全国のドクター9,253人の想いを取材
クリニック・病院 158,515件の情報を掲載(2024年6月02日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 福岡市東区
  4. 箱崎駅
  5. てらさか内科・外科クリニック
  6. 数少ない腎移植後のフォローに対応術後リスクの正しい管理を重視

数少ない腎移植後のフォローに対応
術後リスクの正しい管理を重視

てらさか内科・外科クリニック

(福岡市東区/箱崎駅)

最終更新日:2024/02/15

てらさか内科・外科クリニック 数少ない腎移植後のフォローに対応 術後リスクの正しい管理を重視 てらさか内科・外科クリニック 数少ない腎移植後のフォローに対応 術後リスクの正しい管理を重視
  • 保険診療

腎不全で透析を受けている人は年々増加し、日本では約360人に1人が透析を受けているという。その原因は生活習慣病による合併症の割合が大きく、決して自分に関係ないとは言えない。血液透析は一般的に週3回、1回あたり4時間の治療が必要で、通院の負担が大きく厳しい食事制限や飲水制限も必要だ。そうした腎不全の状態を脱し、透析を免れるための治療が腎移植。腎移植を受ければ透析の負担から解放され余命を伸ばすことも望めるという。一方、移植後は免疫抑制剤や生活習慣病の管理が欠かせない。そこで、腎移植に精通する寺坂壮史院長と、内科を専門とする寺坂喜子先生による「移植後の患者の総合的なフォローアップ」を行っているのが「てらさか内科・外科クリニック」だ。寺坂院長に、腎移植や移植後の管理などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2024年1月24日)

腎移植後は腎臓と内科の専門家により、総合的なフォローアップを

Q腎移植とはどのような治療なのでしょうか?
A
てらさか内科・外科クリニック 検査機器は基幹病院と同等のものを導入している

▲検査機器は基幹病院と同等のものを導入している

腎不全で透析を受けている人に対して、他人の腎臓を移植し腎不全から脱してもらうことをめざす治療です。近年では透析導入前に腎移植を行うという流れもあります。全体の9割ほどが家族などから腎臓を分けてもらう生体腎移植、残りの1割が亡くなった方から腎臓を頂く献腎移植です。献腎移植では移植を受けられるまでに平均15年近くかかります。ですので日本では生体腎移植の割合が多くなっています。大変な治療のイメージがありますが、現在では安全性の高い医療だと考えています。すべてを解決する完璧な医療ではありませんが、透析に通う患者さんの負担や透析によって引き起こされる合併症を考えると、非常に有意義な医療だと考えています。

Qどのような方が受けられる治療なのですか?
A
てらさか内科・外科クリニック 移植後の患者の総合的なフォローアップに注力

▲移植後の患者の総合的なフォローアップに注力

腎不全で透析を受けている方、または近いうちに透析が必要になると言われている方が対象になります。具体的には、手術に耐えられる体力があり、がんやウイルス性肝炎などの感染症を患ってない方です。術前検査で確認し、手術に臨みます。ドナーと血液型が違っていても大丈夫ですし、ご高齢の方でも元気であれば受けられることが多いです。移植後は、時間が自由に使えるようになるためフルタイムのお仕事や、透析をしながらでは困難な妊娠・出産も取り組みやすくなります。透析によって引き起こされる合併症を回避することで余命が伸びる可能性も見込めるため、救命医療としての側面を持ち合わせているのが腎移植です。

Q移植後の免疫抑制剤を用いた管理について教えてください。
A
てらさか内科・外科クリニック デスクワークをしながら待つことのできる待合室

▲デスクワークをしながら待つことのできる待合室

他人の腎臓が体に入ると、何もしなければ拒絶反応が起こります。その拒絶反応は免疫によって起こるため、免疫抑制剤によって抑制する必要があります。移植医療とは切っても切り離せない薬で、移植後は一生を通じて服用することになります。とはいえ種類や量を間違えると逆に感染症に罹患してしまうなどの副作用が生じることもあるので、その選択や量の微調整など適切な管理がとても重要です。一定以上の腎移植の経験がないと難しいため、移植後の患者さんは移植施設である大きな病院に通い続けるしかありませんでした。フォローアップできる医療機関が限られることは、患者さんにとっても医療者にとっても負担が大きくなってきていました。

Q移植後、感染症やがんにも注意をしなければいけないそうですが。
A
てらさか内科・外科クリニック 検査を定期的に受けることが、自分の身体を守ることにつながる

▲検査を定期的に受けることが、自分の身体を守ることにつながる

風邪などの感染症に加え、普段では問題にならないようなウイルスや細菌で感染を引き起こすリスクがあります。そのウイルスや細菌で罹患する感染症や肺炎は移植医療に携わったことのない医師ではあまり経験することがないものですので、診断も困難になります。また一部のがんに関しても免疫抑制剤の影響で罹患リスクが高くなったり、進行が速くなったりする可能性があるといわれています。しかし腎移植をするとがんになりやすいという短絡的な捉え方はせず、定期的に検査を受けていただき早期発見・早期治療を心がけることが重要です。当院ではがん検診についても一緒にスケジュールを考えるなど、きめ細かく対応するようにしています。

Q生活習慣病の管理も重要なのだとか。
A
てらさか内科・外科クリニック 腎移植と、内科それぞれに精通する医師が在籍

▲腎移植と、内科それぞれに精通する医師が在籍

腎不全に至る一番の原因は糖尿病ですし、高血圧なども含めた生活習慣病は透析になる要因として大きな割合を占めています。それに高脂血症や高尿酸血症、脂肪肝など複数の生活習慣病を患っている方も少なくありません。生活習慣病は移植した腎臓に確実にダメージを与えていきますので、その管理が不十分だと、いくら正しく免疫抑制剤を服用していたとしてもまた腎不全になってしまいます。そのためしっかりと内科の専門家ともタッグを組んで管理していくことが必要です。当院では内科の専門医師であり糖尿病の専門家でもある妻が糖尿病などの生活習慣病をしっかりフォローしていきますので、腎移植患者さんのトータルサポートが可能です。

ドクターからのメッセージ

寺坂 壮史院長

腎移植自体はすでに確立された医療ですが、まだまだ対応できる医師や施設が限られており、移植という選択肢を知らない患者さんがいるのも事実です。腎不全になったときに、透析だけでなく腎移植の選択肢についてもしっかり説明を受け、自身に最も適した治療を選べるようになってほしいと願っています。当院で腎移植手術を行うことはできませんが、これまで培ってきた経験と、移植施設との強固な連携を生かし、きめ細かい腎移植後のフォローをしていきたいと思っています。移植を受けたレシピエントの方だけでなく、片方の腎臓を提供したドナーの方のフォローアップも行っていますので、些細なことでも気兼ねなくご相談ください。

Access