小出 高彰 院長の独自取材記事
つつじヶ丘駅前内科クリニック
(調布市/つつじヶ丘駅)
最終更新日:2024/04/12
「つつじヶ丘駅前内科クリニック」は、その名のとおり、京王線つつじヶ丘駅南口の階段を降りて右を向くと見えてくる。開業して間もない同院の院長を務めるのは、小出高彰先生だ。「元々あった内科クリニックがなくなり、困っている患者さんの力になりたいと思ったんです」と、地域に対する想いを語る姿が印象的だ。車いすでも利用できるようにトイレを広くするなど、誰もが通える場所にしたいと考える小出院長は気さくな人柄で、患者に対して垣根のないコミュニケーションを大事にしている。「つつじヶ丘の頼れるお医者さんでありたいので、どんな些細なことでも気軽に相談してほしい」と語る小出院長に、開院に至った経緯やめざすクリニック像、そしてプライベートのことまでじっくりと聞かせてもらった。
(取材日2024年3月14日)
「地域で困っている人の力になりたい」とこの地で開院
開院に至った小出先生の想いをお聞かせください。
開院前は腎臓専門の医師として、総合病院に勤務しながら透析が必要な患者さんをたくさん診てきました。大きな病院には重症化してからいらっしゃる方が多かったのですが、そのタイミングだと腎臓機能を元に戻すのは難しく、透析が必要になります。その中で感じていたのは、「生活習慣病を早期に発見し、腎臓機能の低下を防ぐことができたら、重症化せずに済んだのかもしれない」ということ。そうした経験から、小さな違和感やちょっと気になることを気軽に相談でき、生活習慣病の早期発見につながる場所をつくりたいという思いが募り、開院するに至りました。
開院して約2ヵ月たちました。どのような患者さんが来院されていますか?
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症で発熱の外来に来る方や、花粉症でいらっしゃる方が多いですね。ウェブサイトやSNSで予約が取れることもあってか、思っていたより若い方が多いことに驚きました。また「おしっこの外来」も開設しているので、尿に関する相談や性感染症でお悩みの方もいます。クリニック名に「内科」とあるので、気軽に来院しやすいのかもしれません。特に高齢の方は受診することが外に出るきっかけにもなりますし、世代問わずに定期的に受診していただければ、健康管理につながります。こういった小回りの利く診療は大きな病院だと難しい場合もあると思うので、当院のような地域に密着したクリニックの役割の一つかなと感じています。この地を選んだのは、近隣にあったクリニックがなくなり困っている方がいると知り、力になりたいと思ったからです。そういう意味では、少しずつ当初の願いがかなえられている気がしますね。
先生が患者さんと接する上で心がけていることはありますか?
月並みかもしれませんが、笑顔を忘れずにわかりやすい言葉でお伝えするようにしています。というのも、患者さんは体調に不安を感じていらっしゃるわけですから、少しでも安心していただき納得して治療を受けていただきたいのです。そのため、当院では待合室に入った瞬間から患者さんが心地良く過ごせるような雰囲気づくりに努めています。スタッフとともに患者さん目線で親身な対応を心がけるのはもちろん、院内環境にも気を配り、車いすで入りやすいようトイレのスペースも広くしました。患者さんの快適さという点では、近隣の薬局との連携もその一つ。診察後すぐに処方箋のデータを共有し、薬局での待ち時間を少しでも減らせるように努めています。
通院のハードルを下げて生活習慣病の早期発見を
開院前、どんな経験を積んできたのかお聞かせください。
出身は東京ですが、北海道にある大学に進みました。卒業後は再び関東へと戻り、研修医を経て総合病院や大学病院、公立病院で腎臓内科の研鑽を積んできました。その間大学院でも学び、高血圧や動脈硬化の研究に従事したのですが、そこでの研究結果をまとめた論文が海外の専門誌に掲載され、記者会見を行うといった貴重な経験もできましたね。先ほどもお伝えしたように、生活習慣病や糖尿病が悪化し、透析が必要となってしまう患者さんを多く診てきたので、そこで得た経験を当院でも生かしたいと思っています。
そもそもなぜ腎臓を専門にしようと思ったのですか? 医師をめざした理由も併せて教えてください。
小さい頃に同級生を亡くし、高校の時にも友人を病気で亡くしました。その経験から自分にできることはないだろうかと悩んだ結果、行き着いたのが医師になることでした。「人の役に立ちたい」「人を元気にしたい」という気持ちも密かに抱いていましたね。医学部に受かるまでには紆余曲折あり、先が見えず不安に苛まれたこともありましたが、今となってはその経験が開業医になってからの自分に生きていますね。腎臓を専門にしようと思ったのは、重篤な状態で透析治療が必要になった方を診て、そうなる前に自分が救ってあげたいと思ったからです。また全身管理に関われることへのやりがいを感じられたのも、その道に進んだ理由の一つでしたね。
透析が必要になる前に、生活習慣病を早期に見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは健康診断を受けることです。定期的に来院していただければ、ご自身に不調の自覚がなくても診察で気づけることがありますし、ご自身が気になっていることも相談できると思うんです。ただ、体調が悪いときになじみのないクリニックには行きづらいと思うので、予防接種をきっかけにしてもらうのもいいかもしれません。当院では、来院された方には必ず「気になることや、困っていることはありませんか?」とお聞きしますし、こちらも診察して気づいたことがあれば、きちんとお伝えするようにしています。ふらっと立ち寄れるくらい、当院に来ることのハードルを下げたいですね。ひいては、それが生活習慣病の早期発見にもつながると考えています。
腎臓内科の専門性を生かして地域に根差した診療を
毎日お忙しいと思いますが、どのようにリフレッシュされているのですか?
カフェめぐりが好きなので、休日になるとよく行っていますね。それ以外だと、テニスをする日もありますよ。中学生の頃からテニス部で、今もテニススクールで汗を流しています。その一方で、時間を見つけては、新しい知識や技術の習得に努めています。「なぜかわからないけれど調子悪い」といった相談にも応えられるオールラウンドな診療をめざすには、日進月歩の医療の世界において、今まで得たものだけでは足りないと思うんです。また、必要に応じて専門領域の医療機関を紹介する際にも、自分自身がある程度の知識を持っていないと適切な判断ができないので、現状に満足せず学びを深めていきたいですね。
これからの展望を教えてください。
まずはウェブサイトなども活用して、この地域に腎臓専門の医師がいる内科があることを、地域の皆さんに知ってもらえるようにしたいです。腎臓内科の医師は総合病院や大きな病院にいることが多く、開業している人は少ないので、受診したくてもかかれない患者さんが多くいると思うんです。そういった方々が気軽に受診できる場所をつくっていきたいですね。また、縁あって集まってくれたスタッフが働きやすい環境も整えていきたいです。スタッフが生き生きと働ければ、おのずと患者さんが満足できる診療につながると思うので、気づいたことを言い合える雰囲気を「チーム」でつくっていけたらと。そしてゆくゆくは、長く診ていた患者さんが通院できなくなった時に対応できるよう、往診や訪問診療も視野に入れています。地域の生活に密着したクリニックにしていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当クリニックでは、順番予約ではなく時間予約制をとっています。体調がすぐれないときに院内で長くお待たせすることがないように心がけておりますので、予約時間になったらお越しください。もちろん予約なしで来院していただくこともできますので、気がかりなことがありましたら、ふらっと立ち寄ってお話しだけでもお聞かせいただければと思っています。必要に応じて専門の先生もご紹介させていただきます。地域のかかりつけ医として、気軽に相談できる親しみやすいクリニックをめざしてまいりますので、気兼ねなくご来院ください。