月2回でも安心感を得られるように
現代の訪問診療サービスとは?
かとうクリニック
(池田市/石橋阪大前駅)
最終更新日:2024/02/05
- 保険診療
歳を重ね、足腰が弱り通院困難になった時に、まず検討したいのが訪問診療。自宅にいながら医師の診療が受けられるため、検討したことのある家庭も多いに違いない。その一方で、診療内容や費用面での不安、そもそもどこへ相談すればいいのかわからないという理由から、なかなか踏み切れないのもまた実情といえるだろう。そうした家族のためにアドバイスをくれるのが、機能強化型在宅療養支援診療所として地域医療に情熱を注ぐ「かとうクリニック」の加藤亮院長。「訪問診療は今や医療のスタンダードとなる時代」と語る加藤院長の明解な解説とともに、現代の訪問診療の流れや現場でのイメージをリアルに追ってみた。
(取材日2024年1月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのような人が訪問診療を利用できますか?
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A
訪問診療は通院が困難な方のご自宅に、医療者側から定期的に出向いて行う医療サービスです。高齢で足が不自由な方や寝たきりの方、末期がんの患者さんはもちろん、歩くと痛みが出る、ふらついて転倒する心配があるといった方も対象となります。診療の目的は計画的な治療に加え、日々の健康管理によって良好な状態を長く維持していただくこと。患者さんの病気の悩みや心のケア、ご家庭の状況などを踏まえ、さまざまな関連施設と協力しながらトータルな診療をめざします。訪問診療を導入すれば、こうした連携体制が自動的に整えられるとお考えください。まずはクリニックを窓口として気軽にご相談いただければと思います。
- Q在宅医療では、どの程度までの診療が可能でしょうか?
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A
手術や精密検査などが必要なケースを除き、診察や検査、薬の処方から予防接種まで、外来診療との違いはほとんどありません。内科や外科はもちろんのこと、ものもらいや花粉症といった日常的にかかりやすい疾患にも可能な限り対応します。また、慢性呼吸不全の方への在宅酸素療法や人工呼吸器、排泄や床ずれの管理など、在宅医療ならではのケアも行います。もう一つ、重要なテーマとして挙げられるのが「看取り」ですね。住み慣れたご自宅で最期を迎えたいという患者さんのご希望を、しっかりとサポートすることも私たち医師の使命です。このように、さまざまな場面で医師の介入を受けられることが、訪問診療の大きなメリットといえるでしょう。
- Q自宅に来てもらうと、費用が高額になりませんか?
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A
訪問回数や治療内容などによっても変動します。院外処方の場合は薬剤費は別途となり、ご希望があれば薬剤師の訪問サービスも可能です。また、胃ろうの造設、インスリンや在宅酸素を導入している方なども別途料金がかかります。高いか安いかは個々人の判断によると思いますが、訪問診療の大きなメリットは、訪問日は月に2回だけであっても24時間・365日のサポートを受けられることです。困った時に電話をすればいつでも医師が対応し、時には駆けつけるという安心感をぜひイメージしてご検討ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1訪問診療をクリニックに打診
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まずは訪問診療を提供しているクリニックに電話で問い合わせることから。家族や介護者をはじめ、患者の関係者なら誰でも可能で、かかりつけの医師やケアマネジャーなどを特に介する必要はないという。また、この時点で訪問診療の対象になるかどうかが不明であっても問題はなく、素朴な動機のまま遠慮なく問い合わせる姿勢で構わない。実際に訪問診療を受けるかどうかも、医師との面談後にじっくり検討することが可能だ。
- 2医師と家族が話し合い、診療方針を決定
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クリニックを訪れ、医師と面談。また、希望すれば日時を決めた上で、医師が直接自宅を訪問して面談することも可能。患者の具体的な病状やこれまでの診療情報を伝え、訪問診療が適応かどうかの判断を受ける。可能と判断されればシステムや診療内容、回数や費用についての説明があるので、希望を伝えた上でよく検討すること。導入が決まれば諸手続きの説明が行われ、家族の同意を経た上で医師によって計画書が作成される。
- 3実際に訪問診療がスタート
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作成された計画書に合わせ、訪問診療を開始。訪問頻度は月1回から2回で、1回につき30分程度が基本となる。訪問日以外であっても24時間・365日、熱や痛みが出た、夜に眠れない、体がかゆいなどの症状がある場合は電話で相談し、必要に応じて往診を受けることも可能。担当医師が対応できない時には近隣の開業医が協力するなど、さまざまな連携体制がとれるクリニックを最初から選んでおくことが大切なポイントとなる。
- 4必要に応じて検査や測定を実施
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長期的な計画に沿った治療だけでなく、日々の健康状態のチェックやコントロールも訪問診療の重要な課題。医師と看護師がタッグを組み、患者一人ひとりの健康をしっかりとケアしていく。聴診や視診、触診はもちろん、血液検査や尿検査、細菌検査など、在宅で受けられる検査や処置は意外に多いもの。近年はポータブルのエコー(超音波)や心電図などの機器も普及し、自宅での低侵襲な検査がさらに可能になっているという。
- 5関係施設や家族ともしっかりと連携
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訪問診療の特徴は、クリニック単体だけでなく、ケアプランセンターや訪問看護施設から訪問介護、医療機器業者などとも多職種連携を図り、一人の患者を囲い込むような医療サービスを提供すること。その患者にとって何が必要かを常に考え、QOL(生活の質)の向上をめざす。そのためには家族のバックアップが欠かせないため、困ったり感じていることがあれば、何でも気軽に相談して医師とコミュニケーションを取ることが重要だ。