病気のことを知らないと気づけないですし、検査や治療に適したタイミングを逃してしまうことも。ですので、診療とともに、保護者や地域保健への啓発活動にも力を入れたいと考えています。なお、低身長の詳しい検査は、病院では入院で行うことも多いですが、当クリニックでは外来で行える点も特徴です。

では、起立性調節障害はどんな病気ですか?

この病気は内分泌疾患ではありませんが、やはり思春期の身長が伸びるような時期に多く見られます。体の急激な成長と自律神経の成長にずれが生じて、さらに水分不足や夜ふかしなどの要因が重なって発症することが多いですね。頭痛、立ちくらみ、腹痛、朝起きられない、いつもだるいなど、自律神経の不安定さから来る症状が特徴で、登校が難しくなったり、周囲から「怠けている」と見られてしまうことも。ひどくなると、気合や根性でなんとかなるものではなくなってしまいます。「君の体はこういう状態だから、こうやって生活を変えて、症状の改善をめざそう」といった話を、本人にきちんと伝えてサポートする必要があります。思春期の子どもは、親の言葉には聞く耳をもたなくても、医師から話をすれば受け入れることもあります。根気も必要な診療ですが、ぜひ取り組んでいきたいです。

先生は、お子さんとしっかり話をされるのですね。

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック4

はい。これは姫路で1型糖尿病の子どもを担当した経験が大きいです。小児1型糖尿病では体内でインスリンが分泌されなくなるので、食事のたびに血糖値を測定し、インスリン注射で補充します。診断がつくと親御さんは大きなショックを受けてしまいます。そこで僕は、2歳であれ3歳であれまず本人にちゃんと話をして、その年齢なりに病気や注射について理解してもらえるように努めました。子どもって、こちらが精神年齢を合わせてあげて話をしたり思いっきり褒めたりすれば、きちんと伝わるんですよ。最初は泣いてばかりだった4歳の子が、徐々に自分でインスリン注射を打とうと頑張るようになったのは、非常にうれしかったですね。そういう子どもの前向きな姿は、親御さんの気持ちを立て直す力にもなります。ですので今では、日常の診療でも年齢を問わずお子さん本人と話すことが楽しいですし、大事にしています。

情報提供・共有で病気の早期発見やケアもサポート

日常的な病気の診察や健診、予防接種などはどのように対応されていきますか?

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック5

水曜午後を除く平日のほか、日曜日の午前中も診察をしています。日曜日に受診できる小児科は少ないので、困ったときには気軽に来てください。また、時間内は一般診療、小児内分泌疾患、乳幼児健診、予防接種などを区別することなく診ていきます。これを可能にするため、感染症の疑いがある患者さんとそうではない患者さんでクリニックの入り口を完全に分け、動線が交わらないようにしました。ウェブからの予約や問診も導入して、待ち時間を減らすように努めますが、一方で受付の締め切りは人数制限ではなく、時間で区切るようにしています。受診したいと思ったその日に、なるべく来てもらえるようにしたいですね。

情報の発信や共有には、新たなツールも活用されるとか。

例えば風邪をひいた子どもが小児科に滞在する時間はわずかで、その間に医師ができる処置やお話しできることは限られています。お薬もありますが、「自宅でどう工夫して乗り切るか」が大切です。そこで知ってほしい情報は、ホームページや当院専用の情報共有アプリを導入して、そこへ掲載する予定です。このアプリには、子どもの身長や体重といった成長の記録や、今の体調不良に伴う熱や症状の変化なども、文字や画像で記録できます。さらに、医師のほうからその情報にアクセスできるんです。ですからこちらも治療中の患者さんの変化が確認できますし、長期的にも成長曲線を見ることで小児内分泌疾患の可能性を早期に把握できるかもしれません。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中迫正祥院長 なかさここども成長クリニック6

小児科や内科の開業医院は、地域社会に貢献する仕事でもあると思います。自分も父親となった今だからこそ、わが子が誇りに感じてくれるような医師でありたいですね。そのためにも、来てくれた子どもとはじっくり話をして思いきり褒めて、「この人は味方だな」「中迫先生に会いに行きたい」と思ってもらえる関係を築いていきたいです。受診の利便性や安全性についても工夫を重ね、来院しやすく居心地の良いクリニックをめざしていきます。

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