ライフスタイルに合わせた糖尿病治療の流れ
持続できる治療法提案
はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2023/09/25
- 保険診療
糖尿病の治療には終わりがなく、良い状態をキープし続けることが生涯の目標となる。そのため治療が長期にわたり、食事制限などのつらさから途中でやめてしまう患者も多い。「はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口」の原興一郎院長は、血糖値だけではなく全身と心の健康にも目を向けて糖尿病の治療に取り組んでいる。無理のない持続可能な目標と計画が、原院長の糖尿病治療のスタイル「治療のSDGs」だ。通院頻度についても、患者の職業やライフスタイルに合わせて決定。急な予約や土曜の診療にも対応しているので、忙しい働き世代でも予定が立てやすい。今回は原院長に、同院の糖尿病治療の特徴について話を聞いた。
(取材日2023年6月12日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q糖尿病について教えてください。
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A
膵臓から分泌されるホルモンの一種である「インスリン」の分泌量が不足するか、もしくは効きが悪くなる、あるいはその両方により、慢性的に高血糖となる疾患です。遺伝的要因が大きかったり、生活習慣によるもの、他の病気の治療薬の影響など、発症原因は人それぞれです。脂質異常症・高血圧・高尿酸血症などの生活習慣病が併存することも多いですね。悪化すると全身の血管にもダメージを与え、脳血管障害や虚血性心疾患などの重い合併症を引き起こすこともあります。また糖尿病は治るものではなく、生涯にわたっての健康管理が必要です。
- Q長く治療を続けられるために工夫していることはありますか?
-
A
患者さんの年齢・職業・ライフスタイルなどを考慮し、無理のない目標と計画を立てるようにしています。糖尿病は残念ながら完治することはありませんが、良い状態をキープできれば、ライフスタイルを大きく変えずに生活することが可能です。糖尿病の治療はいわば「SDGs」、持続可能なことをめざして続けていくのが大切です。高すぎる目標や現在とは違いすぎる変化を求めてしまっては、治療は長続きしないですよね。必要に応じて薬の見直しも行いながら、患者さんが無理なく続けられるようサポートしています。
- Q治療する上で大切にしていることをお聞かせください。
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A
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を追うだけではなく、全身の健康や患者さんのモチベーション維持にも配慮しながら、良質な血糖コントロールを行えるよう心がけています。目標値は患者さんによって異なりますし、血糖値が下がってもコレステロール値が上がってしまったり、必要な栄養素が摂取できなくなっては良い治療とはいえません。全身と心の健康を保ててこそ「質の良い血糖コントロール」なのだと思っています。日本糖尿病学会糖尿病専門医の視点から、一人ひとりの患者さんに合った治療を提案できるよう努めています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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気になる症状や検査結果など、ここに至るまでの経緯について医師から確認がある。職業・食生活・運動習慣についてのヒアリングは、その後の目標設定や治療計画にも生かされる。他院での治療経験がある場合にも伝えておこう。
- 2検査
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院内にはエックス線検査装置・心電計・血圧脈波検査装置・血糖測定器・尿化学分析装置など各種検査機器を備えている。医師の判断に基づき、必要な検査を受ける。もし手元に健康診断の結果がある場合には、緊急性を測るためにも持参すると良い。
- 3治療内容の提案
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問診や検査結果をもとに、医師より治療内容の提案がある。同院では一人ひとりの背景を考慮した持続可能な目標を設定し、治療を続けられることを重視している。症状が進んでいる場合を除き、食事指導と運動指導から始めていくことが多いという。
- 4治療開始
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通院頻度も、患者の職業やライフスタイルに合わせて決定。同院は急な予約や土曜の診療にも対応しているので、忙しい働き世代も計画が立てやすい。食事や運動でも改善が難しく、薬が必要になった場合は、数多い薬の中からその患者に合ったものを医師が選択する。
- 5経過観察
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糖尿病の治療に終わりはなく、治療を続けながら経過を診ていくことになる。目標が高すぎて治療が中断してしまうことのないよう、都度見直しながら、ライフスタイルに合わせた計画を立てていくことが大切だ。指導に基づいた食事や運動を実践することにより、薬剤の減量もめざすことができる。