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中村 賢 院長の独自取材記事

KENカルディオクリニック柏

(柏市/南柏駅)

最終更新日:2023/11/30

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏 main

柏市新富町、日光東往還沿いにある「KENカルディオクリニック柏」。ここは約20年間、東京慈恵会医科大学附属柏病院や総合病院などで難しい心臓外科手術に携わってきた中村賢院長が、地域の中で人々に寄り添いながら心臓疾患の予防や健康維持に寄与していきたいとの思いで2023年4月に開業したクリニックだ。中村院長は、心疾患の引き金となる高血圧や糖尿病の予防・管理に力を入れるとともに、その専門性を生かして心臓手術の術前・術後の管理やペースメーカーの管理も行っている。また、クリニックでは行っている所がほとんどない心臓リハビリテーションも提供する予定だ。同クリニックでは小児科も診療していて、小児の心疾患にも対応している。循環器疾患に対する専門的な診療や予防医療への思いなどについて話を聞いた。

(取材日2023年5月10日/更新日2023年11月24日)

心臓外科手術の経験を踏まえて心疾患の予防に注力

先生は心臓外科で活躍されていたと聞きました。ご経歴を簡単に教えてください。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏1

もともと「カッコつけたがり」で(笑)、外科を選択しました。その中でも花形といわれる心臓外科を選びました。がん診療はなんとなく苦手意識があり再建外科がいいなと思っていました。心臓外科は命に直結する領域であり、少しでも多くの方を救いたいという思いも強かったです。5年目の頃から、運よく執刀する機会を得ましたが、圧倒的な鍛錬が必要であると実感し、当時60万した冠動脈バイパス手術のトレーニング装置を自ら購入して練習を重ねました。その後、多くの手術経験を求めて大学を離れ民間病院の門をたたき多くの緊急手術などを行いました。数年が経過した折、当時の教授から関連病院の再建を拝命し、それこそ24時間365日緊急手術に追われました。単身赴任で生活をし、心臓外科診療に身も心もささげる毎日でした。こうして約20年、常にオンコール状態で走り続けてきたのですが、ある時自身の生き方を考え直す出来事が起きました。

それはどんなことだったのですか?

2021年のことです。父親が進行した上顎洞がんとわかり手術不能となり在宅で看取ることとなりました。心臓疾患ならば自ら救うために手が打てたのですが、くしくも私が敬遠したがんでした。当然自分では何もできず命あるうちにできるだけ会っておこうとがんで衰弱していく父親に会いに病院から実家へ診療後に3時間かけ通っていました。余命3ヵ月の診断でしたが在宅では半年間療養し亡くなりました。家族で一緒に過ごした懐かしく楽しかった話を聞くたびに、自分には後に子どもと語り合えるような楽しい思い出が作れているのだろうかと自問しだしました。さらに3ヵ月後に高校時代の友人や医師仲間も脳血管疾患で命を落としました。追い打ちをかけるように義理の父親も突然の死を迎えたのです。3ヵ月に2回も喪主を務めいよいよ自分自身の生き方についていろいろと考えるようになりました。

さまざまな出来事がきっかけで意識の変化があったというわけですね。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏2

そもそも医師になったのは大切にする多くの人たちに少しでも役に立てればと思ったからではないか、このまま一直線に外科医の道で進んでいくことに戸惑いも感じ始めました。医師人生が40年ほどだと仮定すると、20年間は一途に外科の道を進んできたので今度は違った形の医療も行ってみたくなりました。心臓外科手術の中で特に急性大動脈解離のような疾患は、発症すると治療経過がかなり大変な状況になります。こういった循環器急性疾患は適切に予防すれば発症を回避することができます。こういった一次予防や健康指導をすることが細分化する今の医療の中で本当は重要なのではないかと思うようになったのです。

南柏を開業の地に選んだのはどんな理由があったのですか?

南柏周辺から埼玉県南東部あたりには循環器内科を専門に診ているクリニックがあまりなく、また小児科のクリニックも少ないということで地域のニーズが高いのではないかと考えました。もともと柏市に住んでいて、先輩の先生方も多いという理由もありました。ここを選んだのは2022年の夏、たまたま車を走らせていた時に、駐車場が広く1階に薬局が入っているこの建物が目に入ったのです。2階のテナントが空いていたので、すぐ薬局に入って尋ねたら内科クリニックを募集していると。それですぐに担当の方につないでもらってとんとん拍子に決まりました。偶然的な出会いで、何か深い縁を感じました。

ペースメーカー管理や心臓リハビリテーションも提供

クリニックの特徴について教えてください。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏3

当院はクリニックでありながら高度な医療の提供と、予防医療や健康管理に関する情報発信をめざしています。特徴の一つは専門的な検査ができることです。心臓エコー検査はじめホルター心電図検査、抗血栓療法でワルファリンカリウムを服用している人の血液凝固レベルを調べる検査、心臓に負荷をかけて診断するトレッドミル負荷試験や、動脈硬化の程度を調べるABI検査、指先からの一滴の血液でアレルゲンを調べられるアレルギー検査などです。もう一つ、当院ではおもてなしの精神を重視します。患者さんは待っている間にイライラや不安を感じることもあるでしょう。そんな時、少しでも安心してリラックスしていただけるようコンシェルジュを配しています。エントランスで患者さんをお迎えしたり、待合室で待っている患者さんの様子を見ながら随時お声がけするなど気遣い・心遣いをしています。

診療の際はどんなことを大切になさっていますか?

患者さんが診察室に入って来られた時には立ってお出迎えして、あいさつをし自己紹介をしてから診察に入っています。来ていただいてありがとうございますの精神です(笑)。診療では専門の循環器内科に加えて一般的な内科疾患や発熱の外来などを行っています。中でも重要視しているのが予防です。心臓疾患の中には大動脈解離のように予後が安定しない重篤な疾患がありますから、発症しないことに越したことはありません。そのため発症の引き金となる高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防・管理に力を入れています。予防医療の啓発や心臓疾患に関する情報発信も今後行っていきたいと考えています。

ご専門の循環器内科、心臓外科の特徴について教えてください。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏4

当院では手術に至らないよう疾患の進行を抑えるための管理をしっかり行っています。また心臓手術を受けたら治療が終わりということではなく、術後の管理が重要です。さらにペースメーカーの管理も実施しています。クリニックでペースメーカー管理を行う所は極めて少ないために、これまで大規模病院に通院する必要がありました。ですが、ご自宅の近くでチェックを受けられればより安心だと思います。今後、心臓リハビリテーションも行う予定で、今、準備をしています。心臓リハビリテーションは投薬と同じくらい有用だと考えられています。ぜひ心臓リハビリテーションを日常生活の一部として取り入れていただきたいです。

小児科では大学病院と医療連携

小児科では大学附属病院と連携していると伺いました。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏5

はい。東京慈恵会医科大学附属病院小児科から専門の医師に来ていただいて診療しています。感染症や消化器疾患、アレルギー疾患など幅広く診ています。アレルギー疾患、特にスギとダニのアレルギーに対しては舌下免疫療法も行っています。私自身、小児の心疾患も専門としていますので、先天性心疾患の術後の経過観察や小児の循環器疾患、さらに成人先天性心疾患の診療も行っています。小児の診療では子どもが興味を寄せるようなものを置いたり飾ったりしてお子さんたちが安心して楽しく診察が受けられるよう工夫しています。

これまで印象に残ったエピソードはありますか?

医師になって10年目の頃だったと思います。子どもと一緒に銭湯に行った時、お風呂場から出たら、一人のお客さんが急に倒れてしまったのです。急いで心臓マッサージを施しAEDで治療しました。私は真っ裸でなりふり構わずマッサージを続けましたが、子どもたちはタオルで必死に隠そうとしていたそうです(笑)。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

中村賢院長 KENカルディオクリニック柏6

おもてなしの精神を大切に、高度な医療の提供と信頼されるクリニックをめざしています。どのようなことでも不安に思うことがあれば相談に来ていただきたいと思います。たとえ専門外のことでもお話を伺って、より適切な医療につなげることもクリニックの大切な役目と考えています。これから地域の方々がより元気で充実した人生を送れるようお一人お一人に寄り添いながら伴走していきたいと思っています。

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