血便や便潜血陽性は病気のサイン
大腸・肛門病の専門家に相談を
北千住大腸肛門クリニック
(足立区/北千住駅)
最終更新日:2024/02/15
- 保険診療
便に血がついて驚いたことや、健康診断の便潜血検査で初めて血便を指摘される人がいるだろう。どちらも出血の原因が「痔」であることが多いが、中には大腸がんなど重篤な病気が隠れている場合もあり、早めに専門家に相談することが重要だ。北千住駅から徒歩4分の立地にある「北千住大腸肛門クリニック」は、食道から肛門までを一貫して診療しているクリニック。消化器内視鏡検査だけでなく、手術も含めた肛門の病気の診療にも力を入れている。同クリニックの院長で、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の小泉岐博(こいずみ・みちひろ)先生に、排便時の出血や便潜血検査陽性で疑われる病気、放置した場合のリスクなどについて解説してもらった。
(取材日2024年1月16日)
目次
肛門からの出血は、大腸内視鏡検査から肛門外科まで対応可能な専門施設で精密検査を
- Q排便時の出血や便潜血陽性の場合、どんな原因が考えられますか?
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A
便潜血検査は便に血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がんのスクリーニング検査として行われていて、陽性であれば大腸がんの可能性があります。ただし、陽性なら必ず大腸がんというわけではなく、実際には痔などの肛門からの出血が原因であることも多いです。とはいえ、便潜血検査でわかるのは出血の有無のみで、出血の原因や部位までは特定できません。陽性の場合は大腸内視鏡検査を受けて原因を調べることが大切です。
- Q放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?
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A
最大のリスクは大腸がんを見逃してしまうことです。便潜血検査は通常2日に分けて行いますが、2回のうち1回でも陽性なら精密検査が必要です。大腸内視鏡検査に抵抗のある方も多いと思いますが、検査を受けて大腸がんを除外することが重要です。受診をためらっているうちに数年たち、がんが非常に進行した状態になってから受診される方を何人も診てきました。大腸がんは適切な時期に発見して治療すれば大部分は治癒が見込める病気なので、検診で異常が指摘された時は、必ず内視鏡検査を受けましょう。また、大腸内視鏡検査は潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸ポリープなどがん以外の大腸疾患の発見にも有用です。
- Q内視鏡と肛門外科の両方を専門とする医院を受診するメリットは?
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A
内視鏡検査は消化器内科や外科でも携わりますが、肛門の病気は外科の守備範囲です。内視鏡検査の結果、出血の原因が大腸ではなく肛門の場合、大腸と肛門の病気の両方を診ている医院であれば転院の必要はなく、患者さんの負担は少ないと思います。当院では大腸と肛門を同時に診療しており、必要に応じて大腸内視鏡検査に引き続き、痔の手術まで実施することも可能です。ただし、肛門から出血があった方全員一律に内視鏡検査が必要とは考えていません。診察で明らかに肛門からの出血だと判断できれば、ひとまずは肛門病の治療を始めることもあり、経過を見て大腸内視鏡検査の必要性を判断します。
- Q肛門の病気が疑われる場合の検査や治療の流れを教えてください。
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A
まずは症状をお聞きします。出血した血液の色や、痛みの性質などから病気の部位が大腸なのか肛門なのかあたりをつけ、肛門の病気が疑われる場合は視診・触診・肛門鏡検査を行います。痔ろうや肛門周囲膿瘍を疑う場合は肛門超音波検査も組み合わせます。イボ痔・切れ痔ではまず食生活や排便習慣の改善、外用剤などの薬物治療を行い、それでも改善が難しい場合に手術という流れが一般的です。痔ろうの場合は原則手術が必要です。肛門の病気は命に関わる病気ではありませんが、出血や痛みが強い場合は日常生活にも支障を来します。当院では、極力日帰りで手術も行っています。デリケートな部分ではありますが、気軽にご相談くださいね。
- Q大腸の病気が疑われる場合はいかがでしょうか?
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A
大腸がんの早期発見・早期治療のために、大腸内視鏡検査が必要です。便潜血検査は進行がんに対する感度は高いものの、早期がんや大腸ポリープの発見は難しいとされています。便潜血検査で陰性であっても、排便時の出血や下痢や便秘を繰り返すといった症状がある場合は大腸内視鏡検査をお勧めします。大腸内視鏡検査にネガティブなイメージを持つ方もおられるでしょうが、当院では静脈麻酔を使用した苦痛の少ない検査を心がけています。また、検査当日の下剤は、ご自宅で飲むことが難しい方のために院内に専用のスペースを用意しています。検査の結果は当日お伝えしており、発見された病気や症状に応じて治療を進めていきます。