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樋口 和義 院長の独自取材記事

つつじヶ丘こころのクリニック

(調布市/つつじヶ丘駅)

最終更新日:2024/01/18

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック main

つつじヶ丘駅から徒歩1分の医療モールに10月に開院した「つつじヶ丘こころのクリニック」。院長の樋口和義院長は精神科専門病院の病院長も務めてきたベテラン精神科医だ。重症患者に数多く接する中で心のプライマリケアの大切さを痛感。「より気軽に誰でも利用できる地域の相談窓口」をつくりたいとの思いから開業を決意した。院内はデリケートな悩みも相談しやすいようにプライバシーにも配慮が行き届いている。待合室の窓の外には見事な枝ぶりの桜があり、うつむきがちに来院した人も目線を上げたくなるだろう。まるで絵本に登場する医師そのままの親しみあふれるたたずまいからは想像できないようなハードな経験も重ねてきた樋口院長。その深い優しさはどのように育まれたのか、診療方針などとともに詳しく話を聞いた。

(取材日2023年11月21日)

人そのものを診る総合的な診療で心の健康を守りたい

まず、精神科医を志したきっかけを教えてください。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック1

大学卒業後、初めは消化器内科の分野に進むことを考えていて大腸カメラや胃カメラのトレーニングもしたんですよ。その後、外科、小児科、産婦人科なども回りましたが、秋田県の菅原病院という精神科専門病院で初期研修を終える頃にはすっかり精神科医療に魅せられていました。精神科以外の診療科では患者さんの体を対象としています。しかし、精神科では心はもちろんのこと身体面も含め患者さんの全体を診ていきます。心を中心としながらも、アルコール依存症で肝不全があるならば肝臓の薬を出すといったこともできるんです。家族関係など患者さんが何を抱えて生きてきたのか、病気だけではなくその人全体を診られる点にも惹かれ、精神科の道に進もうと決めました。

その後、どちらで精神科の研鑽を積まれましたか。

福島の会津西病院という300床ほどの病床を有す大規模病院で精神科医療の基礎を徹底的に学びました。当時の理事長はベテラン精神科医で「薬物療法をマスターできない者は精神科医にあらず」というお考えでした。厳しくも温かな先生方のもと、板前の修行のような鍛錬の日々でしたが、今となっては懐かしいですね。その後、山梨、相模原など各地の病院に勤務し、開業前は約190床の病床を有す精神科専門病院の病院長を7年間務めました。統合失調症、アルコールや薬物などの依存症、うつ病などの気分障害を専門として診療にあたっていましたが、これらは今なお研究を続けているテーマでもあります。また、精神科医としては避けられない自死の問題にも直面し、救えなかった命を忘れた日はありません。

そのようなご経験を経て開業に至った理由は何だったのでしょうか。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック2

心の病も重症化すれば命の危険があり、早期発見、早期治療が非常に重要であると痛感したことも一つのきっかけでした。複雑な現代社会に生きる私たちは、誰もが心の病気にかかるリスクを抱えて生きています。就学、就職、転職、昇格など人生の転機でガラリと環境が変わりストレスを感じるのは多々あることです。そこから心のバランスを崩して適応障害、うつ病に進行してしまう例も珍しくありません。適切なタイミングで危険を回避するためには、おなかが痛い時に内科に行くような感覚で、心の調子が悪いと感じたら気軽に立ち寄れる地域の相談窓口をつくらなければと開業しました。駅から徒歩1分、平日は19時まで、土日の診療日も設けるなど、忙しい方でも通いやすいようにしたのもこだわった点です。

患者の話を丁寧に聞き、適切かつ多彩な投薬治療を提案

現在の主な患者層を教えてください。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック3

開業前は高齢の方が多いのではないかと予想していましたが、今のところ20代、30代の働く女性が主な患者層で最初は驚きました。部署の移動などが引き金となり、適応障害、気分障害などを発症している方が多いですね。10代で不登校や「朝起きられない」というお悩みでいらっしゃる方もいます。完全予約制なのですが、開院当初から予約枠がいっぱいという日も多く、それだけお困りの方がいらっしゃるのだと身が引き締まる思いです。ご自身はもちろん、ご家族やパートナーのことでも構いません。診察室は防音性の高い素材を使用するなどプライバシーにも十分配慮しているので、デリケートな相談事も心配せずにお話しください。

具体的にはどのような治療を受けられるのでしょうか。

薬物療法をメインにしていますが、精神疾患に関する治療薬は日進月歩で研究が進んでいて副作用の心配が少ない薬も増えています。選択肢はできるだけ幅広く提案するようにして、それぞれの薬について丁寧に説明するように心がけています。それでもどうしても抵抗を感じるという方には漢方も用意しているのでご安心ください。まれに脳の精密検査が必要で近隣の脳神経外科でMRIやCTを行う必要がある場合もあることが考えられますが、基本的に精神疾患は病巣が目に見えるわけではありません。いろいろな身体症状が複雑に絡んでいるのも難しいところです。当院では心の病気そのものを扱う精神科の他、ストレスが主要因となる身体の不調を診る心療内科も標榜しています。精神疾患を診療しつつ、一般的な風邪症状、胃腸炎、高血圧、糖尿病などの内科的処方薬を出すこともできるので気軽にご相談ください。

診療にあたってどんなことを大切にしていますか。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック4

精神疾患そのものだけではなく、病気から派生しているさまざまな症状を落ち着かせ、治癒または寛解をめざすのをモットーとしてきました。心の病気を抱えている方は不眠、イライラ、不安、憂うつなど、多岐にわたる症状でお悩みです。治療にあたっては患者さんが何に困っているのかを見抜き、適切な薬を調整していかなくてはいけません。そのために問診が非常に重要ですが、白衣を着た医師を目の前にして本音を話せなくなってしまう患者さんも数多く見てきました。だからこそ、当院ではスタッフ全員がカジュアルな服装で患者さんとの距離をつくらないようにしています。とても緊張してお越しになる方も多いので、患者さんのペースを第一に、アットホームな雰囲気の中で最大限お気持ちに寄り添った診療を心がけています。

発達障害から認知症まで幅広く対応していきたい

今後の展望についてお聞かせください。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック5

今はたまたま若い方が多いかもしれませんが、幅広い年齢、症状の患者さんに適切な診療をしていきたいと思っています。加齢に伴う物忘れ、認知症も早期に適切な治療を講ずれば進行を緩やかにすることも望めるかもしれませんのでご相談ください。また、これから力を入れていかなくてはいけないのではないかとニーズを感じているのが発達障害です。気分障害の不安から来院した患者さんのお話を幼少期までさかのぼってよく聞いてみると発達障害がベースにあることがわかることもあると思います。当院は思春期以降の方のみを対象としていますが、何歳からでも投薬治療、環境調整などで生きにくさを和らげることはめざせるので、そのためのお手伝いをさせていただければと思います。

お忙しい毎日ですがリフレッシュ法などはありますか。

最近、忙しすぎてなかなか行けていませんが、釣りが趣味で福島時代はイワナを狙って山奥にも出かけました。海釣りも川釣りもしますが、どんな魚でもさばいて料理するのが得意ですね。温泉も大好きで秋田にいた頃は東北各県の秘湯めぐりもしました。時間ができたらまた出かけたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

樋口和義院長 つつじヶ丘こころのクリニック6

眠りが浅い、寝ているのに疲れが取れない、食欲がない、元気がない、ぼんやりしている、すぐイライラしてしまう……。そんな「こんな小さなことで」と受診をためらうような違和感の中に、しばしば重大な不調のサインが隠れています。例えば、気分の浮き沈みが1ヵ月以上続いているならば、日常生活に深刻な支障が出る前にできるだけ速やかに受診することをお勧めします。現在、すでに治療中の患者さんに対しては薬のみの処方も可能です。就労可否証明書、会社書式の診断書などの発行にも随時対応しています。また、薬物依存症から立ち直りたいともがいている方も、医療機関が第三者に告げることはないのでどうか一日も早く治療を始めてください。どんな心の病気でも治療を諦めず、患者さんの状況を改善するために全力で対策していきたいと思っています。

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